魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!

蒼乃ロゼ

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四 公爵令嬢の自己紹介

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「リュミネーヴァ・レ・レイ・ローゼン。全属性マスター。好きな食べ物は、お肌に良いものですわ」

 ーーまずい。
 思わず貴族令嬢らしくない、前世流の自己紹介でいってしまった。

「(リュミネーヴァ様、相変わらず素敵ね……)」
「(ローゼン公爵令嬢……、さすがの全属性マスターか)」
「(公爵家のご令嬢なのに、気取らない方なのね)」

 入学式もそこそこに、事前に魔力の強さ別に振り分けられたクラスへと移動した。
 ちなみに事前調査とは、入学手続きの際に個別に魔道具にて行われる。
 そのため、誰と同じクラスか。というのは、今日知ることとなる。

 大事な一発目の自己紹介でやってしまったかと思われたが、ざわつきはない。
 意外に好評……かもしれない。
 貴族や平民という身分で判断がされない学校でよかった。


「ライエン・デュ・ロン・エレデア。知ってのとおりだ。まぁ……よろしく頼む」
「「「きゃーー!」」」

 きゃーーなの!?
 今、どこにもそんな要素なかったけど!?

 というか目指せ婚約破棄、目指せ攻略キャラと疎遠。を志したはいいものの。
 当たり前というか、みな同様に魔力が高い訳で。

 そりゃ、攻略キャラは同じクラスですよね……。

 いや? でも……。

(ヒロイン、居なくない?)





 前世同様、最初はオリエンテーションのようなものばかり。
 先生による学校案内、授業の内容、はたまた学校の歴史。
 そういったものばかりで、具体的な授業はもう少し経ってからだろう。

「リュ、リュミネーヴァ様! また明日お会いしましょう!」
「あら、ご丁寧にありがとう。また明日」
「「きゃーー!」」

 ……きゃーーなの?

「お前なぁ……」

 遊び人の名折れだ、とでも言いたげな婚約者殿。

「不可抗力ですわ」

 自分でも驚いているのだから仕方ない。
 恐らく、ではあるのだが。

 前世の記憶を取り戻してからというもの。
 男性を避けるようになり、必然と女性との交流に偏った。

 そして、元々女性向けのエステサロンで働いていたため、自分で言うのもあれだが。
 女性受けが良いのだ。

 おまけに今は、見目も良い。

(うーーん、ハイスペ)

 しかし、乙女ゲームの世界で、ヒロインの逆ハーレムが築かれるのであれば。
 女性との仲を深めるのは非常に良いことだ。

(しかし困ったな)

 同僚から聞いていたのは、簡単なあらすじと、大まかなキャラ紹介。
 その他の情報といえば、ゲームのパッケージや広告の立ち絵。

 原作が始まるとはいえ、なにがどう作用するのか、全く分からない状況だ。

 おまけに、ヒロイン不在。
 どう考えても特待生ならば魔力の高いクラスに来るはず。

 そもそも、入学式も居なかったとか?

「良いか、明日からは送迎はないものと思え」
「あ、はい。それは承知しておりますわ」
「……、お前はいつもそうだな」
「え?」

「なんでもない」

 これは……、原作に関係ある話題なんだろうか。

 同僚いわく、女好きで遊び人なのも理由があるらしい。
 それが何かまでは聞いていないが、まぁ乙女ゲームであればルートごとにキャラの心の奥も覗けるのだろう。

(原作でも同様なのだから、わたくしが男性を苦手としていることは関係ない……はずよね?)




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