しゃぼん玉

をかや れいと

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こちらの世界から

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こちらの世界は朝も夜もありません

空の色はころころと変わるけど

僕にはもう「ねむたい」という
感情はありません

下をのぞく穴は
たまにしか見せてもらえない
それでもお前の顔は
いつもすっきりしていなくて

同じ映像を見ているのかと
たまに驚くんだよ

白い息を吐いたお前が
それにつられて空を見るとき
目があったりするんだ
僕は内心どっきりするよ

見つかってしまったんじゃないかって、
笑ってしまったりするんだ

朝の駅までの道で三回
バス停までまでの道で三回
晴れてる校庭の真ん中だったりすると五回

そんなにしょっちゅう目が合うんなら
僕は今の方が幸せなような気さえする

お前が朝目覚めて動き出す前に
僕は間違っても下をのぞいたりしない

そしてお前が眠りにつく前に
僕は下への穴を閉じるんだ

彼の腕に包まれて、彼の寝息に包まれて
こっそり泣いて
名前を呼んだりしないで

こちらの世界では
涙を流すと消えてしまうんだよ

だから笑って、一日を終えて

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