20 / 25
亮side
しおりを挟む最近、何故か聖也に避けられ続けてる。
「何か気に触ること言ったのかな」
大学からバイトに向かうまでコンビニに寄り、夕飯のカップ麺やおにぎり、パンを購入し、ビニール袋をぶら下げてビルへと入る。
「お疲れ様でーす」
「お疲れ、一ノ瀬」
「お疲れ様です」
自分のデスクに座り、顧客名簿の管理やら。
にしても、聖也はこのなんでも相談室にも掛けて来ない。
「大丈夫なんだろうか...」
もしや、俺、振られた?
がくん、と頭を項垂れ、慌てて首を振り、思考を投げ捨てる。
バイト中に落ち込んでもいられん。
「遠藤さん、イキリうさぎさんからお電話です、内線2番」
思わず顔を上げ目を見開いた。
慌てて内線2を押し、受話器を取った。
「イキリうさぎさん、お久しぶりですね、体調を悪くされたのかなと心配してました」
しばらく、電話の向かうの聖也ことイキリうさぎは無言。
「....遠藤さん、僕、好きな人が出来て」
「....好きな人、ですか?」
やっぱりこれ、俺、振られたパティーン?
「あの、その、大学の友達に相談したら、亮、いや、彼氏に直接話せないんなら、遠藤さんに話せばいいじゃん、て言われて...その、相談室なんだから、て....」
「え、ああ、まあそうですね...」
彼氏が他の誰かを好きだとか、相談聞くの辛いけど、これもバイトだ...。
泣きそう。
「今の彼氏さんに不満があるとか、ですか...?」
自分で聞いちゃうとか、マジ辛い...。
「いえ!」
俺の脳裏にスウェット姿に瓶底メガネ、正座した聖也がぶんぶん首を横に振る姿が浮かんでくる。
「亮、彼氏に不満なんてありません!これっぽっちも!ただ...」
「....ただ?」
また間隔を置き、聖也が口火を切った。
「ただ、他にも気になる人が...出来てしまって...」
な、な、なんだとー!?
なるべくいつも一緒にいた筈だし、電話やメッセで話せない、本来の聖也とも、こうして相談室で時間を割いてきたつもりだったのに...
何処の泥棒猫を俺は見逃したんだ....。
「遠藤さん....」
「はい?」
「あなたです」
「....何がですか?」
また間隔を置き、聖也から出た言葉に唖然となる。
「僕が気になるのは...遠藤さん、あなたです」
俺ですか!?
驚愕と共に思わず口を覆った。
15
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
平凡な俺、何故かイケメンヤンキーのお気に入りです?!
彩ノ華
BL
ある事がきっかけでヤンキー(イケメン)に目をつけられた俺。
何をしても平凡な俺は、きっとパシリとして使われるのだろうと思っていたけど…!?
俺どうなっちゃうの~~ッ?!
イケメンヤンキー×平凡
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる