しゃぼん玉

をかや れいと

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手紙

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今思えば節目でもなんでもない時に
思うがままにペンをとって送った手紙を

思いついたその時と
切なさが溢れた日に
二人の部屋にこっそり飾った写真の裏に
書き連ねたメッセージを

重ねた生活の中で
見てないふりしてちゃんと見ててくれたこと

忘れたふりして
ちゃんと残してくれていたこと

見てないふりはしきれずに
忘れたふりもしきれずに
結局最後の最後に私に返してきたこと

今思えばあれがあなたからの最後の
私へのラブレターだったんだと思う

どうかこの先もあなたのそばにいるのが
私でありますように

自分が書いたメッセージが痛いほど響く

願った自分が平気で裏切った
願ったあの頃の自分は今どこにいるんだろう

バカみたい若かった私は
ノート一枚分出会いからそれまでの経緯や
あなたへの気持ちを書き連ねて

今思い返せばあんなの自己満足でしかない

そんな塊をちゃんと忘れたふりして

仕事部屋の一番奥の机に
しまってくれてたことが嬉しかった

あなたはすごく不器用で
きっとこの先、生きてる限り

感情のまま素直に喜ぶことは
ずーっと出来ないだろうから

だからこそ、あの時
あの写真の裏のメッセージに対して
ちゃんと返事すれば良かったよね

夏になる度、ちゃんと思い出す
忘れたふりしてるあなたもきっとちゃんと
思い出す

7月と9月に毎回、この先何度でも

どうかその時の、
その瞬間のあなたのそばにいるのは
私だけでありますように

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