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31 ライバル魔女、卒倒
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「──!?」
「だ、ダオ……来ちゃったんだ……」
「? どうかしたか」
剣の手入れをしてもらってホクホクのダオ。
わたしの魔力を辿って、最悪のタイミングで合流してしまった。
「だ、誰……です……!?」
あぁ……、案の定ダオに興味津々の様子。
リチアナは美しいものが大好きだから、当然美形にも目が無い。
「ああ、知り合いか? 俺はダオ。ハニティには世話になってる」
「あー。あの。なんだろ、敷地内でぶっ倒れてたから、保護──」
「──決めましたわ」
「「え?」」
「あなた、──わたくしの騎士にして差し上げますわ!」
「……?」
「あああぁ」
ほら、こうなる。
こうなると思ったから、リースにダオを連れてくるのを迷っていた。
初対面で、しかもリチアナの性格をいまいち掴めないダオはただただ困惑している。
「話が……見えない、が?」
「あら、話などしなくとも……ねぇ?」
自分の魅力に自信があるリチアナは、実力行使! とでも言うようにダオに擦り寄った。
もう、その豊かなお胸を擦り付けるが如く。
あわわ……。
ダオの人生はダオのものだからあれだけど、美形で女性慣れしてるダオには効かないと思うけど……。
こういうところは、古風というか。
イメージ戦略通りの魔女なんだよな、リチアナ。
「……離してもらえるか?」
「え?」
「聞こえなかったか? 離してもらえるか?」
「──なっ!」
(ああぁぁ)
案の定色仕掛けの効かないダオは、ふつーにそれをかわした。
もう、さらっと。
プライドが高く、自分の色気に自信満々だったリチアナは怒りか羞恥か。顔が真っ赤だ。
「……そもそも魔女の騎士というのが良く分かっていないが……。今のところハニティ以外を守る気はない」
「なんですってぇ!?」
「ちょ、ちょっとリチアナ……。ダオは一応客人みたいなもんだし……落ち着いて……」
「あ、あ、あなた! ダオと言ったかしら。……覚えておきなさいよ!!」
そう言うと走ってどこかへ行ってしまわれた。
もう……、彼女に関わると本当ろくなことがない。
「……何だったんだ?」
「いや、気にしないで。いつもああいう感じ」
「絡みがどうとか言っていた魔女か?」
「そうそう、予想はしてたし」
絶対一目でダオのことを気に入ると思っていた。
それに、継承の儀をしていない以上。ダオがわたしの魔女の騎士でないことは明白。
仮にそうなる予定の者だったとしても、お得意の色仕掛けで奪うつもりだったと思う。
わたしへの嫌がらせと、美しいものを侍らせることができて、一石二鳥という訳だ。
「結局……、魔女の騎士とは?」
「あー、そうだよねぇ。うーん」
ダオの人生はダオのものだから。この先誰かの魔女の騎士になることが全くないとは言えない。
ふつうは先輩大魔女が推薦するものなんだけど……。
まれに示し合わせたかのように、自分で騎士を見付ける魔女もいる。
……なにも知らずにそうなるより、説明した方がいいか。
「ふつうは先輩大魔女から説明受けるんだけど……、ダオかっこいいし、強いからね。今みたいなお誘いがこれからあるかもだし。説明してあげるよ」
「……」
「……ダオ?」
「……いや」
せっかく説明してあげると言っているのに、なにやら明後日の方向を見ている。
もしや、照れているのか? かわいいやつめ……。
「せっかくだからエボニーの家で話しよう。定期試験のこともあるし」
「俺も行って大丈夫なのか?」
「いいでしょ。薬屋さんだし」
「そうか、なら」
一応女性のお宅だから気を遣ったのかな?
やはり、モテ男は気遣いがデキるんだな。
「だ、ダオ……来ちゃったんだ……」
「? どうかしたか」
剣の手入れをしてもらってホクホクのダオ。
わたしの魔力を辿って、最悪のタイミングで合流してしまった。
「だ、誰……です……!?」
あぁ……、案の定ダオに興味津々の様子。
リチアナは美しいものが大好きだから、当然美形にも目が無い。
「ああ、知り合いか? 俺はダオ。ハニティには世話になってる」
「あー。あの。なんだろ、敷地内でぶっ倒れてたから、保護──」
「──決めましたわ」
「「え?」」
「あなた、──わたくしの騎士にして差し上げますわ!」
「……?」
「あああぁ」
ほら、こうなる。
こうなると思ったから、リースにダオを連れてくるのを迷っていた。
初対面で、しかもリチアナの性格をいまいち掴めないダオはただただ困惑している。
「話が……見えない、が?」
「あら、話などしなくとも……ねぇ?」
自分の魅力に自信があるリチアナは、実力行使! とでも言うようにダオに擦り寄った。
もう、その豊かなお胸を擦り付けるが如く。
あわわ……。
ダオの人生はダオのものだからあれだけど、美形で女性慣れしてるダオには効かないと思うけど……。
こういうところは、古風というか。
イメージ戦略通りの魔女なんだよな、リチアナ。
「……離してもらえるか?」
「え?」
「聞こえなかったか? 離してもらえるか?」
「──なっ!」
(ああぁぁ)
案の定色仕掛けの効かないダオは、ふつーにそれをかわした。
もう、さらっと。
プライドが高く、自分の色気に自信満々だったリチアナは怒りか羞恥か。顔が真っ赤だ。
「……そもそも魔女の騎士というのが良く分かっていないが……。今のところハニティ以外を守る気はない」
「なんですってぇ!?」
「ちょ、ちょっとリチアナ……。ダオは一応客人みたいなもんだし……落ち着いて……」
「あ、あ、あなた! ダオと言ったかしら。……覚えておきなさいよ!!」
そう言うと走ってどこかへ行ってしまわれた。
もう……、彼女に関わると本当ろくなことがない。
「……何だったんだ?」
「いや、気にしないで。いつもああいう感じ」
「絡みがどうとか言っていた魔女か?」
「そうそう、予想はしてたし」
絶対一目でダオのことを気に入ると思っていた。
それに、継承の儀をしていない以上。ダオがわたしの魔女の騎士でないことは明白。
仮にそうなる予定の者だったとしても、お得意の色仕掛けで奪うつもりだったと思う。
わたしへの嫌がらせと、美しいものを侍らせることができて、一石二鳥という訳だ。
「結局……、魔女の騎士とは?」
「あー、そうだよねぇ。うーん」
ダオの人生はダオのものだから。この先誰かの魔女の騎士になることが全くないとは言えない。
ふつうは先輩大魔女が推薦するものなんだけど……。
まれに示し合わせたかのように、自分で騎士を見付ける魔女もいる。
……なにも知らずにそうなるより、説明した方がいいか。
「ふつうは先輩大魔女から説明受けるんだけど……、ダオかっこいいし、強いからね。今みたいなお誘いがこれからあるかもだし。説明してあげるよ」
「……」
「……ダオ?」
「……いや」
せっかく説明してあげると言っているのに、なにやら明後日の方向を見ている。
もしや、照れているのか? かわいいやつめ……。
「せっかくだからエボニーの家で話しよう。定期試験のこともあるし」
「俺も行って大丈夫なのか?」
「いいでしょ。薬屋さんだし」
「そうか、なら」
一応女性のお宅だから気を遣ったのかな?
やはり、モテ男は気遣いがデキるんだな。
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