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7月と円舞曲
7月と円舞曲 10
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リコリスさんに連れられ、広間を奥へと進む。突き当たりの大きなガラスに取り付けられたドアを開けると、石造りのテラスへ出た。端は細い石柱に支えられた手すりに仕切られており、向こう側は庭のようだ。
外気に晒されたそこは、寒いくらいにひんやりとしていて、けれど、気分の悪いわたしにとっては心地よい場所だった。
ドアを閉めると室内の音は遮断され、時折手すりの向こうから木々のざわめきが聞こえる以外はとても静かだ。ガラス越しに広間の明かりがぼんやりと洩れ出ているおかげで真っ暗というほどではない。
テーブルへと案内されると、リコリスさんは途中で調達してきた水の入ったゴブレットをわたしの前に置き、飲むように勧めてくれた。
冷たい水を喉に流し込むと、少し気分がすっきりする。
そのまま浅い呼吸をゆっくりと繰り返していると、気持ちの悪さも徐々に収まってきた。
「おかげで助かりました。ありがとうございます」
お礼を言いながら手の中のゴブレットに目を落す。金属製の容器の表面にはところどころに波打ったような凹凸があり、さらには細長いガラスがいくつも埋め込まれ、美しい花の形を形成している。
うーん、これ、すごく高価そう……もしも今、手が滑って落としたりなんかしたら……
そんな想像をすると急に怖くなって、ゴブレットを両手でしっかりと包み込む。
「それは何よりです。声の調子も案外しっかりしているようで安心しましたわ」
リコリスさんはそう答えて、ふと気付いたように口を開く。
「そういえば、初めてお会いするのにまだ名乗っておりませんでしたわね。わたくしはリコリス。このランデル家の娘ですの」
「ええと、わたしはその、ユーリ……です」
「そう。よろしくお願いしますね、ユーリさん。わたくし、こちらの地方には来たばかりで、元々のお友達ともなかなか会えないし、退屈していたところですの。あなたのような方がいらしてくれて嬉しいですわ」
わたしの曖昧な自己紹介に対しても、怪訝な反応をすることもなく、リコリスさんは愛らしい笑顔を向ける。
その様子に安心しかけた直後、リコリスさんは身を乗り出して、大きな瞳でわたしを凝視する。
「ところであなた、クルト様の同伴者としてここにいらしたけど、あの方とはどういったご関係なの? 答えてくださる?」
問いただすような強い語気に戸惑った。
なんだろう。さっきまでと雰囲気が違う。まるで訊問されているような……もしかして、怪しまれてるのかな……
わたしは焦る心を落ち着けるように再び水をひとくち飲む。
「実は、クルト様のお母様とわたしの母が旧くからの知り合いで、その関係で少し……本日は、経験の浅いわたしが、社交界の雰囲気を知ってみてはどうかと、クルト様のお姉様が同行を勧めてくださったんです」
こんなこともあろうかと、クルトやロザリンデさんと共に架空の設定を考えてきたのだ。説得力があるかどうかはともかく、なんとか誤魔化せることを祈る。
「なにぶん未熟者ですので、目に余る振る舞いもあるかと思いますが、どうかご容赦ください」
「ふうん……クルト様のお母様と……」
「ええ」
こんな答えで大丈夫だったのかな……
不安な気持ちを抑えつつ調子を合わせる。
「それならユーリさん、あなたはその……クルト様と将来を約束した仲、というわけではないの?」
「は!? ち、違いますよ! どうしてそんな発想になるんですか!」
リコリスさんの口から飛び出した予想外の問いに、わたしはぶんぶんと首を横に振る。
「だって、血縁でもない女性の同伴者を連れてくるだなんて、てっきりそういう事かと……でも、違うのね? そう……」
リコリスさんは、つかのま考え込むように手元に目を落とす。
あれ、でも、元はと言えば、リコリスさんとの相性が良くないからとパーティへの参加を渋るクルトに対して、それならわたしを同伴者として連れて行けば解決するのでは……とかなんとかいう話だったような気もする。
そういう事情なら、それらしい嘘をついたほうが良かったのかな……?
いやいや、とすぐに考え直す。気分の悪い同伴者を放ったらかしにしていくような薄情な男に協力する義理はない。もしかすると、リコリスさんから逃がれるために、敢えて彼女にわたしの世話を押し付けていった可能性だってあるのだ。
そう考えたら、また腹立たしくなってきた。
そんなわたしの怒りとは裏腹に、リコリスさんは顔を上げて、きらきらした瞳をこちらに向ける。
「それなら、わたくしにも、まだ可能性は残っていると考えて良いのかしらね。ねえ、クルト様ってどんな女性が好みなのかしら? お好きな食べ物は? ご趣味は何かご存じ?」
矢継ぎ早に問いかけられて面食らう。
そんなこと聞いてどうするんだろう? もしかして――この人、クルトのこと好きなのかな?
確かにクルトは見た目は良いけど……あ、あと、家柄も良いみたいだし、お金持ち……うーん、そう考えると女性に好かれる要素はあるかも。
でも、その一方で、具合の悪い同伴者、それも女性のことを平気で置き去りにするような最悪の人間性の持ち主でもあるのだ。リコリスさんだって、目の前でそんな様子を見せられて、普通だったら幻滅しそうなものなのに。
恋は盲目だとか聞いたことがあるけれど、もしかして、これがその状態なのかもしれない。
「いえ、実はわたしもよく知らなくて……あの方とはまだそれほど親しくはないもので……」
下手に答えて誤解されると面倒だ。ここは無難に誤魔化すことにする。
それを聞いたリコリスさんは残念そうに目を伏せた。
「そうでしたの……でも、それなら、あなたもわたくしと同じような立場ですのね」
同じような……ってどういう意味だろう? わたしは別にクルトの事を好きだとかひとことも言った覚えはないけれど……一体彼女の中ではどんな風に話が展開しているのか。
リコリスさんは一転、夢見るような瞳を宙に目を向け喋り続ける。
「クルト様って、本当に素敵。あの艶やかな黒髪に、紫水晶のような神秘的な瞳。それに加えて、少し冷たそうな感じが、なんというか、こう言って良いのかわからないけれど、悪魔的というか……ああ、勿論悪い意味ではなくて、ね?」
「はあ……」
「わたくし、どうにかしてあの方とお近づきになりたいと思っているのですけれど、なかなかクルト様は心を開いて下さらないご様子で……どうしたら良いのかしら。後でたくさんお話できると良いのだけれど」
「そうですねえ」
適当に相槌を打ちながら、リコリスさんの様子をこっそりと観察する。
なんだか妙な展開になってきた。ここから恋愛相談だとかに発展されても、どう助言したら良いものか困ってしまう。
しかし、いくら年の近い同性とはいえ、初対面の相手に対してこんなふうに好きな異性に対する心情を打ち明けるものなんだろうか。
それとも、年頃の恋する乙女とは基本的にこういうものなのか?
でも、リコリスさん自身は悪い人じゃなさそうだ。気分の悪いわたしに対して、こうして気遣ってくれた上にこんな寒い場所にまで付き合ってくれているのだから。クルトは彼女のどこが苦手だと言うのだろう。もしかして、以前に二人の間に何かあったとか?
「お友達との間でも、あの方の事は以前から評判で――だからわたくし絶対に――」
言い掛けて、リコリスさんはふと口をつぐむ。さすがに喋りすぎたと思ったんだろうか。
話題を変えるように、彼女はこちらに笑顔を向ける。
「そうだわ。ユーリさん。あなた、わたくしとお友達になってくださらない?」
「友達……?」
「ええ。さっきも言いましたけれど、こちらには同じくらいの年齢の知り合いがいないものだから、あなたのような方が親しくしてくださると嬉しいのです」
友達……友達かあ……
考えてみれば、今まで『きょうだい』はたくさんいたけれど、歳が近くて、かつ同性の友達というものは存在しなかったかもしれない。学校には男子しかいないし。あ、ロザリンデさんは友達と言えるのかな? でも、彼女を含めたとしても一人だけだ。
友達――なかなかに魅力的な響きだが、普段のわたしは男として生活しているし、今は家柄だって詐称している。そんな状態で、はたして友達付き合いなどというものが可能なのだろうか?
そんな心配をよそに、リコリスさんは楽しそうに両手を合わせる。
「楽しみですわ。一緒にお茶を飲みながら、たくさんお喋りしたり、美味しいお菓子も用意して……そうそう、それから――」
そこで言葉を止めて意味ありげな笑みをこちらに向ける。
「ユーリさん、あなた、ゲームはお好き?」
「ゲーム?」
「ええ。こちらに来る前、お友達との間で流行っていたのですけれど、それがとっても面白いんですの。ぜひあなたも一緒に挑戦してみません?」
「へえ、どんな内容なんですか?」
興味をひかれつつ尋ねると、リコリスさんの目がきらりと光ったような気がした。
「それは――」
外気に晒されたそこは、寒いくらいにひんやりとしていて、けれど、気分の悪いわたしにとっては心地よい場所だった。
ドアを閉めると室内の音は遮断され、時折手すりの向こうから木々のざわめきが聞こえる以外はとても静かだ。ガラス越しに広間の明かりがぼんやりと洩れ出ているおかげで真っ暗というほどではない。
テーブルへと案内されると、リコリスさんは途中で調達してきた水の入ったゴブレットをわたしの前に置き、飲むように勧めてくれた。
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そのまま浅い呼吸をゆっくりと繰り返していると、気持ちの悪さも徐々に収まってきた。
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お礼を言いながら手の中のゴブレットに目を落す。金属製の容器の表面にはところどころに波打ったような凹凸があり、さらには細長いガラスがいくつも埋め込まれ、美しい花の形を形成している。
うーん、これ、すごく高価そう……もしも今、手が滑って落としたりなんかしたら……
そんな想像をすると急に怖くなって、ゴブレットを両手でしっかりと包み込む。
「それは何よりです。声の調子も案外しっかりしているようで安心しましたわ」
リコリスさんはそう答えて、ふと気付いたように口を開く。
「そういえば、初めてお会いするのにまだ名乗っておりませんでしたわね。わたくしはリコリス。このランデル家の娘ですの」
「ええと、わたしはその、ユーリ……です」
「そう。よろしくお願いしますね、ユーリさん。わたくし、こちらの地方には来たばかりで、元々のお友達ともなかなか会えないし、退屈していたところですの。あなたのような方がいらしてくれて嬉しいですわ」
わたしの曖昧な自己紹介に対しても、怪訝な反応をすることもなく、リコリスさんは愛らしい笑顔を向ける。
その様子に安心しかけた直後、リコリスさんは身を乗り出して、大きな瞳でわたしを凝視する。
「ところであなた、クルト様の同伴者としてここにいらしたけど、あの方とはどういったご関係なの? 答えてくださる?」
問いただすような強い語気に戸惑った。
なんだろう。さっきまでと雰囲気が違う。まるで訊問されているような……もしかして、怪しまれてるのかな……
わたしは焦る心を落ち着けるように再び水をひとくち飲む。
「実は、クルト様のお母様とわたしの母が旧くからの知り合いで、その関係で少し……本日は、経験の浅いわたしが、社交界の雰囲気を知ってみてはどうかと、クルト様のお姉様が同行を勧めてくださったんです」
こんなこともあろうかと、クルトやロザリンデさんと共に架空の設定を考えてきたのだ。説得力があるかどうかはともかく、なんとか誤魔化せることを祈る。
「なにぶん未熟者ですので、目に余る振る舞いもあるかと思いますが、どうかご容赦ください」
「ふうん……クルト様のお母様と……」
「ええ」
こんな答えで大丈夫だったのかな……
不安な気持ちを抑えつつ調子を合わせる。
「それならユーリさん、あなたはその……クルト様と将来を約束した仲、というわけではないの?」
「は!? ち、違いますよ! どうしてそんな発想になるんですか!」
リコリスさんの口から飛び出した予想外の問いに、わたしはぶんぶんと首を横に振る。
「だって、血縁でもない女性の同伴者を連れてくるだなんて、てっきりそういう事かと……でも、違うのね? そう……」
リコリスさんは、つかのま考え込むように手元に目を落とす。
あれ、でも、元はと言えば、リコリスさんとの相性が良くないからとパーティへの参加を渋るクルトに対して、それならわたしを同伴者として連れて行けば解決するのでは……とかなんとかいう話だったような気もする。
そういう事情なら、それらしい嘘をついたほうが良かったのかな……?
いやいや、とすぐに考え直す。気分の悪い同伴者を放ったらかしにしていくような薄情な男に協力する義理はない。もしかすると、リコリスさんから逃がれるために、敢えて彼女にわたしの世話を押し付けていった可能性だってあるのだ。
そう考えたら、また腹立たしくなってきた。
そんなわたしの怒りとは裏腹に、リコリスさんは顔を上げて、きらきらした瞳をこちらに向ける。
「それなら、わたくしにも、まだ可能性は残っていると考えて良いのかしらね。ねえ、クルト様ってどんな女性が好みなのかしら? お好きな食べ物は? ご趣味は何かご存じ?」
矢継ぎ早に問いかけられて面食らう。
そんなこと聞いてどうするんだろう? もしかして――この人、クルトのこと好きなのかな?
確かにクルトは見た目は良いけど……あ、あと、家柄も良いみたいだし、お金持ち……うーん、そう考えると女性に好かれる要素はあるかも。
でも、その一方で、具合の悪い同伴者、それも女性のことを平気で置き去りにするような最悪の人間性の持ち主でもあるのだ。リコリスさんだって、目の前でそんな様子を見せられて、普通だったら幻滅しそうなものなのに。
恋は盲目だとか聞いたことがあるけれど、もしかして、これがその状態なのかもしれない。
「いえ、実はわたしもよく知らなくて……あの方とはまだそれほど親しくはないもので……」
下手に答えて誤解されると面倒だ。ここは無難に誤魔化すことにする。
それを聞いたリコリスさんは残念そうに目を伏せた。
「そうでしたの……でも、それなら、あなたもわたくしと同じような立場ですのね」
同じような……ってどういう意味だろう? わたしは別にクルトの事を好きだとかひとことも言った覚えはないけれど……一体彼女の中ではどんな風に話が展開しているのか。
リコリスさんは一転、夢見るような瞳を宙に目を向け喋り続ける。
「クルト様って、本当に素敵。あの艶やかな黒髪に、紫水晶のような神秘的な瞳。それに加えて、少し冷たそうな感じが、なんというか、こう言って良いのかわからないけれど、悪魔的というか……ああ、勿論悪い意味ではなくて、ね?」
「はあ……」
「わたくし、どうにかしてあの方とお近づきになりたいと思っているのですけれど、なかなかクルト様は心を開いて下さらないご様子で……どうしたら良いのかしら。後でたくさんお話できると良いのだけれど」
「そうですねえ」
適当に相槌を打ちながら、リコリスさんの様子をこっそりと観察する。
なんだか妙な展開になってきた。ここから恋愛相談だとかに発展されても、どう助言したら良いものか困ってしまう。
しかし、いくら年の近い同性とはいえ、初対面の相手に対してこんなふうに好きな異性に対する心情を打ち明けるものなんだろうか。
それとも、年頃の恋する乙女とは基本的にこういうものなのか?
でも、リコリスさん自身は悪い人じゃなさそうだ。気分の悪いわたしに対して、こうして気遣ってくれた上にこんな寒い場所にまで付き合ってくれているのだから。クルトは彼女のどこが苦手だと言うのだろう。もしかして、以前に二人の間に何かあったとか?
「お友達との間でも、あの方の事は以前から評判で――だからわたくし絶対に――」
言い掛けて、リコリスさんはふと口をつぐむ。さすがに喋りすぎたと思ったんだろうか。
話題を変えるように、彼女はこちらに笑顔を向ける。
「そうだわ。ユーリさん。あなた、わたくしとお友達になってくださらない?」
「友達……?」
「ええ。さっきも言いましたけれど、こちらには同じくらいの年齢の知り合いがいないものだから、あなたのような方が親しくしてくださると嬉しいのです」
友達……友達かあ……
考えてみれば、今まで『きょうだい』はたくさんいたけれど、歳が近くて、かつ同性の友達というものは存在しなかったかもしれない。学校には男子しかいないし。あ、ロザリンデさんは友達と言えるのかな? でも、彼女を含めたとしても一人だけだ。
友達――なかなかに魅力的な響きだが、普段のわたしは男として生活しているし、今は家柄だって詐称している。そんな状態で、はたして友達付き合いなどというものが可能なのだろうか?
そんな心配をよそに、リコリスさんは楽しそうに両手を合わせる。
「楽しみですわ。一緒にお茶を飲みながら、たくさんお喋りしたり、美味しいお菓子も用意して……そうそう、それから――」
そこで言葉を止めて意味ありげな笑みをこちらに向ける。
「ユーリさん、あなた、ゲームはお好き?」
「ゲーム?」
「ええ。こちらに来る前、お友達との間で流行っていたのですけれど、それがとっても面白いんですの。ぜひあなたも一緒に挑戦してみません?」
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