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しおりを挟む僕の涙ながらの辿々しい説明に、遠藤さんは暫し、うーん、と唸った後、こう言った。
「聞いた限りではただ男性と歩いていた、てだけですよね?」
「ふぁい...」
「手を繋いでいた訳でも肩を組んでいた訳でもない。とすると、ご友人、という可能性はあるんじゃないでしょうか...彼氏さんにはお尋ねになりましたか?」
電話越しだというのに正座している僕は首を激しく横に振った。
「き、聞いてません...」
「それはまたどうして...」
「だ、だって...こ、怖いじゃないですか...っ、本当だったら、それにこんな僕、こんな僕なんかと...」
再び涙が込み上げて来る。
「イキリうさぎさん。先日も申し上げましたでしょう?ご自分を卑下するのは止めた方がいいと...」
「で、でも僕...遠藤さんにもお話しした通り、中高時代...」
「ああ、瓶底メガネ、とかいう」
口元に指を当てたまま、今度はぶんぶん縦に頭を振った。
「瓶底メガネとかおどおどしてるから気持ち悪いとか...っ」
「でも、努力されて今はコンタクトにした、と言われていましたよね?努力したご自分を愛してあげてください」
「で、でも、亮、か、彼氏、キスすらしてくれないんです...!もう交際から2ヶ月になるのに...っ」
「それは彼氏さんに大切にされている証、なのではないでしょうか?」
「そ、そうなんでしょうか...」
ぶわーっ、と滝のように涙が溢れ、別の問題が頭を過ぎった。
「と、友達にも、ぼ、僕...イキッてしまい、嘘ばかりついて...っ、
本当は全然、モテててなんか無かったのに、超モテモテだったとか...こんな僕、いずれ、唯一の友人にも嫌われちゃう、友達...っ、いなくなる、どうしたらー!」
語尾は雄叫びになってしまったが、涙が止まらない...。
「ああ、そんなに泣かないでください。ティッシュは近くにありますか?まずは涙を拭いて、深呼吸しましょう。
吸ってー、はい、吐いてー」
遠藤さんに言われる通り、涙を拭い、深呼吸に勤しんだ。
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