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7月と顔のない肖像画
7月と顔のない肖像画 5
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そのアトリエ兼自宅は、こじんまりした一軒家だった。
フェルディオ・ヴェルナー――かつての名肖像画家。確かな実力で人気を博していたが、ある時事故に遭い、それ以来肖像画を描く事なく表舞台から姿を消した。噂では事故の際に利き腕を痛め、思うように絵が描けなくなったからだとも言われている。
何も知らなかったわたしのために、ここに来るまでの間にクルトが説明してくれた。彼も実際に、氏の描いた肖像画を何度か見た事があるそうだ。
作品などを出し入れするためなのか、普通の家よりも大きいドアの前に二人並んで立つ。
クルトがドアをノックする。しかし、暫く待っても返事はなく、家の中も静まり返っている。
「……留守、でしょうか?」
呟いた時、背後から静かな声が聞こえた。
「……そこで何を?」
振り向いて、わたしは言葉を失った。
一瞬、そこに大きな人形が立っているのかと思った。慌てて何度か瞬きすると、それがひとりの男性だとわかる。
年の頃は20代だろうか。切れ長の目もとから覗く瞳はアンバーというより金に近く、なんとなく夜空に浮かぶ月を連想させた。背中まである絹糸のような銀髪が陽を受けふわりと光を纏っているように見える。その現実離れした特長的な容姿と、なによりも、整ってはいるものの、異様に感情が欠落したような表情のせいで、もしかして目の前にいるのは人間ではないのではと錯覚してしまうほどだった。暫く声も出せずにぼうっとしてしまう。
その衝撃から先に立ち直ったのはクルトだった。躊躇いながらも口を開く。
「……失礼ですが、フェルディオ・ヴェルナーさんですよね。突然の訪問申し訳ありません。俺はクルト・ブラウモント。こっちは――」
我に返り、慌ててわたしも挨拶する。
「ええと、ユーリ・アーベルです。あの、はじめまして……」
この人がヴェルナーさん? 高名な肖像画家だという話から、てっきり熟練の職人のような年配の男性を想像していたけれど、目の前のその人は、思っていたよりもずっと若くて、自分の描いていたイメージとの落差に戸惑う。
「俺達、あなたが描いたエミール・シュナイトさんの肖像画の件で伺いました。例の、顔の部分が黒く塗り潰されていたという」
エミール・シュナイトというのは問題の肖像画のモデルであり、亡くなるまでそれを所持していたという少年の名だ。それを聞いたヴェルナーさんの瞳が何度か瞬いた。
「……その件なら、既に彼の家からの使者に説明したつもりだが」
「ええ。俺達も大体の事情は知っています。ですが、できればもっと詳しくお話を伺いたいと思いまして」
「……こちらからは、これ以上話す事はない」
「いえ、そうじゃないんです。実は俺達、あなたのファンなんです」
思わずクルトの顔を見上げる。突然何を言い出すんだろう。クルトはどうだか知らないけれど、わたしは今日初めてこの画家の名を知ったくらいなのだ。詳しく突っ込まれたらぼろを出しそうだというのに、一緒にファンを名乗らせるだなんて……。
その戸惑いをものともせずクルトは続ける。
「ここ数年は作品を発表していないあなたが、エミールさんの肖像画だけは描いたと聞きました。せめてそれに関したエスキースだとかを是非とも拝見したいと思いまして。肝心の肖像画は、その……残念な事になってしまったわけですから」
話を聞いたヴェルナーさんは首を横に振る。
「……とても人に見せられるようなものじゃない」
「そこをなんとかお願いします」
クルトは食い下がる。なんとしても姉の【お願い】を叶えるために、彼も必死なのだろう。
「……すまないが……」
なおも断りかけたヴェルナーさんを遮るようにクルトが声を上げる。
「それなら、俺達のどちらかの似顔絵を描いて貰えませんか?」
急にそんな事を言い出したクルトに驚いて、わたしはまじまじとその顔を見つめてしまった。彼はにこやかだが、冗談を言っているようでもない。
「お願いします。スケッチ程度の簡単なもので構いませんから」
「ちょ、ちょっとクルト、そんな事、急に頼んだら失礼ですよ……!」
スケッチ程度とはいうが、いくら相手が画家とはいえ、気軽に頼んでいいものでもないだろう。既に存在するエスキースを見せてもらうのとはわけが違う。
小声で窘めるが、クルトは意に介した様子はない。
「もし描いて頂ければ、それですぐに帰りますから。俺達、ヴェルナーさんの絵を見る事だけを楽しみにここまで訪ねてきたんです。エスキースが無理なら、せめてそれだけでも」
よくもまあそんな話をでっち上げるものだ。クルトって詐欺師の才能があったりして。
でも、似顔絵なんて描いて貰ってどうするつもりなんだろう。肖像画の事を直接聞きに来たわけじゃないのかな?
ヴェルナーさんはそんなクルトに無感情な瞳を向けていたが、やがて
「……わかった。描こう。その代わり描いたら帰ってくれ」
そう言いながらポケットから鍵を取り出したので、わたし達は邪魔にならないよう慌てて脇に避ける。彼が目の前を通り過ぎた時、微かに石鹸のようないい香りが漂った。
ヴェルナーさんが開けてくれたドアから、彼のアトリエに足を踏み入れる。が、すぐ前を歩いていたクルトが急に立ち止まったので、わたしは避けきれずその背中にぶつかってしまう。
「いたっ……ちょっとクルト、どうしたんですか?」
尋ねるも返事がない。何かに気を取られているようだ。その視線の先を辿ると、近くの壁に立てかけられた一枚のカンバスに突き当たる。
それは湖を描いた風景画だった。深い色をたたえた水と朝靄の中浮かび上がる湖畔の木立。その寒々しい空気まで伝わってくるようだった。
「わあ、きれいな絵……」
思わず声を上げるとヴェルナーさんが振り向く。わたし達が風景画を見ている事に気づくと、素早くその絵に近づき、裏返してしまった。
残念。もう少し見ていたかったのに。
改めてアトリエの中を見回すと、無駄な装飾のない室内にはイーゼルや画板が壁に立てかけられ、ずらりと並んだ棚には画材が収められていた。部屋の隅にはわざわざ石を積んで作ったらしい小さな粘土槽まである。
その横に何かの乗った塑像台があるのに気づき、わたしは吸い寄せられるように近づく。粘土の作品のようだが、保湿のために濡れた布が被せられていて、中は見えない。
これも、あの人が作ったのかな……?
だとすれば、先ほどの風景画のように見事な作品かもしれない。一体どんなのだろう。気になる……。
我慢できずにそっと布を捲ると、塑像台の上には両手に乗るくらいの大きさの粘土の塊が見えた。
これは、鳥……?
よく見ると胴体らしき部分が少しひび割れている。
「それに触るな」
ヴェルナーさんの鋭くも冷たい声にはっとして、慌てて布を元に戻す。
「す、すみません……」
先ほどの風景画といい、自分の作品を人に見られる事を嫌うんだろうか? でも、芸術家という職業柄、誰かに見られて当然のような気もするのだが。肖像画だって描いていたわけだし。
ヴェルナーさんは、無造作に置いてあった丸椅子をわたし達に薦め、近くのテーブルからスケッチブックと鉛筆を取りあげる。そして自身もわたしの正面に椅子を移動させると、そこに腰掛け、スケッチブックの表紙をめくりながら問う。
「……きみ、年はいくつだ?」
「じゅうよ……ろく。16歳です。あの、もしかして似顔絵ってわたしの……?」
「……なにか問題でも?」
「い、いえ、そんな事は……」
このまま普通に絵を描いてもらっていいのかな。
不安になってクルトの様子を窺うも
「よかったな。ヴェルナーさんに似顔絵を描いて貰えるなんて貴重な事だぞ」
朗らかに微笑まれた。ほんとに何しにここへ来たんだろう。
「……少し口角を上げて」
ヴェルナーさんに言われるまま、唇の端を持ち上げる。変な顔になっていないか心配で、余計強張ってくるような気がする。
そんなわたしの内心とは裏腹に、静かなアトリエには、紙の上を鉛筆が滑る軽やかな音が響く。目の前のヴェルナーさんは絶え間なく手を動かしながらも、時折りこちらに視線を向ける。先ほどまでの無機質な印象とは打って変わって鋭いその表情に、ちょっと緊張してしまう。膝に手を揃えて置いたまま、思わず身体を硬くする。
その間にクルトはヴェルナーさんの背後に回りこみ、その手元を覗き込んでいた。
暫くして目の前の画家は鉛筆を置くと、スケッチブックをくるりとこちらへと向ける。それを見て息を呑んだ。
シンプルな線と陰影にもかかわらず、そこにはいきいきと人の姿が浮かび上がっている。紙の中で微笑むその少年の顔は、溜息が出るほど美しかった。
「……すごい」
「これは見事だな……」
いつのまにか隣にいたクルトも感心している。
「でも、ヴェルナーさん、こいつの容姿が残念だからって、こんなに気を遣ってくださらなくてもいいんですよ」
「ちょっとクルト、それ、どういう意味ですか! どこからどう見てもわたしにそっくりじゃないですか! まるで鏡を見てるみたいです!」
「お前の言う鏡って、俺の知ってる鏡とは違う別の何かなんじゃないのか?」
「クルトこそ、目の前の現実を受け入れたほうがいいですよ」
そんなわたし達のやりとりは、びりびりと紙を裂く音に遠慮なく遮られる。
ヴェルナーさんが、スケッチブックから似顔絵の描かれたページを破り取って、こちらに差し出す。
「……満足したなら、約束通り帰ってくれないか」
フェルディオ・ヴェルナー――かつての名肖像画家。確かな実力で人気を博していたが、ある時事故に遭い、それ以来肖像画を描く事なく表舞台から姿を消した。噂では事故の際に利き腕を痛め、思うように絵が描けなくなったからだとも言われている。
何も知らなかったわたしのために、ここに来るまでの間にクルトが説明してくれた。彼も実際に、氏の描いた肖像画を何度か見た事があるそうだ。
作品などを出し入れするためなのか、普通の家よりも大きいドアの前に二人並んで立つ。
クルトがドアをノックする。しかし、暫く待っても返事はなく、家の中も静まり返っている。
「……留守、でしょうか?」
呟いた時、背後から静かな声が聞こえた。
「……そこで何を?」
振り向いて、わたしは言葉を失った。
一瞬、そこに大きな人形が立っているのかと思った。慌てて何度か瞬きすると、それがひとりの男性だとわかる。
年の頃は20代だろうか。切れ長の目もとから覗く瞳はアンバーというより金に近く、なんとなく夜空に浮かぶ月を連想させた。背中まである絹糸のような銀髪が陽を受けふわりと光を纏っているように見える。その現実離れした特長的な容姿と、なによりも、整ってはいるものの、異様に感情が欠落したような表情のせいで、もしかして目の前にいるのは人間ではないのではと錯覚してしまうほどだった。暫く声も出せずにぼうっとしてしまう。
その衝撃から先に立ち直ったのはクルトだった。躊躇いながらも口を開く。
「……失礼ですが、フェルディオ・ヴェルナーさんですよね。突然の訪問申し訳ありません。俺はクルト・ブラウモント。こっちは――」
我に返り、慌ててわたしも挨拶する。
「ええと、ユーリ・アーベルです。あの、はじめまして……」
この人がヴェルナーさん? 高名な肖像画家だという話から、てっきり熟練の職人のような年配の男性を想像していたけれど、目の前のその人は、思っていたよりもずっと若くて、自分の描いていたイメージとの落差に戸惑う。
「俺達、あなたが描いたエミール・シュナイトさんの肖像画の件で伺いました。例の、顔の部分が黒く塗り潰されていたという」
エミール・シュナイトというのは問題の肖像画のモデルであり、亡くなるまでそれを所持していたという少年の名だ。それを聞いたヴェルナーさんの瞳が何度か瞬いた。
「……その件なら、既に彼の家からの使者に説明したつもりだが」
「ええ。俺達も大体の事情は知っています。ですが、できればもっと詳しくお話を伺いたいと思いまして」
「……こちらからは、これ以上話す事はない」
「いえ、そうじゃないんです。実は俺達、あなたのファンなんです」
思わずクルトの顔を見上げる。突然何を言い出すんだろう。クルトはどうだか知らないけれど、わたしは今日初めてこの画家の名を知ったくらいなのだ。詳しく突っ込まれたらぼろを出しそうだというのに、一緒にファンを名乗らせるだなんて……。
その戸惑いをものともせずクルトは続ける。
「ここ数年は作品を発表していないあなたが、エミールさんの肖像画だけは描いたと聞きました。せめてそれに関したエスキースだとかを是非とも拝見したいと思いまして。肝心の肖像画は、その……残念な事になってしまったわけですから」
話を聞いたヴェルナーさんは首を横に振る。
「……とても人に見せられるようなものじゃない」
「そこをなんとかお願いします」
クルトは食い下がる。なんとしても姉の【お願い】を叶えるために、彼も必死なのだろう。
「……すまないが……」
なおも断りかけたヴェルナーさんを遮るようにクルトが声を上げる。
「それなら、俺達のどちらかの似顔絵を描いて貰えませんか?」
急にそんな事を言い出したクルトに驚いて、わたしはまじまじとその顔を見つめてしまった。彼はにこやかだが、冗談を言っているようでもない。
「お願いします。スケッチ程度の簡単なもので構いませんから」
「ちょ、ちょっとクルト、そんな事、急に頼んだら失礼ですよ……!」
スケッチ程度とはいうが、いくら相手が画家とはいえ、気軽に頼んでいいものでもないだろう。既に存在するエスキースを見せてもらうのとはわけが違う。
小声で窘めるが、クルトは意に介した様子はない。
「もし描いて頂ければ、それですぐに帰りますから。俺達、ヴェルナーさんの絵を見る事だけを楽しみにここまで訪ねてきたんです。エスキースが無理なら、せめてそれだけでも」
よくもまあそんな話をでっち上げるものだ。クルトって詐欺師の才能があったりして。
でも、似顔絵なんて描いて貰ってどうするつもりなんだろう。肖像画の事を直接聞きに来たわけじゃないのかな?
ヴェルナーさんはそんなクルトに無感情な瞳を向けていたが、やがて
「……わかった。描こう。その代わり描いたら帰ってくれ」
そう言いながらポケットから鍵を取り出したので、わたし達は邪魔にならないよう慌てて脇に避ける。彼が目の前を通り過ぎた時、微かに石鹸のようないい香りが漂った。
ヴェルナーさんが開けてくれたドアから、彼のアトリエに足を踏み入れる。が、すぐ前を歩いていたクルトが急に立ち止まったので、わたしは避けきれずその背中にぶつかってしまう。
「いたっ……ちょっとクルト、どうしたんですか?」
尋ねるも返事がない。何かに気を取られているようだ。その視線の先を辿ると、近くの壁に立てかけられた一枚のカンバスに突き当たる。
それは湖を描いた風景画だった。深い色をたたえた水と朝靄の中浮かび上がる湖畔の木立。その寒々しい空気まで伝わってくるようだった。
「わあ、きれいな絵……」
思わず声を上げるとヴェルナーさんが振り向く。わたし達が風景画を見ている事に気づくと、素早くその絵に近づき、裏返してしまった。
残念。もう少し見ていたかったのに。
改めてアトリエの中を見回すと、無駄な装飾のない室内にはイーゼルや画板が壁に立てかけられ、ずらりと並んだ棚には画材が収められていた。部屋の隅にはわざわざ石を積んで作ったらしい小さな粘土槽まである。
その横に何かの乗った塑像台があるのに気づき、わたしは吸い寄せられるように近づく。粘土の作品のようだが、保湿のために濡れた布が被せられていて、中は見えない。
これも、あの人が作ったのかな……?
だとすれば、先ほどの風景画のように見事な作品かもしれない。一体どんなのだろう。気になる……。
我慢できずにそっと布を捲ると、塑像台の上には両手に乗るくらいの大きさの粘土の塊が見えた。
これは、鳥……?
よく見ると胴体らしき部分が少しひび割れている。
「それに触るな」
ヴェルナーさんの鋭くも冷たい声にはっとして、慌てて布を元に戻す。
「す、すみません……」
先ほどの風景画といい、自分の作品を人に見られる事を嫌うんだろうか? でも、芸術家という職業柄、誰かに見られて当然のような気もするのだが。肖像画だって描いていたわけだし。
ヴェルナーさんは、無造作に置いてあった丸椅子をわたし達に薦め、近くのテーブルからスケッチブックと鉛筆を取りあげる。そして自身もわたしの正面に椅子を移動させると、そこに腰掛け、スケッチブックの表紙をめくりながら問う。
「……きみ、年はいくつだ?」
「じゅうよ……ろく。16歳です。あの、もしかして似顔絵ってわたしの……?」
「……なにか問題でも?」
「い、いえ、そんな事は……」
このまま普通に絵を描いてもらっていいのかな。
不安になってクルトの様子を窺うも
「よかったな。ヴェルナーさんに似顔絵を描いて貰えるなんて貴重な事だぞ」
朗らかに微笑まれた。ほんとに何しにここへ来たんだろう。
「……少し口角を上げて」
ヴェルナーさんに言われるまま、唇の端を持ち上げる。変な顔になっていないか心配で、余計強張ってくるような気がする。
そんなわたしの内心とは裏腹に、静かなアトリエには、紙の上を鉛筆が滑る軽やかな音が響く。目の前のヴェルナーさんは絶え間なく手を動かしながらも、時折りこちらに視線を向ける。先ほどまでの無機質な印象とは打って変わって鋭いその表情に、ちょっと緊張してしまう。膝に手を揃えて置いたまま、思わず身体を硬くする。
その間にクルトはヴェルナーさんの背後に回りこみ、その手元を覗き込んでいた。
暫くして目の前の画家は鉛筆を置くと、スケッチブックをくるりとこちらへと向ける。それを見て息を呑んだ。
シンプルな線と陰影にもかかわらず、そこにはいきいきと人の姿が浮かび上がっている。紙の中で微笑むその少年の顔は、溜息が出るほど美しかった。
「……すごい」
「これは見事だな……」
いつのまにか隣にいたクルトも感心している。
「でも、ヴェルナーさん、こいつの容姿が残念だからって、こんなに気を遣ってくださらなくてもいいんですよ」
「ちょっとクルト、それ、どういう意味ですか! どこからどう見てもわたしにそっくりじゃないですか! まるで鏡を見てるみたいです!」
「お前の言う鏡って、俺の知ってる鏡とは違う別の何かなんじゃないのか?」
「クルトこそ、目の前の現実を受け入れたほうがいいですよ」
そんなわたし達のやりとりは、びりびりと紙を裂く音に遠慮なく遮られる。
ヴェルナーさんが、スケッチブックから似顔絵の描かれたページを破り取って、こちらに差し出す。
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