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あなた
しおりを挟むまともに大人になって
それから、きちんと愛した人
それが唯一あなたでした
何か特別な思い出っていうのはないけど
仕事終わりに家に来てくれてたこと
喫茶店で話した時間
そういう忘れようもない
なんともない思い出の方が
汚されることなく、心に残る
恋人でもなかったから
終わりなんてものもなくて
あなたが最後にくれたTシャツを
今でもずっと捨てられずにいる
返してくれなくてもいいのに
鍵もきっちり返してくれて
もう二度と繋がりませんよって
言われてるみたいで
告白する前にもうこの恋は惨敗だって
言われてるみたいで
虚しすぎる
どの立ち位置でかわからずに
あなたと彼女とその他大勢と
同じように見上げた空に
満点の花火が上がって
私はその時、あなたをみてた
あなたはその時、彼女を見てて
彼女は空を見上げて、笑ってた
同じように浴衣着て
同じように花火見たって
私は彼女みたいにはなれない
どんな時でも追いかけてしまう
あなたが誰を見てるのか
その目線の先に誰がいるのか
気になってしまう
すごく滑稽な夏の始まり
Tシャツに
まだあなたの香りが残ってる
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