しゃぼん玉

をかや れいと

文字の大きさ
上 下
27 / 149

おと

しおりを挟む


もうほんとに今更かもしれないけど
月日が経てば経つほど
関わる時間が長くなればなるほど

あなたへの想いが
冬にうっすら、でも確実に積もっていく
雪みたいに

いつも電話をするときは
声が聞きたくなる時で
変な気になっちゃいけないし
恋人でもなんでもないから

声が聞きたくなったなんて
絶対言わないけど

言わなくても
あなたもしっかりわかってて
わかってて、何も言わないでいてくれて
気がすむまで声を聞かせてくれる

昔のことだって気を遣わずに
懐かしむこともなく
きちんと話せる間柄でいてくれることで

私の心は何度か、救われた

不安定になってしまう夜のことを
一番状態の良くない自分のことを

ちゃんと、掬い上げてくれる

声が聞きたくなったなんてきっと
この先、酔っ払ってても言えないし

恋愛の好きとは違って
でも恋愛の好きな人以上に

大切だと思える
絶対この先の人生で失いたくないって
ほんとにそう思える相手に

出会えることはそう多くないと
わかってて
わかってるから、本当に

電話が繋がらなかったことがない
あなたが私のSOSを
見逃したことはほんとに一度もない

この雪はどんどんきっと積もって
また溶けて

でもきっと
声が聞きたくなくなる日はこの先
まだ20年ちょっとしか生きてなくても
絶対ないって思えるよ

だからあなたも、多分きっとないけど
ほんとにどん底になったら
私の声を聞いて

そこから掬い上げるから
その時だけは
あの頃みたいに向かい合って

首に手を回して
体温があなたに移ってしまうくらい
抱きしめるから

どうか
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

私の知らぬ間に

豆狸
恋愛
私は激しい勢いで学園の壁に叩きつけられた。 背中が痛い。 私は死ぬのかしら。死んだら彼に会えるのかしら。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

【完結】待ってください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ルチアは、誰もいなくなった家の中を見回した。 毎日家族の為に食事を作り、毎日家を清潔に保つ為に掃除をする。 だけど、ルチアを置いて夫は出て行ってしまった。 一枚の離婚届を机の上に置いて。 ルチアの流した涙が床にポタリと落ちた。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

処理中です...