本屋の賢者は、星の唄で眠りにつきたい

 禁を冒して『魔法』と『見る力』を失った元賢者のルネ。

 賢者に禁を冒させる要因となり、『魔法』と『理由』を手にした冒険者のシェイド。

 大好きだった本を自力で読むことのできなくなったルネには、毎夜大切な時が訪れた。

 月明りのもと窓辺にて、シェイドに本を読んでもらうこと。

 しかしその行為は、自分から魔法と見る力を奪ったことに対する贖罪のようなものだと感じていた。

 ルネは見えない代わりに聴きたかった。
 その声でいつか、魔法のないただの人間となった自分でも『必要』な存在であると。

 叶わないことだと分かっていても、そう願っていた。

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