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起きた時。優希は病院におり、腕に点滴を打っていた。

ベットの側には親がいて、深刻そうな顔をしてこちらを見つめている。

今にも泣きそうにみえる。

そんな両親にことの経緯を教えられた。

仕事から共に帰宅した親が、しばらくしても部屋から出て来ない優希を不審に思い、部屋に入れば、ベットで苦しそうに寝ていたようだ。

病院に連れて行き、直ぐ検査をしたようだが、それは熱でも風邪でもなかった。


そのあと来た医師に、信じられない事を伝えられることとなった。










**********










病院から帰った後、部屋にこもった。

判明した事実が信じられなくて。頭の整理が追いつかない。


『息子さんのバース性に変化が見られました。』


後天性Ω

俺はΩになったと、そう医師は言った。

意味がわからないだろう。

明らかにβの俺が、Ωなんて、周りにどう思われるか。

後天性Ω、と言う事実が今と将来の足枷となる。


こんなこと誰にも言えない。


朔になんか知られたら、幼馴染として側にはいられない。

こんな俺が求めたくない。求めてはいけない。

『運命』じゃないとだめだ。

俺は朔の側に居られない。










**********










優希は学校を今日から1週間ほど休むことにした。

まだ調子が良くないのと、朔と会うのが気まずいのもある。

3日前のあの日からメッセージも、『用事があるから忙しい。家には来るな』とだけ送り、それから既読も、返信もしてない。


両親はといえば、優希を心配して渋々だったが仕事に行っている。

忙しいのに病院まで付き添ってもらったし。

後天性Ωの症状も薬を飲めば大した事ないし、家にいるだけだから、付き添いもいらない。


スマホのバイブがする。多分朔だ。内容は見ない。

何も考えたくないし、答えたくない。


こんなはずじゃなかったのに。


あれからずっとそう思ってしまう。

俺はβのままで、幼馴染でありたかった。

それ以上の関係も求めるつもりもなく、朔への感情にも気づかないでいたかった。

朔はどうなのだろう。βからΩになっても、ただの幼馴染としての俺を、求めるのだろうか。

でもそれじゃ、俺は幼馴染としていられる気がしない。

もう、バース性も、この感情も何もかも捨て去りたい。


あいつから、簡単に離れることができたらいいのに。
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