28 / 37
ファーストキスは、ゴブリン村で
しおりを挟む
「……えっと、彼女はいないですよ」
「そう。ありがとう」
暗闇に浮かぶ森山さんの頭部は、美しくはあったが……。
首から下って、どうなっているんだろう……。
森山さんは、自分の鎧の中でなら身体の一部を実体化できるような感じらしい。
真っ暗闇に、ぽっかりと青白く光る森山さんは伏し目がちに言葉を続ける。
「……最初、佐嶋君と出会ったときには。凄い美形な男の子みたいに思ったけれど」
俺は森山さんが嫌いとか、苦手とかそういうのは一切無い。
森山さんは、俺の見た目を褒めてくれるが。俺はこの世界フランシアに来てから自分の顔を見たことが無い。リアルでは見た目でアレコレ言われた記憶はない。
「ヴァンパイアだし……そのうち色んな女の子とかに噛みついては捨てて、噛みついては捨て……」
ちょーっと吉田さんに厳しいかな? ってなくらいの感じである。
「そういう、リアルの遊び人みたいな男の人になるのかなー。とか思っていたから、あまり私も意識していなかったんだけれど……」
しかし女性としてと言うか。
恋愛とかの可能性については、初対面から今の今までグラムも考えたことは無かった。
「なんだか。さっきから佐嶋君の事ばっかり考えちゃってて……」
デスナイトの森山さんは身長は250センチの全身鎧フルプレートの身体。
中身は異界に通じているような謎の空洞で。
「私も、変だなと思ったけれど」
横幅も胸当ブレストプレートて部分だけでも俺が楽に潜り込めるくらいサイズだ。
「私、佐嶋君の事が……」
無理だろ……
とか思ったが、ジワジワジワ森山さんの顔が近づいてくる。
あれ?
これって俺。襲われる?
「私……頭だけとか。胸だけとか。お尻だけとかならば鎧の中で形作れるから」
「ええええ?」
「……ダメっかな?」
何が駄目なのか。そして、意外にそれならイケちゃうんではないか?
とか考えている俺がいたりもした。
「ちょちょ、森山さん落ち着い――」
森山さんの生首が、俺に喰らいつくような口付けをしてくる。
ああ……俺のファーストキス。
あ、でもなんか。
これはこれで、イイか? も?
「ハァ……しちゃったね」
ちょっとイタズラっぽく、森山さんは笑う。
うう、こう見ると森山さんもカワイイ。
デスナイトだけれど……。
でも。なぜに、森山さんが俺を?
いままで、そんなそぶりはお互いにミリも無かった……のに。
まぁ、恋は突然にとか言うし。
部分的にでも、実体化できるとかなら……。
まぁ、何とか俺たちは上手くやっていけるのかも知れない。
「森山さん……俺も……いま…」
「ごめんね佐嶋君。いきなりこんな事って……魔王からもらったアイテムを身につけてから私、なんだか……おかしくて……」
……それだろ
「も、森山さん。その拡張スロットの中身を、ちょーっと見せてもらえないですか?」
「え? ……うん、良いけれど」
「ゴメンね、俺たちの大事なときにそんなこと言って」
森山さんはどこからか、手のひらサイズの金属製カードホルダーのような物をとりだしてきて、俺の目の前に浮かべてくれる。
「スロットに入っているカードを見て良いですか森山さん」
「いいわよ……」
そして、スロットに差し込まれているカードを抜いてみる。
なんかピンク色の怪しげなカードが出てくる。
なんだか見たことない装飾多寡ともいえる文字が書かれていて、でかいハートマークが描かれている。
不思議と俺は、その文字を読むことが出来た。
(サジマ君 大好きカード!!)
「……」
こ、これがデスナイトの恋の原因か……。
魔王の、報酬の中にあった拡張スロットに刺さっていたオマケのカードの正体だった。
でも、これを抜いちゃえば。もう森山さんは、元通りだね!
良かった。
……と、思ったのだが。
な、なにか冷気というか霊気のような冷たさをヒシヒシと感じる。
ちょっーと横目で、森山さんの表情を伺おうとすると。
「……私の中で、何しているの? 佐嶋君?」
凍り付くような森山さんの声……。
え?
俺の目の前に、ホラー映画のワンシーンのような表情の森山さんの顔が浮かんでいた……。
「そう。ありがとう」
暗闇に浮かぶ森山さんの頭部は、美しくはあったが……。
首から下って、どうなっているんだろう……。
森山さんは、自分の鎧の中でなら身体の一部を実体化できるような感じらしい。
真っ暗闇に、ぽっかりと青白く光る森山さんは伏し目がちに言葉を続ける。
「……最初、佐嶋君と出会ったときには。凄い美形な男の子みたいに思ったけれど」
俺は森山さんが嫌いとか、苦手とかそういうのは一切無い。
森山さんは、俺の見た目を褒めてくれるが。俺はこの世界フランシアに来てから自分の顔を見たことが無い。リアルでは見た目でアレコレ言われた記憶はない。
「ヴァンパイアだし……そのうち色んな女の子とかに噛みついては捨てて、噛みついては捨て……」
ちょーっと吉田さんに厳しいかな? ってなくらいの感じである。
「そういう、リアルの遊び人みたいな男の人になるのかなー。とか思っていたから、あまり私も意識していなかったんだけれど……」
しかし女性としてと言うか。
恋愛とかの可能性については、初対面から今の今までグラムも考えたことは無かった。
「なんだか。さっきから佐嶋君の事ばっかり考えちゃってて……」
デスナイトの森山さんは身長は250センチの全身鎧フルプレートの身体。
中身は異界に通じているような謎の空洞で。
「私も、変だなと思ったけれど」
横幅も胸当ブレストプレートて部分だけでも俺が楽に潜り込めるくらいサイズだ。
「私、佐嶋君の事が……」
無理だろ……
とか思ったが、ジワジワジワ森山さんの顔が近づいてくる。
あれ?
これって俺。襲われる?
「私……頭だけとか。胸だけとか。お尻だけとかならば鎧の中で形作れるから」
「ええええ?」
「……ダメっかな?」
何が駄目なのか。そして、意外にそれならイケちゃうんではないか?
とか考えている俺がいたりもした。
「ちょちょ、森山さん落ち着い――」
森山さんの生首が、俺に喰らいつくような口付けをしてくる。
ああ……俺のファーストキス。
あ、でもなんか。
これはこれで、イイか? も?
「ハァ……しちゃったね」
ちょっとイタズラっぽく、森山さんは笑う。
うう、こう見ると森山さんもカワイイ。
デスナイトだけれど……。
でも。なぜに、森山さんが俺を?
いままで、そんなそぶりはお互いにミリも無かった……のに。
まぁ、恋は突然にとか言うし。
部分的にでも、実体化できるとかなら……。
まぁ、何とか俺たちは上手くやっていけるのかも知れない。
「森山さん……俺も……いま…」
「ごめんね佐嶋君。いきなりこんな事って……魔王からもらったアイテムを身につけてから私、なんだか……おかしくて……」
……それだろ
「も、森山さん。その拡張スロットの中身を、ちょーっと見せてもらえないですか?」
「え? ……うん、良いけれど」
「ゴメンね、俺たちの大事なときにそんなこと言って」
森山さんはどこからか、手のひらサイズの金属製カードホルダーのような物をとりだしてきて、俺の目の前に浮かべてくれる。
「スロットに入っているカードを見て良いですか森山さん」
「いいわよ……」
そして、スロットに差し込まれているカードを抜いてみる。
なんかピンク色の怪しげなカードが出てくる。
なんだか見たことない装飾多寡ともいえる文字が書かれていて、でかいハートマークが描かれている。
不思議と俺は、その文字を読むことが出来た。
(サジマ君 大好きカード!!)
「……」
こ、これがデスナイトの恋の原因か……。
魔王の、報酬の中にあった拡張スロットに刺さっていたオマケのカードの正体だった。
でも、これを抜いちゃえば。もう森山さんは、元通りだね!
良かった。
……と、思ったのだが。
な、なにか冷気というか霊気のような冷たさをヒシヒシと感じる。
ちょっーと横目で、森山さんの表情を伺おうとすると。
「……私の中で、何しているの? 佐嶋君?」
凍り付くような森山さんの声……。
え?
俺の目の前に、ホラー映画のワンシーンのような表情の森山さんの顔が浮かんでいた……。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
強制輪廻〜許して下さい、いや、マジで!〜
テルボン
ファンタジー
凄腕のハンターとして王都界隈に名を馳せる男、アッシュ。
狙った獲物は、例えドラゴンだろうと単独(ソロ)で狩る。邪魔する奴は女や子供だろうと容赦しない。
故に嫌われ者としても名を馳せる彼が、次の標的に決めたのは霊峰に住み着いたという巨悪な熊の魔物。
いつものようにソロで標的を仕留めようとした結果、撃ち抜いたのは神獣だった⁉︎
神獣に呪われたアッシュは異世界転生を繰り返すことに⁉︎主人公ざまぁの物語が、今始まる‼︎
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
男女比崩壊世界で逆ハーレムを
クロウ
ファンタジー
いつからか女性が中々生まれなくなり、人口は徐々に減少する。
国は女児が生まれたら報告するようにと各地に知らせを出しているが、自身の配偶者にするためにと出生を報告しない事例も少なくない。
女性の誘拐、売買、監禁は厳しく取り締まられている。
地下に監禁されていた主人公を救ったのはフロムナード王国の最精鋭部隊と呼ばれる黒龍騎士団。
線の細い男、つまり細マッチョが好まれる世界で彼らのような日々身体を鍛えてムキムキな人はモテない。
しかし転生者たる主人公にはその好みには当てはまらないようで・・・・
更新再開。頑張って更新します。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる