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臨時会議
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王子様達の世直し見学騒動から一晩経った。
けれど、まるでそんな事など無かったかのように、朝はいつも通りに訪れる。だから私も、あれは夢だったんじゃないかと勘違いしそうになる。
それくらい現実離れした出来事だったといえよう。
まあ、異世界で猫耳としっぽを生やした姿で生活している時点で充分非現実的なのだが。
◇◇◇◇◇
昨晩も花咲きさんはベッドを譲ってくれた。
起床後に寝室から出ると、仕事を終えたらしき花咲きさんが床に寝転がっていた。
着られる毛布が役立っているようで何より。
いつものようにカツサンドを作ると、小さめのランチボックスに詰める。
「花咲きさん、お昼の分のカツサンド、お台所に置いておきますからね。それじゃあ行ってきま――」
「……ちょっと待て」
のそのそと起き上がった花咲きさんは
「……顔を洗ってくる」
と、洗面所に消えていった。
はて。私が出勤するのと顔を洗うことに何の関係が?
「我輩も一緒に行く」
戻ってきた花咲きさんはそんな事を言い出した。
どこかに行く用事でもあるのかな?
ともあれ、少しでも長く一緒にいられるのは嬉しい。
外へ出ると、陽光が容赦なく照らしてくる。
「陽射しが強いな」
「そろそろ本格的に夏になりそうですね」
寝不足の花咲きさんには、明るく降り注ぐ太陽の光が辛いらしい。何度も瞬きをしている。
「日傘でも差したらどうですか?」
「なるほど。それは良いかもしれないな。考えておこう」
とはいえ、この世界では男の人が日傘を使うのは普通なのかな? 少なくとも私は見た事ないけど。
でも、花咲きさんなら似合いそう。
そんな事を考えていると、銀のうさぎ亭二号店の前に着いた。
「それじゃあ花咲きさん、行ってきますね」
「ああ、くれぐれも怠けるなよ」
余計な一言を付け加えながら、花咲きさんは元来た道を戻って行った。
結局どこへ行くんだろう。
◇◇◇◇◇
「これより銀のうさぎ亭二号店臨時発展会議を行う」
閉店後の店内にレオンさんの声が響く。
「あの、レオンさん。臨時ってどういう事ですか?」
ここしばらく行われていなかった銀のうさぎ亭発展会議。しかも臨時とは。早急に片付けないといけない問題でも発生したのだろうか?
そんな私の不安が顔に表れていたのか、レオンさんは制するように手を挙げる。
「別に店の経営状態がどうのとかいう話じゃねえよ。売り上げは安定してるしな」
「それじゃあ一体……」
問うと、レオンさんがクロードさんをちらりと見やる。
それを受けて挙手するクロードさん。
「はい。今回は私がどうしてもと頼み込んで、この場を設けて頂きました。今後の銀のうさぎ亭二号店の更なる発展のためにと、ある案を提示させて頂きたいと思いまして」
「ある案、といいますと?」
「ええ。執事&メイドデーに続く新たなイベント『メガネデー』を設けてはいかがかと」
「……メガネデー?」
「そうです。執事やメイドが好きな方がいるように、メガネが好きな方もこの世には多数いるはず。それならば『メガネデー』を設ければ更なる増客が見込めるのではないかと」
「……ええと、具体的には何をする日なんでしょうか?」
クロードさんはメガネを押し上げながらレンズをきらりと光らせる。
「従業員全員がメガネを着用してその日を過ごすのです。いつもの従業員がメガネによって醸し出される知的な一面。それを目にしたお客様はメガネ姿の従業員に惹かれ、再びその姿を目にするためにリピーターになってくださるというわけです……!」
う、うん……?
ちょっとよくわからない。とりあえずクロードさんはメガネ好きなんだなという事は理解できた。そういえば、前にメガネで三つ編みおさげのメイドがどうとか言ってたしな……。
返答に困ってレオンさんに目を向けるも
「あ、俺は除外でな」
「えっ? なんで? ずるい!」
私の抗議の声にもレオンさんは涼しい顔だ。
「湯気でレンズが曇ったりなんかしたら、ろくに料理なんてできねえからな」
ぐぬぬ……なんか正当な理由を提示してきた。論破できない。
隣のノノンちゃんの答えに期待したが
「うざっ……」
「はい?」
「いえ、わたしにはそういう経営? だとかの難しい事はわからなくて……ごめんなさい」
などと言いながらすまなそうに俯く。
嘘だ! さっき小声で「うざっ」って言ったよ!
ていうか眼鏡だけでそんなに効果があるのかな?
と、その時、私の脳裏にとある記憶が蘇った。
かつて「眼鏡スーツカフェ」なるものが日本に存在していたという記憶が。
メガネスーツ姿での接客がコンセプトカフェとして成立するのなら、「メガネデ―」も成立するのでは?
むむむ……そう考えるとクロードさんの案も意外と行けるのか……? いや、でも……。
うーん、もうわからなくなってきた……頭から煙が出そう……。
「……私には判断できかねます」
考えた末に出てきた言葉がそれだった。だって予想もつかないんだもん!
ノノンちゃんは、相変わらず我関せず。表面上は申し訳なさそうな態度を装っている。
するとレオンさんが声を上げた。
「よし、それなら店長権限で俺が決める。試しにやってみようじゃねえか。そのメガネデーってやつを」
うわあ、ひどい。そんな権限で軽々と決定されてしまった。
「でも、私はメガネなんて持ってませんよ?」
「わたしもです」
私とノノンちゃんの声に、クロードさんは
「大丈夫です。今度一緒にメガネ店に行きましょう」
と、やけに嬉しそうに両手をこすり合せる。
くっ、これは逃げられそうにない……諦めてメガネデーを受け入れるしかないみたいだ。
私達の様子を見たレオンさんが手をぱんと叩く。
「よし、決まりだな。それじゃあ週に一度はメガネデーにするってことで。はい解散」
◇◇◇◇◇
メガネデーかあ……はたしてうまく行くのかな? ていうかクロードさんだけ普段からメガネだし、今更私とノノンちゃんの二人がメガネになっても誰が得をするのか……。
などと考えながら後片付けをしていると、同じように店外で作業していたはずのクロードさんが戻ってきた。
「ユキさん。ドアの前でユキさんを待っているという方がおられますよ」
待ってる人? 誰だろう。まさかまた王子様による深夜の世直しツアーへの誘いだったらどうしよう。
「あ、あの、クロードさん。その人ってどんな感じの人ですか?」
もしやユージーンさんかフリージアさんでは……と慄きながら尋ねたところ、意外な答えが返ってきた。
「そうですね……髪は肩より少し長いくらいの男性で、頭部に花の飾りを付けていました」
それって、まさか花咲きさん?
花咲きさんがドリアードの血を引いていると知らないクロードさんは、頭の花を飾りだと勘違いしてしまったようだ。
と、レオンさんが素早く反応する。
「お、まさかそれって、例のお前の男か? どんな奴か顔見てやる」
「や、やめてください恥ずかしい……!」
私の制止も虚しく、レオンさんはひとりお店の外に出て行ってしまった。
まずいな。勤務中の私の失敗エピソードとかをバラされないよね……?
しばらくして戻ってきたレオンさんは
「ネコ子、今日はもう上がっていいぞ。あの男、お前が心配で迎えにきたらしい。いい奴そうじゃねえか。一緒に帰って安心させてやれよ」
どうやらレオンさんは、花咲きさんがいつかの行き倒れ寸前男だとは覚えていないみたいだ。おまけに帰宅の許可までくれて。
そういう事ならお言葉に甘えさせてもらおうではないか。
私は素早く帰宅の準備をすると、お店のみんなに挨拶して外へと出る。
するとそこには予想通り花咲きさんが、壁を背にして立っていた。
「花咲きさん、どうしたんですか?」
「お前を迎えにきた」
それはレオンさんに聞いた。でも知りたいのは――
「どうしてまたそんな事を?」
「昨日言っていたではないか。しつこい客に強引に連れ出されたと。今後はそんな事が無いようにと迎えにきてやったのだ。ありがたく思うがいい」
それって、それって、レオンさんの言ってた通り、私の事が心配だったから?
え、どうしよう。嬉しい。
もしかして、今朝お店まで送ってくれたのも?
「お前がいないとカツサンドにありつけないからな」
台無し。私の歓喜と感謝の心を返して。
けれど、まるでそんな事など無かったかのように、朝はいつも通りに訪れる。だから私も、あれは夢だったんじゃないかと勘違いしそうになる。
それくらい現実離れした出来事だったといえよう。
まあ、異世界で猫耳としっぽを生やした姿で生活している時点で充分非現実的なのだが。
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昨晩も花咲きさんはベッドを譲ってくれた。
起床後に寝室から出ると、仕事を終えたらしき花咲きさんが床に寝転がっていた。
着られる毛布が役立っているようで何より。
いつものようにカツサンドを作ると、小さめのランチボックスに詰める。
「花咲きさん、お昼の分のカツサンド、お台所に置いておきますからね。それじゃあ行ってきま――」
「……ちょっと待て」
のそのそと起き上がった花咲きさんは
「……顔を洗ってくる」
と、洗面所に消えていった。
はて。私が出勤するのと顔を洗うことに何の関係が?
「我輩も一緒に行く」
戻ってきた花咲きさんはそんな事を言い出した。
どこかに行く用事でもあるのかな?
ともあれ、少しでも長く一緒にいられるのは嬉しい。
外へ出ると、陽光が容赦なく照らしてくる。
「陽射しが強いな」
「そろそろ本格的に夏になりそうですね」
寝不足の花咲きさんには、明るく降り注ぐ太陽の光が辛いらしい。何度も瞬きをしている。
「日傘でも差したらどうですか?」
「なるほど。それは良いかもしれないな。考えておこう」
とはいえ、この世界では男の人が日傘を使うのは普通なのかな? 少なくとも私は見た事ないけど。
でも、花咲きさんなら似合いそう。
そんな事を考えていると、銀のうさぎ亭二号店の前に着いた。
「それじゃあ花咲きさん、行ってきますね」
「ああ、くれぐれも怠けるなよ」
余計な一言を付け加えながら、花咲きさんは元来た道を戻って行った。
結局どこへ行くんだろう。
◇◇◇◇◇
「これより銀のうさぎ亭二号店臨時発展会議を行う」
閉店後の店内にレオンさんの声が響く。
「あの、レオンさん。臨時ってどういう事ですか?」
ここしばらく行われていなかった銀のうさぎ亭発展会議。しかも臨時とは。早急に片付けないといけない問題でも発生したのだろうか?
そんな私の不安が顔に表れていたのか、レオンさんは制するように手を挙げる。
「別に店の経営状態がどうのとかいう話じゃねえよ。売り上げは安定してるしな」
「それじゃあ一体……」
問うと、レオンさんがクロードさんをちらりと見やる。
それを受けて挙手するクロードさん。
「はい。今回は私がどうしてもと頼み込んで、この場を設けて頂きました。今後の銀のうさぎ亭二号店の更なる発展のためにと、ある案を提示させて頂きたいと思いまして」
「ある案、といいますと?」
「ええ。執事&メイドデーに続く新たなイベント『メガネデー』を設けてはいかがかと」
「……メガネデー?」
「そうです。執事やメイドが好きな方がいるように、メガネが好きな方もこの世には多数いるはず。それならば『メガネデー』を設ければ更なる増客が見込めるのではないかと」
「……ええと、具体的には何をする日なんでしょうか?」
クロードさんはメガネを押し上げながらレンズをきらりと光らせる。
「従業員全員がメガネを着用してその日を過ごすのです。いつもの従業員がメガネによって醸し出される知的な一面。それを目にしたお客様はメガネ姿の従業員に惹かれ、再びその姿を目にするためにリピーターになってくださるというわけです……!」
う、うん……?
ちょっとよくわからない。とりあえずクロードさんはメガネ好きなんだなという事は理解できた。そういえば、前にメガネで三つ編みおさげのメイドがどうとか言ってたしな……。
返答に困ってレオンさんに目を向けるも
「あ、俺は除外でな」
「えっ? なんで? ずるい!」
私の抗議の声にもレオンさんは涼しい顔だ。
「湯気でレンズが曇ったりなんかしたら、ろくに料理なんてできねえからな」
ぐぬぬ……なんか正当な理由を提示してきた。論破できない。
隣のノノンちゃんの答えに期待したが
「うざっ……」
「はい?」
「いえ、わたしにはそういう経営? だとかの難しい事はわからなくて……ごめんなさい」
などと言いながらすまなそうに俯く。
嘘だ! さっき小声で「うざっ」って言ったよ!
ていうか眼鏡だけでそんなに効果があるのかな?
と、その時、私の脳裏にとある記憶が蘇った。
かつて「眼鏡スーツカフェ」なるものが日本に存在していたという記憶が。
メガネスーツ姿での接客がコンセプトカフェとして成立するのなら、「メガネデ―」も成立するのでは?
むむむ……そう考えるとクロードさんの案も意外と行けるのか……? いや、でも……。
うーん、もうわからなくなってきた……頭から煙が出そう……。
「……私には判断できかねます」
考えた末に出てきた言葉がそれだった。だって予想もつかないんだもん!
ノノンちゃんは、相変わらず我関せず。表面上は申し訳なさそうな態度を装っている。
するとレオンさんが声を上げた。
「よし、それなら店長権限で俺が決める。試しにやってみようじゃねえか。そのメガネデーってやつを」
うわあ、ひどい。そんな権限で軽々と決定されてしまった。
「でも、私はメガネなんて持ってませんよ?」
「わたしもです」
私とノノンちゃんの声に、クロードさんは
「大丈夫です。今度一緒にメガネ店に行きましょう」
と、やけに嬉しそうに両手をこすり合せる。
くっ、これは逃げられそうにない……諦めてメガネデーを受け入れるしかないみたいだ。
私達の様子を見たレオンさんが手をぱんと叩く。
「よし、決まりだな。それじゃあ週に一度はメガネデーにするってことで。はい解散」
◇◇◇◇◇
メガネデーかあ……はたしてうまく行くのかな? ていうかクロードさんだけ普段からメガネだし、今更私とノノンちゃんの二人がメガネになっても誰が得をするのか……。
などと考えながら後片付けをしていると、同じように店外で作業していたはずのクロードさんが戻ってきた。
「ユキさん。ドアの前でユキさんを待っているという方がおられますよ」
待ってる人? 誰だろう。まさかまた王子様による深夜の世直しツアーへの誘いだったらどうしよう。
「あ、あの、クロードさん。その人ってどんな感じの人ですか?」
もしやユージーンさんかフリージアさんでは……と慄きながら尋ねたところ、意外な答えが返ってきた。
「そうですね……髪は肩より少し長いくらいの男性で、頭部に花の飾りを付けていました」
それって、まさか花咲きさん?
花咲きさんがドリアードの血を引いていると知らないクロードさんは、頭の花を飾りだと勘違いしてしまったようだ。
と、レオンさんが素早く反応する。
「お、まさかそれって、例のお前の男か? どんな奴か顔見てやる」
「や、やめてください恥ずかしい……!」
私の制止も虚しく、レオンさんはひとりお店の外に出て行ってしまった。
まずいな。勤務中の私の失敗エピソードとかをバラされないよね……?
しばらくして戻ってきたレオンさんは
「ネコ子、今日はもう上がっていいぞ。あの男、お前が心配で迎えにきたらしい。いい奴そうじゃねえか。一緒に帰って安心させてやれよ」
どうやらレオンさんは、花咲きさんがいつかの行き倒れ寸前男だとは覚えていないみたいだ。おまけに帰宅の許可までくれて。
そういう事ならお言葉に甘えさせてもらおうではないか。
私は素早く帰宅の準備をすると、お店のみんなに挨拶して外へと出る。
するとそこには予想通り花咲きさんが、壁を背にして立っていた。
「花咲きさん、どうしたんですか?」
「お前を迎えにきた」
それはレオンさんに聞いた。でも知りたいのは――
「どうしてまたそんな事を?」
「昨日言っていたではないか。しつこい客に強引に連れ出されたと。今後はそんな事が無いようにと迎えにきてやったのだ。ありがたく思うがいい」
それって、それって、レオンさんの言ってた通り、私の事が心配だったから?
え、どうしよう。嬉しい。
もしかして、今朝お店まで送ってくれたのも?
「お前がいないとカツサンドにありつけないからな」
台無し。私の歓喜と感謝の心を返して。
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