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五 意図
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『烈火!』
「「「きゃーー! ライエン様ーー!」」」
(おお、詠唱破棄)
魔法学校というからには、もちろん魔法に関する授業が多い。
今日は座学をひととおり終え、簡単な実技の授業なのだが。
いかんせん、婚約者殿は派手好きである。
どの属性でも良いので、魔法の弾を小さな的に中てれるかという授業なのだが……。
燃やしたぞ、この男。
先生としては、魔力をどのくらい操作できるか見たかっただけだろうに。
(まぁ、この歳で詠唱破棄できるほど魔法を使いこなせるのは……さすが攻略キャラ)
もちろん、私もできますけどね!?
一応、修行中のうちは詠唱した方がイメージ通りにいく可能性が高いですから。
多用はしないように、練習だけしている。
「ーーライエン様っ! さすがです!」
白持ち、と呼ばれる金の煌びやかな髪が、まるで宝石のようにその者を引き立てる。
「シンシアか」
そう、とうとうこの時がやってきた。
シンシア・テセル。
このゲームのヒロインで、光の魔法を習得した重要人物。
聞けば、昨日は登校して学校を見た瞬間、倒れたそうだ。
丸一日、療養していたらしい。
一応先生が言っていたらしいが、攻略キャラが同じ空間に居るだけで怯えてしまって、全く聞いていなかった。
いかんいかん、自由を謳歌するために集中せねば。
「リュミネーヴァ様も、そう思いますよね!」
「っえ? えぇ、まぁ……」
「ふんっ」
何がそんなに気に食わないというのか。
相変わらず不遜なライエン。
大方、「このくらいお前も出来るのに白々しい」とでも思っているのだろう。
「あ、そっか。リュミネーヴァ様も、このくらいお手の物ですもんね。すみません……」
(んんん?)
しゅん、とうなだれた顔は確かに可愛らしい。
だが、その言葉にはチクリとした棘を感じる。
(ライエンに対して『すごい』と言ったことを、『このくらい』と評して私に言う必要ある?)
まるで、私がこれくらい自分も出来るから、すごいことではないと。
そう言っているかのようでは?
考え過ぎ?
(原作を知らなすぎて過敏になってるかも)
忘れよう。他意はない……はず。
あぁ、婚約者の機嫌が悪そうだ……。
「シンシア、その女に構う必要はないぞ」
「えっ、でも」
んんん?
珍しい、ぞんざいに扱われることはあっても、そんな言葉はいわれたことないが……。
というか、同僚に聞いた話だと最初はヒロインのこと苦手じゃなかったか?
「殿下……」
「行くぞ」
メーアスがそれとなく取り成そうとするが、相変わらずご機嫌ななめ。
……この人、ここまで幼稚ではなかったはずだけど。
「すみません、リュミネーヴァ様。わたしが何かしてしまったのでしょうか……」
「いいえ、シンシア様は気にする必要はありませんわ」
複雑な男心というやつだろう。
これ以上構っても、攻略キャラが集まってきてうまく対応できないかもしれない。
(救いなのは、男性と二人きりになるタイミングがないということね)
魔法の授業は危険が伴うため、基本的に自習もなければ、少人数で行うこともない。
学年が上がればそういったこともあるだろうが、この学校には魔法に慣れていない平民もいる。
慎重に行うのも当然だろう。
そもそも、初めて男性……兄に恐怖を感じた時。
あれは、二人きりだったからだ。
記憶、というのは厄介で。
どんなに安全な存在だとしても、同じシチュエーションに遭遇すると、危険な存在として結び付けてしまうのだ。
「「「きゃーー! ライエン様ーー!」」」
(おお、詠唱破棄)
魔法学校というからには、もちろん魔法に関する授業が多い。
今日は座学をひととおり終え、簡単な実技の授業なのだが。
いかんせん、婚約者殿は派手好きである。
どの属性でも良いので、魔法の弾を小さな的に中てれるかという授業なのだが……。
燃やしたぞ、この男。
先生としては、魔力をどのくらい操作できるか見たかっただけだろうに。
(まぁ、この歳で詠唱破棄できるほど魔法を使いこなせるのは……さすが攻略キャラ)
もちろん、私もできますけどね!?
一応、修行中のうちは詠唱した方がイメージ通りにいく可能性が高いですから。
多用はしないように、練習だけしている。
「ーーライエン様っ! さすがです!」
白持ち、と呼ばれる金の煌びやかな髪が、まるで宝石のようにその者を引き立てる。
「シンシアか」
そう、とうとうこの時がやってきた。
シンシア・テセル。
このゲームのヒロインで、光の魔法を習得した重要人物。
聞けば、昨日は登校して学校を見た瞬間、倒れたそうだ。
丸一日、療養していたらしい。
一応先生が言っていたらしいが、攻略キャラが同じ空間に居るだけで怯えてしまって、全く聞いていなかった。
いかんいかん、自由を謳歌するために集中せねば。
「リュミネーヴァ様も、そう思いますよね!」
「っえ? えぇ、まぁ……」
「ふんっ」
何がそんなに気に食わないというのか。
相変わらず不遜なライエン。
大方、「このくらいお前も出来るのに白々しい」とでも思っているのだろう。
「あ、そっか。リュミネーヴァ様も、このくらいお手の物ですもんね。すみません……」
(んんん?)
しゅん、とうなだれた顔は確かに可愛らしい。
だが、その言葉にはチクリとした棘を感じる。
(ライエンに対して『すごい』と言ったことを、『このくらい』と評して私に言う必要ある?)
まるで、私がこれくらい自分も出来るから、すごいことではないと。
そう言っているかのようでは?
考え過ぎ?
(原作を知らなすぎて過敏になってるかも)
忘れよう。他意はない……はず。
あぁ、婚約者の機嫌が悪そうだ……。
「シンシア、その女に構う必要はないぞ」
「えっ、でも」
んんん?
珍しい、ぞんざいに扱われることはあっても、そんな言葉はいわれたことないが……。
というか、同僚に聞いた話だと最初はヒロインのこと苦手じゃなかったか?
「殿下……」
「行くぞ」
メーアスがそれとなく取り成そうとするが、相変わらずご機嫌ななめ。
……この人、ここまで幼稚ではなかったはずだけど。
「すみません、リュミネーヴァ様。わたしが何かしてしまったのでしょうか……」
「いいえ、シンシア様は気にする必要はありませんわ」
複雑な男心というやつだろう。
これ以上構っても、攻略キャラが集まってきてうまく対応できないかもしれない。
(救いなのは、男性と二人きりになるタイミングがないということね)
魔法の授業は危険が伴うため、基本的に自習もなければ、少人数で行うこともない。
学年が上がればそういったこともあるだろうが、この学校には魔法に慣れていない平民もいる。
慎重に行うのも当然だろう。
そもそも、初めて男性……兄に恐怖を感じた時。
あれは、二人きりだったからだ。
記憶、というのは厄介で。
どんなに安全な存在だとしても、同じシチュエーションに遭遇すると、危険な存在として結び付けてしまうのだ。
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