カスハラ(夜の連続テレビ小説ミキちゃん)

初恋

　私にとって元夫は、初恋ではないですが、全部が初めての人でした。

　中学生の頃に、好きになった人は、一つ年上の林君でした。
　当時はツッパリ君ブーム、なめ猫が流行っていました。
　
　私が中１の頃通っていた横浜の中学校は、特殊学級を含めて一学年16クラスあるマンモス校でした。片道40分かけて徒歩で通っていました。
　
　中学二年の時に分校して、三年生を残し私達二年生が一期生となる新校が出来ました。

　その頃に、東京から転校してきた圭子ちゃんは、大人っぽくて、みんなで海に行った時に、私達はスクール水着だったのに、圭子ちゃんは、黒のビキニを着ていました。

　なぜか、私達は気が合って、放課後に近所の喜楽食堂(やんちゃがたむろしている所)に行っていました。

　テーブルは、インベーダーゲームやギャラガが、50円で出来ました。

　林君は、地元の暴走族「地獄族」で旗持ちをしていると言っていました。

　林君は、リーゼントで色白で、背が高くて、目が切れ長でカッコよかったです。

　彼から、地獄族のハチマキをもらって大切にしていました。

　その後、林君は高校に進学し、会う事はなくなったのですが、人伝えにバイクで事故って入院したと聞きました。

　一つ上のお兄さんがいる友達に、卒業アルバムを借りて、林君の実家の住所と電話番号をゲット。(昔は、卒業アルバムに住所と電話番号が載っていました。)

　私は勇気を出して、林君に手紙を書きました。
　すると何日かして、林君から電話がありました。当時は携帯などなくて、家電は黒電話でした。

　何度か電話を繰り返し、いい感じになってた頃に、昭に出会いました。
　昭和の昭に憲法の憲で昭憲(あきのり)だけど、みんなは昭(しょう)ちゃんと呼んでいました。

　私は林君に、好きな人が出来た事を伝えました。林君とは、電話だけで会う事はなかったです。

　それから10年後、私が25歳で再婚した夫の子を妊娠中に、通っていた産婦人科で、なんと、お腹の大きな圭子ちゃんに偶然、会いました。

　なんと、圭子ちゃんの旦那は、あの林君だったのです。

　嘘みたいだけど、本当の話です。