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ジジの話し

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 最近はレオの話しばかりでしたので、元保護猫のジジの話しをします。


 ジジの名前は、ジプリ映画の魔女の宅急便から拝借しました。

 黒猫ですが、お腹と首と耳の中に白い毛が生えています。

 お腹の白い模様は、月の輪熊か、座ると逆さまハートに見えます。


 7年前の雨が降る日に、草むらから仔猫の鳴き声がしました。
 その日私は出勤途中で、その頃の我が家には、ミニチュアダックスフンドが二匹いました。

「誰か優しい人に拾われますように」

 そう願い、その場を後にしました。

 仕事が終わり帰り道に、その場所に行くと、小さな黒猫が私を見るなり、
「シャーッ」
と言って逃げてしまいました。

 次の日は仕事が休みでした。
雨が嫌いな犬達は散歩を嫌がりましたが、霧雨だったので二匹を連れて、あの場所へ行きました。


 すると草むらの中から、蚊の鳴くような声で、仔猫がびしょ濡れでいました。

 もう仔猫には、逃げる元気は残っていませんでした。


 家に連れ帰り洗面所で、手のひらサイズの仔猫を洗いました。

 真っ黒というより、グレーに細かい虎柄が入っていました。

 娘に写真を送ると、
「可愛くないね」
「いつまでいるの?」
と、返信が来ました。

 私は、
「ずっと」
と、返信しました。

 幸い、ミルクとフードは自力で食べました。

 便が出ないので、肛門を刺激して排便も出来ました。

 慌てて作ったダンボールに猫砂を入れた中に、おしっこも教えなくても出来ました。

 犬がいるから、別の部屋に隔離すると、小さな身体なのに大きな声で、
「にゃあおん にゃあおん」
と鳴きます。

 犬達は、自分達より小さな命を受け入れ、何をされても許していました。

 そんなジジは、今ではレオより大きな身体になり、毛並みも綺麗になりました。
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