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学園入学編
やってきたのは……
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「おい、お前ら、いい知らせだ。新しい従業員の件、本店から人を回してくれるってよ」
求人の広告の張り出しと、本店へのヘルプの打診をしてから暫くして、レオンさんが手にした便箋を見ながら私たちに告げる。きっと本店からの手紙だろう。
「えーと、なになに……名前はメアリーアン。女。20代のハーフエルフ。接客経験はほぼ無し……だそうだ。最後がちょっと不安だが、貴重な人材には変わりねえ。よろしくしてやってくれ」
「わあ、ついにですか。やりましたね。いつ頃来られるんですか?」
「明日の開店前だそうだ。ネコ子にクロード、サポート頼むぞ」
「わかりました。ああそうだ。その方のために新しい眼鏡を用意しないといけませんね」
クロードさんが既に眼鏡の心配をしている。気が早いな。
私は新人さんに仕事を引き継ぎ次第、魔法学院に通う予定になっている。と、なると、暫くこのお店ともお別れかあ。
なんとなく感慨深い思いでお店の中を見回した。
◇◇◇◇◇
そうして迎えた翌日。
朝からみんなで通常通り開店準備をしながらも、反面そわそわと浮き足立っている。
原因は明白。新しい従業員のせいだ。私達は平静を装いながらも、新たなウェイトレスの到着を今か今かと待っている。その通常とは異なる空気が店内に漂っているのだ。
新しい出会いというものは期待と多少の緊張が伴う。どんな人なんだろう。優しい人だといいなあ。
その時、入口のドアが勢いよく開いた。
「失礼いたします。銀のうさぎ亭本店からやってまいりましたメアリーアンと申します」
物怖じする様子もなく、流暢な挨拶を述べたその女性は、レオンさんと同じプラチナブロンドの髪と、ハーフエルフ特有の少し長い耳を持っていた。
そしてさすがというべきか、白い肌にブルーの瞳が輝く。まるでおとぎ話に出てくるお姫様のような美貌。メアリーアンさんの長い髪と凜とした雰囲気がそれに拍車をかけていた。
「未熟者ですので、どうかご指導ご鞭撻のほど……」
厨房から出てきたレオンさんが、深々とお辞儀をするメアリーアンさんに目を向ける。
「おう、本店から話は聞いてる。そんな堅苦しくしなくてもいいぜ。これからよろしくな」
「はい、ありがとうございま――」
顔を上げたメアリーアンさんは、そのまま言葉を失った石像のように固まった。華やかな笑みを顔に貼り付けたまま。
対するレオンさんも握手でもしようとしたのか、手を差し出そうとした格好のまま固まっている。
な、なんだろう。この間は。まさかこの瞬間に二人は恋に落ちました。なんていう展開じゃないよね。いや、それも面白そうだけど。
などと考えていると、突然
「レ、レオンハルトーー!!?」
「あ、姉貴!?」
向かい合っていた二人が同時に叫び声をあげた。
え、なに? レオンさん、今「姉貴」って言ったよね? そしてメアリーアンさんはレオンさんの本名を知っている。
ということは、二人はきょうだい……?
それを裏付けるようにメアリーアンさんは口を開く。
「あなた! 行方知れずになってからどうしていたのかと思ったら! こんな所に隠れていたのね!? この愚弟! お父様とお母様がどんなに心を痛めたか……今すぐ家に帰って土下座なさい!!」
「うるせー! 俺が帰ったらややこしいことになるだろ! ぜってー帰らねえからな! 姉貴こそ偽名まで使って何やってんだよ! つーか、メアリーアンて、昔うちにいた召使いの名前じゃねえか!」
「あらあ、よく覚えてるわねえ。レオンハルトくんはメアリーアンにご執心だったからねえ。『大きくなったらぼくのお嫁さんになってよ』とか口説いてたものねえ」
「やめろ! 俺の少年時代の甘酸っぱい思い出を変な方向に曲解するのはやめろ! それよりお前こそ結婚して家を出たはずだろ! こんなところでなにやってんだよ!」
「まあ! 姉に向かって『お前』だなんて酷い言い様! どこでそんな野蛮な言葉を覚えたのかしら。『姉上』でしょ! ほら、言ってみなさい! 『クラウディア姉上』って」
「うるせー! 命令すんなバカ姉貴!」
瞬く間に二人は激しく言い争いを始めた。
私とクロードさんはあっけに取られて、その様子を見ているばかり。
しかし、まさかこんなところできょうだいが奇跡の再会を果たすとは。見たところ感動の再会というようには思えないけれど……。
そんな中、先に正気を取り戻したのはクロードさんだった。言い合っている二人の会話の途切れたわずかな瞬間を縫って、さりげなく割って入る。
「あの、お取込み中大変申し訳ありませんが、よろしければ事情を聞かせて頂けませんでしょうか?」
◇◇◇◇◇
「あー……こいつは俺の姉で、本名はクラウディア」
ひとまず落ち着いたところで、レオンさんがお姉さんを紹介する。
やっぱりきょうだいだったのか。言われてみれば面差しが似ているかも。
「で、なにがあったかわからねえけど、家出して本店に行ったみたいだな。それで、偶然にもこの店に配属されたと。つーか何で偽名まで使ってここにいるんだよ。ちゃんと説明しねえと旦那に連絡して引き取りにきて貰うからな」
「それだけはやめて!!」
クラウディアさんの予想外に激しい勢いに、その場が一瞬で静寂に包まれた。
直後、クラウディアさんがはっとしたように顔を赤らめる。
「と、ともかく、家を出たわたくしは、今はクラウディアではなく、メアリーアンという名なのです。レオンハルト、あなた、この事を夫やその関係者にバラしてごらんなさい。わたくしもあなたがこのお店で働いていることを実家に伝えますよ」
「なんだそれ、汚ねえぞ!」
「それが嫌なら、大人しくわたくしを『メアリーアン』としてこのお店で受け入れることね」
「ぐっ……」
レオンさんが不本意そうに黙り込む。
どうやらきょうだい喧嘩は姉に軍配が上がったようだ。
と、そこでお姉さんは私とクロードさんに笑いかける。先ほどの言い争いなど無かったかのように。
「改めてよろしくお願いしますね。ええと……」
「ああ、これは失礼。名乗るのが遅れました。私はクロードと申します」
弾かれたように名乗るクロードさんに、私も追随する。
「わ、私はユキです。よろしくお願いします。クラウディアさ――」
「メアリーアン」
「……メアリーアンさん」
こうしてメアリーアン(本名クラウディア)さんがお店の仲間に加わった。
求人の広告の張り出しと、本店へのヘルプの打診をしてから暫くして、レオンさんが手にした便箋を見ながら私たちに告げる。きっと本店からの手紙だろう。
「えーと、なになに……名前はメアリーアン。女。20代のハーフエルフ。接客経験はほぼ無し……だそうだ。最後がちょっと不安だが、貴重な人材には変わりねえ。よろしくしてやってくれ」
「わあ、ついにですか。やりましたね。いつ頃来られるんですか?」
「明日の開店前だそうだ。ネコ子にクロード、サポート頼むぞ」
「わかりました。ああそうだ。その方のために新しい眼鏡を用意しないといけませんね」
クロードさんが既に眼鏡の心配をしている。気が早いな。
私は新人さんに仕事を引き継ぎ次第、魔法学院に通う予定になっている。と、なると、暫くこのお店ともお別れかあ。
なんとなく感慨深い思いでお店の中を見回した。
◇◇◇◇◇
そうして迎えた翌日。
朝からみんなで通常通り開店準備をしながらも、反面そわそわと浮き足立っている。
原因は明白。新しい従業員のせいだ。私達は平静を装いながらも、新たなウェイトレスの到着を今か今かと待っている。その通常とは異なる空気が店内に漂っているのだ。
新しい出会いというものは期待と多少の緊張が伴う。どんな人なんだろう。優しい人だといいなあ。
その時、入口のドアが勢いよく開いた。
「失礼いたします。銀のうさぎ亭本店からやってまいりましたメアリーアンと申します」
物怖じする様子もなく、流暢な挨拶を述べたその女性は、レオンさんと同じプラチナブロンドの髪と、ハーフエルフ特有の少し長い耳を持っていた。
そしてさすがというべきか、白い肌にブルーの瞳が輝く。まるでおとぎ話に出てくるお姫様のような美貌。メアリーアンさんの長い髪と凜とした雰囲気がそれに拍車をかけていた。
「未熟者ですので、どうかご指導ご鞭撻のほど……」
厨房から出てきたレオンさんが、深々とお辞儀をするメアリーアンさんに目を向ける。
「おう、本店から話は聞いてる。そんな堅苦しくしなくてもいいぜ。これからよろしくな」
「はい、ありがとうございま――」
顔を上げたメアリーアンさんは、そのまま言葉を失った石像のように固まった。華やかな笑みを顔に貼り付けたまま。
対するレオンさんも握手でもしようとしたのか、手を差し出そうとした格好のまま固まっている。
な、なんだろう。この間は。まさかこの瞬間に二人は恋に落ちました。なんていう展開じゃないよね。いや、それも面白そうだけど。
などと考えていると、突然
「レ、レオンハルトーー!!?」
「あ、姉貴!?」
向かい合っていた二人が同時に叫び声をあげた。
え、なに? レオンさん、今「姉貴」って言ったよね? そしてメアリーアンさんはレオンさんの本名を知っている。
ということは、二人はきょうだい……?
それを裏付けるようにメアリーアンさんは口を開く。
「あなた! 行方知れずになってからどうしていたのかと思ったら! こんな所に隠れていたのね!? この愚弟! お父様とお母様がどんなに心を痛めたか……今すぐ家に帰って土下座なさい!!」
「うるせー! 俺が帰ったらややこしいことになるだろ! ぜってー帰らねえからな! 姉貴こそ偽名まで使って何やってんだよ! つーか、メアリーアンて、昔うちにいた召使いの名前じゃねえか!」
「あらあ、よく覚えてるわねえ。レオンハルトくんはメアリーアンにご執心だったからねえ。『大きくなったらぼくのお嫁さんになってよ』とか口説いてたものねえ」
「やめろ! 俺の少年時代の甘酸っぱい思い出を変な方向に曲解するのはやめろ! それよりお前こそ結婚して家を出たはずだろ! こんなところでなにやってんだよ!」
「まあ! 姉に向かって『お前』だなんて酷い言い様! どこでそんな野蛮な言葉を覚えたのかしら。『姉上』でしょ! ほら、言ってみなさい! 『クラウディア姉上』って」
「うるせー! 命令すんなバカ姉貴!」
瞬く間に二人は激しく言い争いを始めた。
私とクロードさんはあっけに取られて、その様子を見ているばかり。
しかし、まさかこんなところできょうだいが奇跡の再会を果たすとは。見たところ感動の再会というようには思えないけれど……。
そんな中、先に正気を取り戻したのはクロードさんだった。言い合っている二人の会話の途切れたわずかな瞬間を縫って、さりげなく割って入る。
「あの、お取込み中大変申し訳ありませんが、よろしければ事情を聞かせて頂けませんでしょうか?」
◇◇◇◇◇
「あー……こいつは俺の姉で、本名はクラウディア」
ひとまず落ち着いたところで、レオンさんがお姉さんを紹介する。
やっぱりきょうだいだったのか。言われてみれば面差しが似ているかも。
「で、なにがあったかわからねえけど、家出して本店に行ったみたいだな。それで、偶然にもこの店に配属されたと。つーか何で偽名まで使ってここにいるんだよ。ちゃんと説明しねえと旦那に連絡して引き取りにきて貰うからな」
「それだけはやめて!!」
クラウディアさんの予想外に激しい勢いに、その場が一瞬で静寂に包まれた。
直後、クラウディアさんがはっとしたように顔を赤らめる。
「と、ともかく、家を出たわたくしは、今はクラウディアではなく、メアリーアンという名なのです。レオンハルト、あなた、この事を夫やその関係者にバラしてごらんなさい。わたくしもあなたがこのお店で働いていることを実家に伝えますよ」
「なんだそれ、汚ねえぞ!」
「それが嫌なら、大人しくわたくしを『メアリーアン』としてこのお店で受け入れることね」
「ぐっ……」
レオンさんが不本意そうに黙り込む。
どうやらきょうだい喧嘩は姉に軍配が上がったようだ。
と、そこでお姉さんは私とクロードさんに笑いかける。先ほどの言い争いなど無かったかのように。
「改めてよろしくお願いしますね。ええと……」
「ああ、これは失礼。名乗るのが遅れました。私はクロードと申します」
弾かれたように名乗るクロードさんに、私も追随する。
「わ、私はユキです。よろしくお願いします。クラウディアさ――」
「メアリーアン」
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