32 / 38
ズンのもくろみ
しおりを挟む
**杏奈
「ズン、今の黒耀の話、どういうこと?」
「むほ?杏奈様・・?」
黒耀が帰った後、私は顔をひきつらせながらズンに近寄った。ズンはジリジリと後ろに下がる。首を締め上げようと手を伸ばしたら、身体を捻ってすり抜けた。
「ズン、どうして逃げるのよ。」
「杏奈様、首を締めたところでどうにもなりませんです。どうか落ち着いて下さいっ。」
「落ち着いていられないわよっっ!契約って、なんなのよっっ!!」
「あわわ、契約は契約にございます。杏奈様は私に名前をくださいましたからっ、私の主でございますっっ。」
「だから主って、なんなのよっっ!あなた、魔王様の家来じゃなかったの?」
「むほっ、そ、それは恐れ多いことでございます。」
「え!?」
以前、ズンはまるで魔王様の家来のように話していなかった?だから私は信用したっていうのに。
「主ただ1人、杏奈様にございます。」
「でも・・前に、魔王様と一緒に腰を抜かしたって、言ってなかった?」
「・・・あれは・・、あのときは、私はこっそりと見ておりました。ですが嘘は申しておりません。私も腰を抜かしたのは事実ですから。」
「・・・」
「杏奈様、私、身を粉にして杏奈様にお仕えすると決意しております。」
「・・・」
「決して邪魔は致しません。」
いかにも憐れそうに目に涙を浮かべるズンに、ため息が出る。
「どうして私と契約なんか。何も得なんてないでしょうに。・・・少し疲れたから休むわ。」
色々と、1人で考えたい。黒耀のこと、菫のこと、ズン・・はどうにも出来ないけど、心を整理しなくては。部屋に入ってふと考えた、そういえば黒耀は、いつからどうやって碧なのだろう。
杏奈を見送ったズンは1人ほくそ笑んだ。
「むほほ、得がないとはご謙遜を。杏奈様が名家のご令嬢だと言うことは存じておりますし、黒耀様が時期魔王ということは杏奈様も、むほほっ・・・」
**
菫は、この街一番と言ってもいい程の高級な宿に宿泊していた。しかも碧と同室で。
ムカついて、つい舌打ちした。
部屋に入ると、菫は碧の後ろに隠れ、おどおどとした様子で私を見た。きっと拒えているのだ。1度周囲の者からの辛い拒絶を体験したら、その恐怖はなかなか消すことが出来ない。相手の目を見ることも辛いはず。私は出来る限るの笑顔を顔に張り付けて、両腕を広げて踏み出した。あわよくば黒耀ごと・・・
「菫、心配していたのよ、急にいなくなるんだもの。」
「ぁ・・・っ。・・杏奈先生っ」
「・・・う、あ、・・?よ、よしよし」
白ける。菫は私が踏み出した途端に、安堵した表情を浮かべ、碧の後ろから飛び出したのだ。
本当、白ける。仲がいい設定になんてしなければよかった。
菫は想像していたよりも随分と元気で、(黒耀のおかげだと思うけど。)私達はその日の内に3人で買い物へ出掛けた。1人余計だけど、デートには違いない。だけど、せっかくのデートだけど、しばらく楽しんで油断させた頃を見計らって、私は歯を食い縛って黒耀に告げた。
「ねぇ、ここからは私達だけで買い物をするわ。」
「は?駄目だ、一緒に行く。」
ふん、信用してないって訳ね。でも・・
「あのねぇ、今から菫の服とか下着とかを見に行くの。それでも付いてくるつもり?」
「う・・」
「終わったらちゃんと送り届けるから、先に帰ってなさいよ。」
下着って聞いただけで耳まで赤くする黒耀が憎い。かつての私の色仕掛けは鼻で笑ったくせに。
「・・・分かった。けど、余計なことはするなよ。」
「はいはい。」
話を聞くだけよ。
買い物をさっさと片付ける為、私は急いで店を見つけ菫を押し込んだ。こんな小娘が着る洋服なんて、麻袋くらいが丁度いいと思うけど、入ったのはそこそこ高級な店だ。精一杯、優しく振る舞う。
「さぁ、好きなのを選んで。」
「え、でも・・」
ふん、「え、でも・・・」ですって。さっさと選べばいいのに。
「なぁに? ここじゃ不満かしら?」
「いえ、あの・・私、自分で選んだ事がなくって。」
「はあ? ・・っと、 自分で選んだ事がない、って?」
「いつも、お母様が選んでくれてたから。」
なに涙ぐんでんのよ。泣きたいのは私だわ。
はぁ・・・、
「そうなのね。う~ん、じゃあ、私が選んでもいい?」
「ええ、是非っ!」
菫は眼を輝かせた。
あぁ、私はこの娘が苦手だ・・・。
買い物が余程楽しかったのか、すっかりはしゃぎ過ぎている菫は、カフェでお茶を飲みたいと言い出した。願ったりのことだけど、菫は私の事を本気で信じている様子だ。
店内のテーブルに案内されメニューを渡されると、菫は嬉しそうに選び始めた。私は、頬杖をつき、それを観察しながら質問を始めた。
「そういえば、菫って、碧と仲が良かったのね?」
「?」
「だってほら、前に2人の関係を聞いた時、そうでもないみたいな言い方だったでしょう? 今は、本当に双子だったんだって、納得出来る感じだわ。」
菫はキョトンと目を瞬かせた。
「あれ・・? あ、そっか。杏奈先生には教えたのでしたね。そうなんです、実は仲直りしたっていうか、私が碧の事、勘違いしてたみたい。へへ。」
「ふぅん、勘違い、ねぇ・・。じゃあ、今は、碧が好きってこと?」
「ふふっ、嫌です杏奈先生ったら。当たり前じゃないですか。たった1人の家族ですから。」
たった1人の、家族。「家族でいい」と言った碧が頭をよぎり、つい、顔を歪ませた。現状では血が繋がっていると分かっているけど、とても割り切れないし、結構きつい。それ以上は進めないと分かっているから、かろうじて冷静を保っていられた。
「・・・ねぇ、ところで、他の家族はいなかったの?」
「あ、ええと、両親は幼いころに、車の事故で・・」
あら?それは、随分と都合がよすぎるのでは?
「そうだったのね。知らなくて・・、ごめんなさい。」
「いいえ。もう昔の事ですから。」
黒耀の顔が浮かんだ。彼がいつから碧なのか、だ。都合がいい事故は、絶好の機会といえるから。でも、聞いても大丈夫かしら?
少し緊張しながら、自然な言葉を探し、おそるおそる口を開いた。
「・・・2人も、一緒にいたの?」
「買い物は、終わったのか?」
!!?? びっっっっくりした。
急に、肩にポン、と手が置かれたのだ。すぐに誰の手か分かったけれど。
「碧っっ!」
菫はパッと立ち上がって歓声を上げた。
「ああ、菫。楽しく過ごせたか?」
「ええ、とっても楽しかったわ!」
「それは良かった。」
言いながら、碧はごく自然に菫の横にぴったりくっついて座った。探るような目で見てくるから、あえて微笑んだ。
「もう宿に帰っているかと思っていたわ。」
「ちょっと気になってさ。ところで、何の話を?」
さっきから真っ直ぐに飛んでくる視線が、痛い。
どう返答しようかと思っていたら、先に菫が口を開いた。
「杏奈先生にね、昔の事を話していたの。」
ああ、言っちゃうのね。そりゃそうだろうけど・・
「へぇ。なぁ杏奈先生、菫は色々あって疲れてるんだ。聞きたいことがあるなら俺に、お願いしますね。」
なにその言い方。先生なんて白々しい。不快に思ったけれど、深呼吸をして気持ちを静めた。
いっそのこと、黒耀の言葉を鵜呑みにしよう。
「分かったわ、じゃあ、今度、2人きりでお話しましょ。」
黒耀は、ふん、と鼻を鳴らした。
「ズン、今の黒耀の話、どういうこと?」
「むほ?杏奈様・・?」
黒耀が帰った後、私は顔をひきつらせながらズンに近寄った。ズンはジリジリと後ろに下がる。首を締め上げようと手を伸ばしたら、身体を捻ってすり抜けた。
「ズン、どうして逃げるのよ。」
「杏奈様、首を締めたところでどうにもなりませんです。どうか落ち着いて下さいっ。」
「落ち着いていられないわよっっ!契約って、なんなのよっっ!!」
「あわわ、契約は契約にございます。杏奈様は私に名前をくださいましたからっ、私の主でございますっっ。」
「だから主って、なんなのよっっ!あなた、魔王様の家来じゃなかったの?」
「むほっ、そ、それは恐れ多いことでございます。」
「え!?」
以前、ズンはまるで魔王様の家来のように話していなかった?だから私は信用したっていうのに。
「主ただ1人、杏奈様にございます。」
「でも・・前に、魔王様と一緒に腰を抜かしたって、言ってなかった?」
「・・・あれは・・、あのときは、私はこっそりと見ておりました。ですが嘘は申しておりません。私も腰を抜かしたのは事実ですから。」
「・・・」
「杏奈様、私、身を粉にして杏奈様にお仕えすると決意しております。」
「・・・」
「決して邪魔は致しません。」
いかにも憐れそうに目に涙を浮かべるズンに、ため息が出る。
「どうして私と契約なんか。何も得なんてないでしょうに。・・・少し疲れたから休むわ。」
色々と、1人で考えたい。黒耀のこと、菫のこと、ズン・・はどうにも出来ないけど、心を整理しなくては。部屋に入ってふと考えた、そういえば黒耀は、いつからどうやって碧なのだろう。
杏奈を見送ったズンは1人ほくそ笑んだ。
「むほほ、得がないとはご謙遜を。杏奈様が名家のご令嬢だと言うことは存じておりますし、黒耀様が時期魔王ということは杏奈様も、むほほっ・・・」
**
菫は、この街一番と言ってもいい程の高級な宿に宿泊していた。しかも碧と同室で。
ムカついて、つい舌打ちした。
部屋に入ると、菫は碧の後ろに隠れ、おどおどとした様子で私を見た。きっと拒えているのだ。1度周囲の者からの辛い拒絶を体験したら、その恐怖はなかなか消すことが出来ない。相手の目を見ることも辛いはず。私は出来る限るの笑顔を顔に張り付けて、両腕を広げて踏み出した。あわよくば黒耀ごと・・・
「菫、心配していたのよ、急にいなくなるんだもの。」
「ぁ・・・っ。・・杏奈先生っ」
「・・・う、あ、・・?よ、よしよし」
白ける。菫は私が踏み出した途端に、安堵した表情を浮かべ、碧の後ろから飛び出したのだ。
本当、白ける。仲がいい設定になんてしなければよかった。
菫は想像していたよりも随分と元気で、(黒耀のおかげだと思うけど。)私達はその日の内に3人で買い物へ出掛けた。1人余計だけど、デートには違いない。だけど、せっかくのデートだけど、しばらく楽しんで油断させた頃を見計らって、私は歯を食い縛って黒耀に告げた。
「ねぇ、ここからは私達だけで買い物をするわ。」
「は?駄目だ、一緒に行く。」
ふん、信用してないって訳ね。でも・・
「あのねぇ、今から菫の服とか下着とかを見に行くの。それでも付いてくるつもり?」
「う・・」
「終わったらちゃんと送り届けるから、先に帰ってなさいよ。」
下着って聞いただけで耳まで赤くする黒耀が憎い。かつての私の色仕掛けは鼻で笑ったくせに。
「・・・分かった。けど、余計なことはするなよ。」
「はいはい。」
話を聞くだけよ。
買い物をさっさと片付ける為、私は急いで店を見つけ菫を押し込んだ。こんな小娘が着る洋服なんて、麻袋くらいが丁度いいと思うけど、入ったのはそこそこ高級な店だ。精一杯、優しく振る舞う。
「さぁ、好きなのを選んで。」
「え、でも・・」
ふん、「え、でも・・・」ですって。さっさと選べばいいのに。
「なぁに? ここじゃ不満かしら?」
「いえ、あの・・私、自分で選んだ事がなくって。」
「はあ? ・・っと、 自分で選んだ事がない、って?」
「いつも、お母様が選んでくれてたから。」
なに涙ぐんでんのよ。泣きたいのは私だわ。
はぁ・・・、
「そうなのね。う~ん、じゃあ、私が選んでもいい?」
「ええ、是非っ!」
菫は眼を輝かせた。
あぁ、私はこの娘が苦手だ・・・。
買い物が余程楽しかったのか、すっかりはしゃぎ過ぎている菫は、カフェでお茶を飲みたいと言い出した。願ったりのことだけど、菫は私の事を本気で信じている様子だ。
店内のテーブルに案内されメニューを渡されると、菫は嬉しそうに選び始めた。私は、頬杖をつき、それを観察しながら質問を始めた。
「そういえば、菫って、碧と仲が良かったのね?」
「?」
「だってほら、前に2人の関係を聞いた時、そうでもないみたいな言い方だったでしょう? 今は、本当に双子だったんだって、納得出来る感じだわ。」
菫はキョトンと目を瞬かせた。
「あれ・・? あ、そっか。杏奈先生には教えたのでしたね。そうなんです、実は仲直りしたっていうか、私が碧の事、勘違いしてたみたい。へへ。」
「ふぅん、勘違い、ねぇ・・。じゃあ、今は、碧が好きってこと?」
「ふふっ、嫌です杏奈先生ったら。当たり前じゃないですか。たった1人の家族ですから。」
たった1人の、家族。「家族でいい」と言った碧が頭をよぎり、つい、顔を歪ませた。現状では血が繋がっていると分かっているけど、とても割り切れないし、結構きつい。それ以上は進めないと分かっているから、かろうじて冷静を保っていられた。
「・・・ねぇ、ところで、他の家族はいなかったの?」
「あ、ええと、両親は幼いころに、車の事故で・・」
あら?それは、随分と都合がよすぎるのでは?
「そうだったのね。知らなくて・・、ごめんなさい。」
「いいえ。もう昔の事ですから。」
黒耀の顔が浮かんだ。彼がいつから碧なのか、だ。都合がいい事故は、絶好の機会といえるから。でも、聞いても大丈夫かしら?
少し緊張しながら、自然な言葉を探し、おそるおそる口を開いた。
「・・・2人も、一緒にいたの?」
「買い物は、終わったのか?」
!!?? びっっっっくりした。
急に、肩にポン、と手が置かれたのだ。すぐに誰の手か分かったけれど。
「碧っっ!」
菫はパッと立ち上がって歓声を上げた。
「ああ、菫。楽しく過ごせたか?」
「ええ、とっても楽しかったわ!」
「それは良かった。」
言いながら、碧はごく自然に菫の横にぴったりくっついて座った。探るような目で見てくるから、あえて微笑んだ。
「もう宿に帰っているかと思っていたわ。」
「ちょっと気になってさ。ところで、何の話を?」
さっきから真っ直ぐに飛んでくる視線が、痛い。
どう返答しようかと思っていたら、先に菫が口を開いた。
「杏奈先生にね、昔の事を話していたの。」
ああ、言っちゃうのね。そりゃそうだろうけど・・
「へぇ。なぁ杏奈先生、菫は色々あって疲れてるんだ。聞きたいことがあるなら俺に、お願いしますね。」
なにその言い方。先生なんて白々しい。不快に思ったけれど、深呼吸をして気持ちを静めた。
いっそのこと、黒耀の言葉を鵜呑みにしよう。
「分かったわ、じゃあ、今度、2人きりでお話しましょ。」
黒耀は、ふん、と鼻を鳴らした。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
完 あの、なんのことでしょうか。
水鳥楓椛
恋愛
私、シェリル・ラ・マルゴットはとっても胃が弱わく、前世共々ストレスに対する耐性が壊滅的。
よって、三大公爵家唯一の息女でありながら、王太子の婚約者から外されていた。
それなのに………、
「シェリル・ラ・マルゴット!卑しく僕に噛み付く悪女め!!今この瞬間を以て、貴様との婚約を破棄しゅるっ!!」
王立学園の卒業パーティー、赤の他人、否、仕えるべき未来の主君、王太子アルゴノート・フォン・メッテルリヒは壁際で従者と共にお花になっていた私を舞台の中央に無理矢理連れてた挙句、誤り満載の言葉遣いかつ最後の最後で舌を噛むというなんとも残念な婚約破棄を叩きつけてきた。
「あの………、なんのことでしょうか?」
あまりにも素っ頓狂なことを叫ぶ幼馴染に素直にびっくりしながら、私は斜め後ろに控える従者に声をかける。
「私、彼と婚約していたの?」
私の疑問に、従者は首を横に振った。
(うぅー、胃がいたい)
前世から胃が弱い私は、精神年齢3歳の幼馴染を必死に諭す。
(だって私、王妃にはゼッタイになりたくないもの)
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる