しゃぼん玉

をかや れいと

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最後の人

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月日が経つと、選択肢が減ってしまう

裏切られたそのことよりも
何年も過ごしてきた日々が惜しくなる

見知らぬ土地の駅までの道で
それまでのことを思い返すと

そちらを捨てることの方が
ずいぶんと辛い

一度でも信じられなくなると
なにもかもが嘘に変わってしまう

たとえそれが本当だったとしても

残酷だ

この先ずっと
信じられない日々を過ごすとしても
それでもやっぱり
今までの三年を捨てる方が惜しい

過ぎた年月を後悔するには
もう随分と、遠い
後戻り出来ないところまできてしまった

これからのことはわからなくて

判断が冷静にできるほど
嫌いにはなれなかった

この先も許したふりして
きっとずっと今日のことを覚えてる

背中を向けられたこと
笑いながら、その裏で嘘ついてたこと
全ての記憶が遠くなる

どんな気持ちで、そこにいたの?
騙している間、あなたは幸せだった?

黒い塊を抱えたまま
それでもきっと私は笑ってる

本当は心の底から許せないのに
本当はすごく恨んでいるのに

この先、周りに祝福されても
子どもが産まれたって
お面貼り付けたみたいな笑顔で

一歩下がった遠いところで

あなたを許せない、私を赦して
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