13 / 25
亮side
しおりを挟む「じゃ、またな」
電車で先に俺はバイト先近くで降りた。
聖也の姿が見えなくなるまでホームで手を振った。
聖也も小さく電車の中で手を振ってくれた。
相変わらず、笑顔なんかないけど、それはそれでいい。
中身は多分、俺との暫しのお別れで半泣きかもだし。
にしても。
前日、イキリうさぎの聖也と、遠藤として相談に乗っていた際に、
「僕、早めに待ち合わせに行こうと思うんです!」
の宣言に、呆気にとられた。
一時間前に行くか、それとも三時間前に行くか悩むと言うので、俺は慌てて、
「いや、一時間前でいいでしょう。昼だから陽射しはあるとはいえ秋ですし、風邪引きますよ」
「....そうでしょうか。早く会いたいのにな」
ボソッと聖也が独り言を呟き、可愛ええ...、と口にしてしまいそうになった。
聖也が来る前に待っておこう、と決めていた俺は一時間より少し前に待ち合わせ場所にいたんだ。
まあ、相変わらず天ノ弱な聖也はツン!だったけど、微かに耳を赤らめていたのを見逃さなかった。
「映画ですかー、芸術の秋ですね」
羨ましい、と続いて、食欲の秋でもありますね、と話しを変えた。
「ですね、最近、食欲増した気します。でも、天ぷらがなかなか食べれないんですよね、学食にもないし。大学近くのお蕎麦屋さんにあるかなあ」
そうして、さりげなく聖也が食べたい物もリサーチし、上映前、サンプルが並ぶフードコートで和食の店で足を止めたんだ。
並んで座り、呼ばれるのを待っていたら、聖也はバッグからハンドクリームを取り出し、塗り始めた。
「怖かったら彼氏さんの腕か手を握ってみましょう」
作戦を話した俺の言葉を意識してんのかな、と思わず可愛くなり、ハンドクリームを貸して貰うフリをして、聖也の手にハンドクリームを塗り、握った。
繋がれた手から目が離せなくなった様子で真顔なのに、顔ははっきり真っ赤にした聖也、可愛すぎたなー。
食事の最中もさりげなく、テーブルにハンドクリームを置いていた辺り、もしや、聖也は再度、俺から手を握られるのを期待してたのかな?
聖也のみぞ知る。
13
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
平凡な俺、何故かイケメンヤンキーのお気に入りです?!
彩ノ華
BL
ある事がきっかけでヤンキー(イケメン)に目をつけられた俺。
何をしても平凡な俺は、きっとパシリとして使われるのだろうと思っていたけど…!?
俺どうなっちゃうの~~ッ?!
イケメンヤンキー×平凡
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる