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一生嫌いにならない人
しおりを挟む忘れた頃に
忘れないでねって言ってるみたいに
電話が必ずくる
きっと深い意味なんてない
ただ暇で、タイミングが良かったとか
そういう理由なんだろうけど
あなたと話す時の私は
あなたと話す時の私っていう自分がいて
それはその他の誰かとは
絶対に違う自分であって
きっと遠い昔にあなたといた私とも
絶対に違う自分だと思う
愛が冷めたのはいつからなんて
もう本当に遠すぎて思い出せない
好きじゃなくなるって言うのは
こういうことかと思い知る
あらゆることを思い出せなくなる
そういう存在になってしまう
電話越しであなたが笑う
その笑い声や話し方に聞き覚えがある
何年か遠い昔
大好きだったその声
大嫌いだったその話し方
好きになったり、嫌になったり
本当に感情の波が忙しくて
ついていけなかったあの頃の自分
そんないろいろを全部
すっかり遠くの昔にちゃんと置いてきた
だからもう
本当に好きだった頃のことなんて
すっかり思い出せない
思い出す記憶のかけらすら
私の中には残っていない
親しくない誰かと話すよりは
親しげに話すし
年齢が自分よりも上の人には
いつもなら必ず敬語を使うけど
あなたにだけは使わない
程よい距離感
他人みたいには絶対しないし
突き放したりしないし
でももう寄り添ったりは出来ない
忘れさせてはくれない期間で
必ず連絡をくれる
一生嫌いにはなれない人だけど
あなたも私もわかってる
この二人に、もう一度は絶対にない
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