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ブルーのドレス
しおりを挟むあなたが息を引き取る瞬間に
立ち会えなかったのはきっと
私がやっぱりちゃんと
二番目だったからだと思う
ブルーのドレスを着たまま
一番早くたどり着ける方法で
周りの目なんかほったらかしで
夜道を駆け抜けた
深夜の病院はしんとしていて
バカみたいに高いヒール履いた
私の靴音がやけに響いた
死んでも音だけは聞こえるって言うから
あのバカみたいな靴音は
あなたの耳にも届いていたのでしょう
くるくるに巻いた髪の毛と
不釣り合いなブルーのドレスに
裏が真っ赤な黒いヒール
つけまつげはボロボロで
流れる涙は全部黒かった
もう、何もかける言葉はなくて
びっくりするぐらい
冷たくなったあなたの右腕を
ぎゅっと、そっと、隠れて握った
本当に言いたい言葉は全部飲み込んで
それでも涙は止まらなかった
零れた涙はブルーのドレスに吸い込まれて
あなたはもう戻らないんだと
もう何も、語ってくれはしないんだと
理解してそれでも
涙はずっと止まらなかったよ
二番目だったのか
本当は一番に思ってくれていたのか
もう答え合わせもできない
それからの流れはすごく早くて
私よりも残酷に取り残された人の
肩を抱いて
泣き崩れる彼女の横で
平気なフリして、支えるフリして
答えなんてもうこの先ずっとわからない
それでも私が
あなたの息を引き取る瞬間に
立ち会えなかったのはきっと
二番目だからだよね
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