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しおりを挟む「はあ、お腹いっぱい」
2人でペロリと平らげ、揃ってお腹を押さえる。
「だな。腹いっぱい...頼みすぎだろ、お前」
「お風呂は?溜めよっか?」
「ん、頼む」
すっくとユウは立ち上がると浴室へと向かった。
浴室も、以前の部屋よりも遥かに広い。
湯船も2人で向かい合って浸かっても足を伸ばせる広さだ。
「頭、洗ってやるよ」
「ん、ありがと」
シャワーヘッドを手にしたダイチを見上げ、ユウがはにかんだ。
不意に、ダイチの目がユウの肩下に止まった。
そ、とソレをなぞる。
「ん?」
「....これ」
思い出した、とばかりにユウは笑いながら、肩下にある小さなD、のタトゥーに触れた。
「ダイチの物、て証。...ほら、ダイチだって」
ユウはふざけるように、ダイチの腕を捻り、肩下のYの文字を見つめる。
「....そういえば、昔、ヒカルにこのY、てなに?て言われたっけ」
ただ単に思い出し口にしただけなのだが、徐ろにユウは口を捻り、不機嫌な面持ちに変わった。
「....今、思い出す?元彼のこととか」
「え?いや...頭、流すよ」
「いい」
ユウが不貞腐れているが無視してダイチはユウの髪をシャワーのお湯で濡らした。
「いいって!」
「口開けたら、お湯入るよ」
「....」
そのまま、シャンプーをし、トリートメントも施すと、ユウがぷは、と声を上げた。
「今度は俺、洗う」
「ん」
ユウが鼻歌交じりにわしゃわしゃとダイチの頭を洗っていく。
体も洗いあい、一緒に湯船に浸かり。
「はあ。気持ちい」
「てかさ」
「ん?」
「ラストのドームだけど。ヒカル、招待しようか、て」
途端にユウの顔から笑顔が消えた。
「...またその名前」
「んー」
「...まだ連絡、取ってたの?」
ダイチはシャンプー終わりで濡れた金色の髪を掻き上げながら、いや、と答える。
「こないだ、突然、連絡が来て。ウケたよ、なんかめっちゃ他人行儀っていうか、どもったりしててさ」
「...ふーん。で?」
「うん。なんか、よく俺たちの出演してる番組、見てるとかで。めっちゃ語られた。歌詞が好きだとか、もう機関銃か、てくらいに」
「...ファンなの?」
ユウが肩を竦め、きょとん、と尋ねる。
「みたい。コウくん、カッコいいね!とか言ってた」
思わず、ユウは爆笑した。
「え?ヒカルくん、コウ狙い?ダイチ諦めて?」
「いや、そうかはわかんないけどさ。そんなに好きならライブ来る?て聞いたら、即、行きたい!て」
「あー、ヒカルくんらしいかも」
静かな浴室で2人はクスクスと見つめ合い笑い合った。
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