8 / 8
真尋side
しおりを挟む「いない!いない!蒼也がいないー!」
既に生徒たちは帰宅した放課後の蒼也の教室で頭を抱えて右往左往する俺。
部室にも何処にも蒼也の姿はなかった。
「ぶつくさうるさい。ストーカーか。家に帰ったんじゃねーの?」
高城が隣でこれみよがしなため息をついた。
「ストーカー!?失礼な!あの蒼也の朝練の日だってお尻貸したげたのに!」
「尻っつっても素股だから太腿だろ」
「太腿だとしても!フェラはした!」
「お前がさせてくれっつったんだろ。蒼也がヤキモチ妬くだろうからって。わざわざ朝練に間に合うように待ち伏せまでして!つか、全然、ヤキモチ妬いてる感じしないんだが!?」
そう、この男。
高城裕平は蒼也狙い。
というか、昔から蒼也は男にモテる。
が、本人は全く自覚がない。鈍感。
が、そこがまたいい。
以前からちょっとサッカーで褒められて 嬉々として、時に照れ笑いしながら頭撫でられて喜んでるけど。
サッカーだけじゃない、ひたむきで素直で、ちょっとツンデレなところが受けていて。
バスケ部の高城がサッカー部の蒼也の練習を見に来てた時点で怪しいとは思ってたけど。
先手を打って、高城と交渉し、あのサッカー部の進藤も、多分、いや絶対、蒼也狙いだろうと踏み、協力し合っていた。
...全くもって、幼い頃から一緒にいる、てのに蒼也は俺にヤキモチを焼かない。
「まあ、お前じゃ蒼也には役不足なんだろ。万年帰宅部じゃ話しも合わないし」
「うるさいよ!すけこまし!」
「すけこまし、てなんだ?お前だろ!?なにが悲しくて蒼也に誤解されてお前と付き合ってることになってんだ!?」
ふん、と鼻を鳴らす。
「ご愁傷さま。あんたは俺の彼氏、て嘘に蒼也はまんまと騙されてるし?蒼也があんたを選ぶ確率は0パーセントー!」
高城が宙を仰ぎ、頭を抱えた。
「タイプじゃねーーー!蒼也がいいんだよ!俺は!あのサッカーで汗流して、不意に見せる笑顔とかよー!」
高らかに叫ぶ高城とせせら笑う俺。
とりあえず、俺は敵を1人減らした。
0
お気に入りに追加
7
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる