しゃぼん玉

をかや れいと

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帰還

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暑さがいやらしいくらい
汗をかくのが嫌になるこの時期

もう廃盤になってるあなたのタバコ
煙の匂いがふっとする

ああ、戻ってきたんだ

魂が帰るのは年に一回この日だけ
きちんと毎年此処へ
私を選んでくれていること

忘れたりしないのに
忘れたりしないのに

-

空の上から狼煙を探す

年に一度、この日だけ
元いた世界に戻って良いよと

なんだかよくわからない乗り物で
元いた世界に戻るけど

きっと見えてない
気づいたふりもしてくれない

あの時みたいな距離感に
気付かれもしないのに座るのは切ない

畳一つ離れた先で
他人の家みたいにちょこんと座って
君を眺める

空を見上げる、此処にいるのに

年に一度戻れる場所には限りがあって
まだ僕のことを
覚えてくれている人のところだけ


きっと見えてない
どうにか脅かしたって気づいたりしない

それでもわかる
戻れる場所は此処しかないから

もう忘れても良いんだよ
もう忘れても良いんだよ

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