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新しい生活
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*海
新しいお父様とお母様は、とても優しい。
あの時抱きしめてくれたお母様の腕は、とても暖かくて、柔らかくて、思わず記憶の奥底の、本当のお母様を思い出したのだっけ。
久しぶりに、施設を出る時の夢を見た私は、目が覚めて少しの間、目を瞑ったまま、ぼんやりと幸せを噛み締めていた。
春さんが言っていた通り、私は幸運を手にしたのだわ。
ふと目を開けると、いつの間にか部屋に入ってきていたお母様が、私の顔を覗き込んでいた。
「あ・・・お母様・・おはようございます。」
「菫さん、おはよう。今日も可愛いわ。」
「ふふ。お母様ったら、毎日そればっかりだわ。」
「だって、本当に可愛いのだもの。」
お母様はベッドの端に腰かけると、目を細めて私の頭を撫でた。私もそれに応え、にっこりと微笑み返した。「菫さん」として。
「菫さん」というのは、お父様とお母様の本当の子どもの名前だと、最初の頃にお父様に聞いた。産まれる前に亡くなったのだそうで、私は「菫さん」の為に準備されていた部屋で、「菫さん」が使う筈だったベッドや家具、その他全ての物を与えられた。お父様は最初は、お母様が私の事を「菫さん」と呼ぶ度に顔をしかめていたけど、今ではお母様と同じに、私の事を「菫さん」と呼ぶようになっている。
だけどそう呼び始めたくらいから、お父様は、お屋敷に帰って来ない日が増えた気がする。
私が「菫さん」として暮らしているのが、嫌なのかもしれない。それは、とても悲しいと思う。
お母様に腕を引っ張られて起き上がると、そのまま強く抱き締められた。存在を確かめるようなその行為は、毎日の日課となっていた。
「苦しいわ、お母様。」
「だって、可愛て可愛くて堪らないのだもの。あ、ねぇ、今日は何を着るか、もう決めているのかしら?」
「まだよ、お母様。お母様が選んで下さる?」
「もちろんよ。今日はね、水色のワンピースがいいと思っていたの。」
お母様は鼻歌を歌いながら、踊るような足取りでクロークへ向かった。色別に分けられた洋服の、青系のところで立ち止まり、目にとまった物を手にとっては戻す、を繰り返す。ちらちらと私を見て笑顔になるから、私も口の端を上げて笑った顔をした。甘えれば甘えるほどご機嫌になるのは碧と同じだ。・・・そう考えて、あれ?と思った。碧は、どんな風だったっけ?さっきまで見ていた夢の中にも碧はいた筈なのに、思い出そうとすると、霧のように散っていく。それなのに、不思議と罪悪感と恐ろしさだけは濃くなっていくのだ。
・・・考えるのをやめよう。頭を振って気持ちを切り替えた。きっと、昨日引き出しからあんな手紙を見付けたからいけなかったのだ。
顔を上げてお母様を見ると、まだ洋服選びに夢中なようだった。
それから10日程経ったある日、午後のお勉強が終わり、家庭教師の聖羅先生と共に階段を下りると、奥のお父様のお部屋から怒鳴り声が聞こえた。初めて聞くお父様の大きな声に心臓の音がドクドクと大きくなった。思わず聖羅先生の手を握りしめてしまい、握り返された。
「菫さん、先生、もう少しここにいましょうか?」
「えっ、え、えっと・・・」
その時扉が開いて、お母様が飛び出した。その後ろ姿が泣いているように見えて、慌てた。他人に見せてはいけない姿だ。
「聖羅先生、今日はありがとうございました。気を付けてお帰り下さいっ。」
追い出す様に見送ってから、まずは何があったのか知りたくて、お父様の部屋を覗いた。
お父様は項垂れて立っていた。
「お父様・・・。あの、何か、あったのですか?」
おそるおそる聞いてみれば、自分でもびっくりしてしまう程、声が震えていた。僅かに肩を上げて私を振り返ったお父様は、私の存在に驚いたのか目を見開いているけれど、同時に、今にも泣きそうな顔をしていた。
「えっ? お、お父様?」
「あぁ・・・すまない。情けない顔をしてるだろう。これが、君に届いたんだ。」
すぅ、と血の気が引いた。それは一通の手紙で、封は切られている。嫌な予感しかしない。
「私に、ですか?」
「あぁ。碧、と書いてあった。」
ドクン、と心臓が跳び跳ねた。なぜ?どうして?と、疑問符ばかりが浮き上がる。
「あ、碧・・ですか?」
「手紙を、出したようだね。住所を知っていた。」
「わ、私っ、手紙なんて・・」
出していないと言い掛けてはっとした。屑入れに入れた手紙は、どうなった?ちゃんと捨てられなかったのかもしれない。そういえば少し前に、女中の鞠さんが手紙を出すとか、出さないとか聞いてきていた気がする。自分には関係ないと思ってどう返事をしたかも覚えていなかった。鞠さんは以前にも、大事なペンダントをうっかり屑入れに落として気付かないままだった時、捨てずに拾い、机に置いてくれていたことがあった。もしもあの手紙も拾われたのなら・・・。
青ざめる私に、お父様は静かな声で言った。
「いや、読みたいなら読んでも構わないよ。」
読みたいなら読んでも構わない・・・。私は恐くなって首を横に振った。
「読みません。読みたくありません。」
「我慢なんかしなくていい。この手紙は君宛てに来た物なのだから。」
「でも、お母様が」
「ああ、すまない、妻が先に開けてしまってね。でも中身までは読んでない筈だから。」
「それでも、読めません。私はもう、『菫』なのだから。」
お父様は、ますます泣きそうな顔をした。
「あぁ、すまない。やっぱり気にしていたのだね。妻は亡くなった子どもを勝手に君に重ねている。だけど君は、君のままでいいんだ、気にしなくてもいいんだよ。」
違う。そうじゃない、と私は強く首を振った。
「お父様、違うんです。私、『菫』でいいんです。お父様とお母様が大好きだから、ずっとここにいたい。それに私、手紙なんて送ってないです。きっと、どこかで調べたんだと思います。その人・・、あまり仲良くなかったし・・・」
「家族じゃなかったのかい?」
ドキリとした。お父様は碧の事知ってたんだ。
「か、家族ですけど、仲良くなくて、というか、もうあまり覚えていないんです。そ、それよりもお父様は、私が『菫』と呼ばれるのは、嫌ですか?やっぱり、私なんかが娘なのは・・」
「そんなことはないっ!」
咄嗟に言った言葉の、辻褄をあわせようと必死になって、つい、口から飛び出した私の不安に、お父様は大きな声で否定してくれた。
「・・・っ、嫌なわけないだろうっ。」
苦しそうな、絞り出したかのような声のお父様は、泣いていた。私も何だか悲しくなって、涙が溢れた。
「でも、でも・・いつも私を避けているわ。」
「違うんだ。あぁ、ごめんよ。ただ、分からなくなったんだ。妻が『菫』と呼んで、まるで本当の『菫』のように振る舞うから。そして君も、それを受け入れていて・・・でも、君は「海」だろう。だから、どうしていいか、戸惑ってしまっただけなんだ。君に辛い思いをさせたなら、すまない。」
お父様は私を嫌ってなんかいなかった。じわりと胸が熱くなって、自然と笑みが溢れた。
「お父様・・私、辛くなんてありません。それよりも、お父様の気持ちが分かって嬉しいです。」
「本当にすまない。気にしていたのは私の方だったな。」
「お父様、謝ってばかりは嫌です。私の事、嫌いじゃないのなら、もっと、もっと、よく見て下さい。」
「あ、ああ、菫、顔をよく見せておくれ。」
「あ・・・。」
『菫』と呼ばれた途端、胸がチクリと痛んだ。
さっき戸惑うと言っていたばかりなのに。
「お父様は、『海』と呼んで下さい。私はお父様には『海』って呼ばれたいです。」
「・・・海・・」
「はい、お父様。」
「海、おいで。」
お父様は椅子に腰かけて手を広げた。
「ふふ、お父様。それじゃあまるで膝においでって言っているようだわ。私をいくつだと思っているの?」
「あ、あぁ、すまない。」
「ふふ」
狼狽えるお父様が可愛くて、私はわざと膝の上に乗った。そしてそのまま身体を捻らせて、首に抱きついた。
「お父様、大好き。」
「ああ、大好きだよ、海」
呼ばれ方なんてどうでもいいと思っていたのに、久しぶりに『海』と呼ばれるのは、ふわふわとくすぐったく、嬉しかった。
お父様は応えるようにぎゅっと力強く抱き締めてくれた。もっともっと抱き締めて欲しい。膝に乗ってお父様の肩に顔を埋めると、すぅっ、と鼻を抜ける、いい匂いがした。お母様の甘い優しい匂いも好きだけど、この匂いもとても好き・・・。ふんふん、と嗅いでいたら、「くすぐったいな」と笑った。
「また、抱っこしてくれる?」
「勿論だよ。いつでも部屋においで。」
部屋を出る前に聞くと、笑顔でそう答えてくれた。最後にもう一度手紙の事を聞かれたけど、私は変わらず読みたくないと答えた。それは本心で、せっかく手に入れた幸運を壊したくはないと思っていた。
新しいお父様とお母様は、とても優しい。
あの時抱きしめてくれたお母様の腕は、とても暖かくて、柔らかくて、思わず記憶の奥底の、本当のお母様を思い出したのだっけ。
久しぶりに、施設を出る時の夢を見た私は、目が覚めて少しの間、目を瞑ったまま、ぼんやりと幸せを噛み締めていた。
春さんが言っていた通り、私は幸運を手にしたのだわ。
ふと目を開けると、いつの間にか部屋に入ってきていたお母様が、私の顔を覗き込んでいた。
「あ・・・お母様・・おはようございます。」
「菫さん、おはよう。今日も可愛いわ。」
「ふふ。お母様ったら、毎日そればっかりだわ。」
「だって、本当に可愛いのだもの。」
お母様はベッドの端に腰かけると、目を細めて私の頭を撫でた。私もそれに応え、にっこりと微笑み返した。「菫さん」として。
「菫さん」というのは、お父様とお母様の本当の子どもの名前だと、最初の頃にお父様に聞いた。産まれる前に亡くなったのだそうで、私は「菫さん」の為に準備されていた部屋で、「菫さん」が使う筈だったベッドや家具、その他全ての物を与えられた。お父様は最初は、お母様が私の事を「菫さん」と呼ぶ度に顔をしかめていたけど、今ではお母様と同じに、私の事を「菫さん」と呼ぶようになっている。
だけどそう呼び始めたくらいから、お父様は、お屋敷に帰って来ない日が増えた気がする。
私が「菫さん」として暮らしているのが、嫌なのかもしれない。それは、とても悲しいと思う。
お母様に腕を引っ張られて起き上がると、そのまま強く抱き締められた。存在を確かめるようなその行為は、毎日の日課となっていた。
「苦しいわ、お母様。」
「だって、可愛て可愛くて堪らないのだもの。あ、ねぇ、今日は何を着るか、もう決めているのかしら?」
「まだよ、お母様。お母様が選んで下さる?」
「もちろんよ。今日はね、水色のワンピースがいいと思っていたの。」
お母様は鼻歌を歌いながら、踊るような足取りでクロークへ向かった。色別に分けられた洋服の、青系のところで立ち止まり、目にとまった物を手にとっては戻す、を繰り返す。ちらちらと私を見て笑顔になるから、私も口の端を上げて笑った顔をした。甘えれば甘えるほどご機嫌になるのは碧と同じだ。・・・そう考えて、あれ?と思った。碧は、どんな風だったっけ?さっきまで見ていた夢の中にも碧はいた筈なのに、思い出そうとすると、霧のように散っていく。それなのに、不思議と罪悪感と恐ろしさだけは濃くなっていくのだ。
・・・考えるのをやめよう。頭を振って気持ちを切り替えた。きっと、昨日引き出しからあんな手紙を見付けたからいけなかったのだ。
顔を上げてお母様を見ると、まだ洋服選びに夢中なようだった。
それから10日程経ったある日、午後のお勉強が終わり、家庭教師の聖羅先生と共に階段を下りると、奥のお父様のお部屋から怒鳴り声が聞こえた。初めて聞くお父様の大きな声に心臓の音がドクドクと大きくなった。思わず聖羅先生の手を握りしめてしまい、握り返された。
「菫さん、先生、もう少しここにいましょうか?」
「えっ、え、えっと・・・」
その時扉が開いて、お母様が飛び出した。その後ろ姿が泣いているように見えて、慌てた。他人に見せてはいけない姿だ。
「聖羅先生、今日はありがとうございました。気を付けてお帰り下さいっ。」
追い出す様に見送ってから、まずは何があったのか知りたくて、お父様の部屋を覗いた。
お父様は項垂れて立っていた。
「お父様・・・。あの、何か、あったのですか?」
おそるおそる聞いてみれば、自分でもびっくりしてしまう程、声が震えていた。僅かに肩を上げて私を振り返ったお父様は、私の存在に驚いたのか目を見開いているけれど、同時に、今にも泣きそうな顔をしていた。
「えっ? お、お父様?」
「あぁ・・・すまない。情けない顔をしてるだろう。これが、君に届いたんだ。」
すぅ、と血の気が引いた。それは一通の手紙で、封は切られている。嫌な予感しかしない。
「私に、ですか?」
「あぁ。碧、と書いてあった。」
ドクン、と心臓が跳び跳ねた。なぜ?どうして?と、疑問符ばかりが浮き上がる。
「あ、碧・・ですか?」
「手紙を、出したようだね。住所を知っていた。」
「わ、私っ、手紙なんて・・」
出していないと言い掛けてはっとした。屑入れに入れた手紙は、どうなった?ちゃんと捨てられなかったのかもしれない。そういえば少し前に、女中の鞠さんが手紙を出すとか、出さないとか聞いてきていた気がする。自分には関係ないと思ってどう返事をしたかも覚えていなかった。鞠さんは以前にも、大事なペンダントをうっかり屑入れに落として気付かないままだった時、捨てずに拾い、机に置いてくれていたことがあった。もしもあの手紙も拾われたのなら・・・。
青ざめる私に、お父様は静かな声で言った。
「いや、読みたいなら読んでも構わないよ。」
読みたいなら読んでも構わない・・・。私は恐くなって首を横に振った。
「読みません。読みたくありません。」
「我慢なんかしなくていい。この手紙は君宛てに来た物なのだから。」
「でも、お母様が」
「ああ、すまない、妻が先に開けてしまってね。でも中身までは読んでない筈だから。」
「それでも、読めません。私はもう、『菫』なのだから。」
お父様は、ますます泣きそうな顔をした。
「あぁ、すまない。やっぱり気にしていたのだね。妻は亡くなった子どもを勝手に君に重ねている。だけど君は、君のままでいいんだ、気にしなくてもいいんだよ。」
違う。そうじゃない、と私は強く首を振った。
「お父様、違うんです。私、『菫』でいいんです。お父様とお母様が大好きだから、ずっとここにいたい。それに私、手紙なんて送ってないです。きっと、どこかで調べたんだと思います。その人・・、あまり仲良くなかったし・・・」
「家族じゃなかったのかい?」
ドキリとした。お父様は碧の事知ってたんだ。
「か、家族ですけど、仲良くなくて、というか、もうあまり覚えていないんです。そ、それよりもお父様は、私が『菫』と呼ばれるのは、嫌ですか?やっぱり、私なんかが娘なのは・・」
「そんなことはないっ!」
咄嗟に言った言葉の、辻褄をあわせようと必死になって、つい、口から飛び出した私の不安に、お父様は大きな声で否定してくれた。
「・・・っ、嫌なわけないだろうっ。」
苦しそうな、絞り出したかのような声のお父様は、泣いていた。私も何だか悲しくなって、涙が溢れた。
「でも、でも・・いつも私を避けているわ。」
「違うんだ。あぁ、ごめんよ。ただ、分からなくなったんだ。妻が『菫』と呼んで、まるで本当の『菫』のように振る舞うから。そして君も、それを受け入れていて・・・でも、君は「海」だろう。だから、どうしていいか、戸惑ってしまっただけなんだ。君に辛い思いをさせたなら、すまない。」
お父様は私を嫌ってなんかいなかった。じわりと胸が熱くなって、自然と笑みが溢れた。
「お父様・・私、辛くなんてありません。それよりも、お父様の気持ちが分かって嬉しいです。」
「本当にすまない。気にしていたのは私の方だったな。」
「お父様、謝ってばかりは嫌です。私の事、嫌いじゃないのなら、もっと、もっと、よく見て下さい。」
「あ、ああ、菫、顔をよく見せておくれ。」
「あ・・・。」
『菫』と呼ばれた途端、胸がチクリと痛んだ。
さっき戸惑うと言っていたばかりなのに。
「お父様は、『海』と呼んで下さい。私はお父様には『海』って呼ばれたいです。」
「・・・海・・」
「はい、お父様。」
「海、おいで。」
お父様は椅子に腰かけて手を広げた。
「ふふ、お父様。それじゃあまるで膝においでって言っているようだわ。私をいくつだと思っているの?」
「あ、あぁ、すまない。」
「ふふ」
狼狽えるお父様が可愛くて、私はわざと膝の上に乗った。そしてそのまま身体を捻らせて、首に抱きついた。
「お父様、大好き。」
「ああ、大好きだよ、海」
呼ばれ方なんてどうでもいいと思っていたのに、久しぶりに『海』と呼ばれるのは、ふわふわとくすぐったく、嬉しかった。
お父様は応えるようにぎゅっと力強く抱き締めてくれた。もっともっと抱き締めて欲しい。膝に乗ってお父様の肩に顔を埋めると、すぅっ、と鼻を抜ける、いい匂いがした。お母様の甘い優しい匂いも好きだけど、この匂いもとても好き・・・。ふんふん、と嗅いでいたら、「くすぐったいな」と笑った。
「また、抱っこしてくれる?」
「勿論だよ。いつでも部屋においで。」
部屋を出る前に聞くと、笑顔でそう答えてくれた。最後にもう一度手紙の事を聞かれたけど、私は変わらず読みたくないと答えた。それは本心で、せっかく手に入れた幸運を壊したくはないと思っていた。
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