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十四 うわさ
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「リュミネーヴァ様! ご、ごきげんよう!」
「あら、ありがとう」
「「きゃーー!」」
なにやら「お姉様……」とでも聞こえてきそうなほど、女生徒はなついてくれている。はず。
そうなのだ。
ヒロインにいじわるさえしなければ、きっと原作でもこうだったのだろう。
なにせ、生まれもった容姿と家柄。
火・水・風・土すべてに適応した全属性と呼ばれる、魔力の資質。
魔法のエリートでありながら、平民からの要請にも応じて魔物に対処する善心。
自分が転生していなかったとしても、元々こうなのだ。
……ヒロインさえ、居なければ。
(恋は盲目ってねぇ)
よかった。
恐らく自分は、そうならない自信がある。
いや、なれない。が正しいだろう。
原作を変えてしまったからあれだが、どちらにせよヒロインという存在がでてきたことによりリュミネーヴァの婚約は破棄される。
経緯はどうあれ、そこは変わらないはず。
悪役令嬢は、きっと。
はじまりは純粋に恋をしていた。
それだけだったのだろう。
「リュミネーヴァ様、聞きました?」
「ん?」
昼休み。ご飯の時間。
魔法学校には学食が完備されている。
将来は国防を担う魔法使いを育成する機関。
国庫や貴族の寄付で運営しているため、食事代は無料。
元社会人の感覚からいくと、とてもありがたい場所だ。
そこで女生徒と集まって食事している。
中には別クラスの子も交じっている。
「シンシアさんですよ。メーアス様やウルム様と仲睦まじいお姿はほほえましいで済みますけれど……」
「よりにもよって、ライエン様やユールティアス様とも過度に接しているお姿は、正直」
「慎ましいとは、言えませんわよね」
まぁ、そうなるよね。
私はゲームの感覚で観ていられるのでそこまで気にならないのだが、ここを現実と捉えた時に。
そうなるのは必然だ。
むしろこの場合、私の感覚の方が異常なのだ。
「リュミネーヴァ様は、それでいいんですの!?」
「え”」
周りのご令嬢の視線が、いたい。
あれ、デジャヴ?
「……光の魔法を扱える方が特別なのは明白。次期国王として、良い人脈をお築きなのは喜ばしいことですわ」
「はああぁ、寛容でいらっしゃるんですね」
「それとも、ライエン様とそれほどの愛で結ばれているんですね!」
いえ、全く。
そう言えたら、どんなにいいか。
「でも、仲よくされるにしても……二人きりになるのはいかがなものかと」
「ねぇ」
私だったら全力で回避のシチュエーション。
物語のヒロインなのだから、致し方ない。
……そういえば、兄であるエルドナーレのイベントは多少発生したのだろうか。
シンシアと関わりを避けているから、派生はしづらい状況であるが。
「そう言えばもうすぐ、ライエン様のご生誕の催しがございますわね!」
「そうね、早いものですわ」
十六歳の誕生日。
噂ではそこで、王が正式にライエンに王位を譲る宣言をするらしい。
きっと原作では第二王子派の策略だとか、魔皇国とのいざこざがあったのだろうが。
意図せず、原作のフラグを折ってしまったからには、つつがなく執り行われるだろう。
「きっと、リュミネーヴァ様のことも改めてご紹介されるに違いありませんわ!」
「素敵ねぇ」
(果たして、そう上手くいくかしらねぇ)
「あら、ありがとう」
「「きゃーー!」」
なにやら「お姉様……」とでも聞こえてきそうなほど、女生徒はなついてくれている。はず。
そうなのだ。
ヒロインにいじわるさえしなければ、きっと原作でもこうだったのだろう。
なにせ、生まれもった容姿と家柄。
火・水・風・土すべてに適応した全属性と呼ばれる、魔力の資質。
魔法のエリートでありながら、平民からの要請にも応じて魔物に対処する善心。
自分が転生していなかったとしても、元々こうなのだ。
……ヒロインさえ、居なければ。
(恋は盲目ってねぇ)
よかった。
恐らく自分は、そうならない自信がある。
いや、なれない。が正しいだろう。
原作を変えてしまったからあれだが、どちらにせよヒロインという存在がでてきたことによりリュミネーヴァの婚約は破棄される。
経緯はどうあれ、そこは変わらないはず。
悪役令嬢は、きっと。
はじまりは純粋に恋をしていた。
それだけだったのだろう。
「リュミネーヴァ様、聞きました?」
「ん?」
昼休み。ご飯の時間。
魔法学校には学食が完備されている。
将来は国防を担う魔法使いを育成する機関。
国庫や貴族の寄付で運営しているため、食事代は無料。
元社会人の感覚からいくと、とてもありがたい場所だ。
そこで女生徒と集まって食事している。
中には別クラスの子も交じっている。
「シンシアさんですよ。メーアス様やウルム様と仲睦まじいお姿はほほえましいで済みますけれど……」
「よりにもよって、ライエン様やユールティアス様とも過度に接しているお姿は、正直」
「慎ましいとは、言えませんわよね」
まぁ、そうなるよね。
私はゲームの感覚で観ていられるのでそこまで気にならないのだが、ここを現実と捉えた時に。
そうなるのは必然だ。
むしろこの場合、私の感覚の方が異常なのだ。
「リュミネーヴァ様は、それでいいんですの!?」
「え”」
周りのご令嬢の視線が、いたい。
あれ、デジャヴ?
「……光の魔法を扱える方が特別なのは明白。次期国王として、良い人脈をお築きなのは喜ばしいことですわ」
「はああぁ、寛容でいらっしゃるんですね」
「それとも、ライエン様とそれほどの愛で結ばれているんですね!」
いえ、全く。
そう言えたら、どんなにいいか。
「でも、仲よくされるにしても……二人きりになるのはいかがなものかと」
「ねぇ」
私だったら全力で回避のシチュエーション。
物語のヒロインなのだから、致し方ない。
……そういえば、兄であるエルドナーレのイベントは多少発生したのだろうか。
シンシアと関わりを避けているから、派生はしづらい状況であるが。
「そう言えばもうすぐ、ライエン様のご生誕の催しがございますわね!」
「そうね、早いものですわ」
十六歳の誕生日。
噂ではそこで、王が正式にライエンに王位を譲る宣言をするらしい。
きっと原作では第二王子派の策略だとか、魔皇国とのいざこざがあったのだろうが。
意図せず、原作のフラグを折ってしまったからには、つつがなく執り行われるだろう。
「きっと、リュミネーヴァ様のことも改めてご紹介されるに違いありませんわ!」
「素敵ねぇ」
(果たして、そう上手くいくかしらねぇ)
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