5 / 60
四 公爵令嬢の自己紹介
しおりを挟む
「リュミネーヴァ・レ・レイ・ローゼン。全属性。好きな食べ物は、お肌に良いものですわ」
ーーまずい。
思わず貴族令嬢らしくない、前世流の自己紹介でいってしまった。
「(リュミネーヴァ様、相変わらず素敵ね……)」
「(ローゼン公爵令嬢……、さすがの全属性か)」
「(公爵家のご令嬢なのに、気取らない方なのね)」
入学式もそこそこに、事前に魔力の強さ別に振り分けられたクラスへと移動した。
ちなみに事前調査とは、入学手続きの際に個別に魔道具にて行われる。
そのため、誰と同じクラスか。というのは、今日知ることとなる。
大事な一発目の自己紹介でやってしまったかと思われたが、ざわつきはない。
意外に好評……かもしれない。
貴族や平民という身分で判断がされない学校でよかった。
「ライエン・デュ・ロン・エレデア。知ってのとおりだ。まぁ……よろしく頼む」
「「「きゃーー!」」」
きゃーーなの!?
今、どこにもそんな要素なかったけど!?
というか目指せ婚約破棄、目指せ攻略キャラと疎遠。を志したはいいものの。
当たり前というか、みな同様に魔力が高い訳で。
そりゃ、攻略キャラは同じクラスですよね……。
いや? でも……。
(ヒロイン、居なくない?)
◇
前世同様、最初はオリエンテーションのようなものばかり。
先生による学校案内、授業の内容、はたまた学校の歴史。
そういったものばかりで、具体的な授業はもう少し経ってからだろう。
「リュ、リュミネーヴァ様! また明日お会いしましょう!」
「あら、ご丁寧にありがとう。また明日」
「「きゃーー!」」
……きゃーーなの?
「お前なぁ……」
遊び人の名折れだ、とでも言いたげな婚約者殿。
「不可抗力ですわ」
自分でも驚いているのだから仕方ない。
恐らく、ではあるのだが。
前世の記憶を取り戻してからというもの。
男性を避けるようになり、必然と女性との交流に偏った。
そして、元々女性向けのエステサロンで働いていたため、自分で言うのもあれだが。
女性受けが良いのだ。
おまけに今は、見目も良い。
(うーーん、ハイスペ)
しかし、乙女ゲームの世界で、ヒロインの逆ハーレムが築かれるのであれば。
女性との仲を深めるのは非常に良いことだ。
(しかし困ったな)
同僚から聞いていたのは、簡単なあらすじと、大まかなキャラ紹介。
その他の情報といえば、ゲームのパッケージや広告の立ち絵。
原作が始まるとはいえ、なにがどう作用するのか、全く分からない状況だ。
おまけに、ヒロイン不在。
どう考えても特待生ならば魔力の高いクラスに来るはず。
そもそも、入学式も居なかったとか?
「良いか、明日からは送迎はないものと思え」
「あ、はい。それは承知しておりますわ」
「……、お前はいつもそうだな」
「え?」
「なんでもない」
これは……、原作に関係ある話題なんだろうか。
同僚いわく、女好きで遊び人なのも理由があるらしい。
それが何かまでは聞いていないが、まぁ乙女ゲームであればルートごとにキャラの心の奥も覗けるのだろう。
(原作でも同様なのだから、私が男性を苦手としていることは関係ない……はずよね?)
ーーまずい。
思わず貴族令嬢らしくない、前世流の自己紹介でいってしまった。
「(リュミネーヴァ様、相変わらず素敵ね……)」
「(ローゼン公爵令嬢……、さすがの全属性か)」
「(公爵家のご令嬢なのに、気取らない方なのね)」
入学式もそこそこに、事前に魔力の強さ別に振り分けられたクラスへと移動した。
ちなみに事前調査とは、入学手続きの際に個別に魔道具にて行われる。
そのため、誰と同じクラスか。というのは、今日知ることとなる。
大事な一発目の自己紹介でやってしまったかと思われたが、ざわつきはない。
意外に好評……かもしれない。
貴族や平民という身分で判断がされない学校でよかった。
「ライエン・デュ・ロン・エレデア。知ってのとおりだ。まぁ……よろしく頼む」
「「「きゃーー!」」」
きゃーーなの!?
今、どこにもそんな要素なかったけど!?
というか目指せ婚約破棄、目指せ攻略キャラと疎遠。を志したはいいものの。
当たり前というか、みな同様に魔力が高い訳で。
そりゃ、攻略キャラは同じクラスですよね……。
いや? でも……。
(ヒロイン、居なくない?)
◇
前世同様、最初はオリエンテーションのようなものばかり。
先生による学校案内、授業の内容、はたまた学校の歴史。
そういったものばかりで、具体的な授業はもう少し経ってからだろう。
「リュ、リュミネーヴァ様! また明日お会いしましょう!」
「あら、ご丁寧にありがとう。また明日」
「「きゃーー!」」
……きゃーーなの?
「お前なぁ……」
遊び人の名折れだ、とでも言いたげな婚約者殿。
「不可抗力ですわ」
自分でも驚いているのだから仕方ない。
恐らく、ではあるのだが。
前世の記憶を取り戻してからというもの。
男性を避けるようになり、必然と女性との交流に偏った。
そして、元々女性向けのエステサロンで働いていたため、自分で言うのもあれだが。
女性受けが良いのだ。
おまけに今は、見目も良い。
(うーーん、ハイスペ)
しかし、乙女ゲームの世界で、ヒロインの逆ハーレムが築かれるのであれば。
女性との仲を深めるのは非常に良いことだ。
(しかし困ったな)
同僚から聞いていたのは、簡単なあらすじと、大まかなキャラ紹介。
その他の情報といえば、ゲームのパッケージや広告の立ち絵。
原作が始まるとはいえ、なにがどう作用するのか、全く分からない状況だ。
おまけに、ヒロイン不在。
どう考えても特待生ならば魔力の高いクラスに来るはず。
そもそも、入学式も居なかったとか?
「良いか、明日からは送迎はないものと思え」
「あ、はい。それは承知しておりますわ」
「……、お前はいつもそうだな」
「え?」
「なんでもない」
これは……、原作に関係ある話題なんだろうか。
同僚いわく、女好きで遊び人なのも理由があるらしい。
それが何かまでは聞いていないが、まぁ乙女ゲームであればルートごとにキャラの心の奥も覗けるのだろう。
(原作でも同様なのだから、私が男性を苦手としていることは関係ない……はずよね?)
1
お気に入りに追加
166
あなたにおすすめの小説

ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です

モブに転生したので前世の好みで選んだモブに求婚しても良いよね?
狗沙萌稚
恋愛
乙女ゲーム大好き!漫画大好き!な普通の平凡の女子大生、水野幸子はなんと大好きだった乙女ゲームの世界に転生?!
悪役令嬢だったらどうしよう〜!!
……あっ、ただのモブですか。
いや、良いんですけどね…婚約破棄とか断罪されたりとか嫌だから……。
じゃあヒロインでも悪役令嬢でもないなら
乙女ゲームのキャラとは関係無いモブ君にアタックしても良いですよね?

義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。
あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!?
ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど
ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。
※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。

村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。


悪役令嬢は南国で自給自足したい
夕日(夕日凪)
恋愛
侯爵令嬢ビアンカ・シュラットは7歳の誕生日が近づく頃、
前世の記憶を思い出し自分がとある乙女ゲームの悪役令嬢である事に気付く。
このまま進むと国外追放が待っている…!
焦るビアンカだが前世の自分は限界集落と称される離島で自給自足に近い生活をしていた事を思い出し、
「別に国外追放されても自給自足できるんじゃない?どうせなら自然豊かな南国に追放して貰おう!」
と目を輝かせる。
南国に追放されたい令嬢とそれを見守る溺愛執事のお話。
※小説家になろう様でも公開中です。
※ネタバレが苦手な方は最新話まで読んだのちに感想欄をご覧になる事をおススメしております。

盲目のラスボス令嬢に転生しましたが幼馴染のヤンデレに溺愛されてるので幸せです
斎藤樹
恋愛
事故で盲目となってしまったローナだったが、その時の衝撃によって自分の前世を思い出した。
思い出してみてわかったのは、自分が転生してしまったここが乙女ゲームの世界だということ。
さらに転生した人物は、"ラスボス令嬢"と呼ばれた性悪な登場人物、ローナ・リーヴェ。
彼女に待ち受けるのは、嫉妬に狂った末に起こる"断罪劇"。
そんなの絶対に嫌!
というかそもそも私は、ローナが性悪になる原因の王太子との婚約破棄なんかどうだっていい!
私が好きなのは、幼馴染の彼なのだから。
ということで、どうやら既にローナの事を悪く思ってない幼馴染と甘酸っぱい青春を始めようと思ったのだけどーー
あ、あれ?なんでまだ王子様との婚約が破棄されてないの?
ゲームじゃ兄との関係って最悪じゃなかったっけ?
この年下男子が出てくるのだいぶ先じゃなかった?
なんかやけにこの人、私に構ってくるような……というか。
なんか……幼馴染、ヤンデる…………?
「カクヨム」様にて同名義で投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる