55 / 149
ふみちゃんへ
しおりを挟むここにくるまでは
わからなかったことや
見えていなかったものが
何より大切なものだったんだと
最近私は知りました。
ずっと前のわたしは
そばにいることや裏切らないことや
あいのことばを
交わすことが重要でたいせつだと
おもっていましたが
だから、そう思うと
こちらにきてから散々だったことも
悪くないなと思えますし
むしろよかったなと思います。
離れていても
何日もの間連絡をとらなくても
忘れることのない人は
わたしの中でいつもあなたでした。
ふと何かを書こうとおもうときに
一番に頭に浮かぶのは
あなたの名前でした。
そしてそういうことを
気付くたびに
わたしはとてもしあわせでした。
そばにいない時のほうが
あいは深くなるのですね。
言葉がなくても
想いというのは伝わるものなんだと
しりました。
散々な裏切りも
ゆるすという分類からはずれて
わたしは随分とらくになりました。
じぶんの気持ちと向き合う時間が増えると
ただ純粋に やわらかく
あなたを
はなしたくないなぁと
おもうようになりました。
きっと勝手にこんな風におもうことは
あまりよくないのかもしれませんが
できればこの先も
こんな風に想いながら
毎日を過ごしたいなぁと思うのです。
味のするごはんを食べられる相手と
人生の長い部分の時間を
過ごせたとしたら
どれほど幸福なことなんだろうと
わたしはどういうわけか
あなたを思い浮かべるだけで
随分と最近は
ほっこりとしたあたたかい
それでいて
何か広い海のように
落ち着いた気持ちになります。
それだけでもう充分だと思うのです。
長い人生を共にするのに
ひつようなものは
ことばでも
行動でもなく
気持ちなんだと
長くかかりましたがやっと
わたしは気がついたのです。
わたしの心にいるのは
いつも いつも
あなただけでした。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説


私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」



優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔
しゃーりん
恋愛
エルネストは12歳の時、2歳年下のオリビアと婚約した。
彼女は大人しく、エルネストの話をニコニコと聞いて相槌をうってくれる優しい子だった。
そんな彼女との穏やかな時間が好きだった。
なのに、学園に入ってからの俺は周りに影響されてしまったり、令嬢と親しくなってしまった。
その令嬢と結婚するためにオリビアとの婚約を解消してしまったことを後悔する男のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる