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きをく
しおりを挟む思い出す
あぁ、そうだ
もうずっとこんな風に
彼の声を聞いたことがなかった
ゆっくりと頭の中で
噛み締めるようにして
彼の声を
聞いたことがなかった。
白くぼやけた視界の中で
おいでとつぶやく彼の声が
私はすごく心地よかった
抱きしめられた体温が
たまらなく愛おしかった
愛おしいと思えたものを
忘れられる人間なんているのかしら。
何をどうしたら
物事がうまくいくのかはわからない。
けど、まずは素直になることよ。
あらゆるしがらみは忘れて
自分の声を拾ってあげなくちゃ。
あぁ、そうだ
私の心はもうずっと前から
同じことを繰り返し叫んでいた
遠い空から
降りかかるようにして
聞こえてくる
一人ずつ生きていくなんて
出来やしないのに
もうずっと前からわかっていたのに
今更だと怒ってしまうかしら
今更だと
突き放されてしまうかしら
大切なことを思い出すのは
いつもそうだ
夜明け前
彼の声が頭の中に染み込んで
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