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第1章 風の大都市
暴風覚醒
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「これ持ってて。」
「は、はい。」
念の為、外した指輪をタルファちゃんに投げる。
黒魔法を選んだのは他の力の副作用が正直怖かったからだ。
青は水没、緑は体内で暴風が起きているような感覚がした。
この感じだと恐らく赤は体が燃え盛って、白は魔法をかけられた感覚が強まると考えると意識まで浄化されすぎて廃人になりそうだ。
雷は凄まじい衝撃で心臓が止まったり?……想像したくない。
その中で黒魔法はいまいち想像できなかった。破壊と聞いて嫌な予感はするが、予想できるものより踏み出しやすい。
無知も時に力になるもんなんだなぁ。
想定外なことに、指輪を外して数秒経っても何も起こらなかった。
大司教は首を傾げる俺を鼻で笑い、呪文を唱えている最中のプリオルの方へと近づく。
大司教、プリオル、タルファ、人間。
にんげんはうるさい
うるさいからこわそう
「!?」
俺はいま何を考えた?
とうぜんのことをかんがえた
邪魔なものをこわすだけ
邪魔?そういえばプリオルの邪魔は壊すんだった
ドンッッ
という音を認識した時、俺は床に拳を叩きつけていた。
黒色の凄まじい衝撃波が広がり、大司教はバランスを崩して倒れている。
プリオルはタルファが気を利かせたのか属性はわからないが、魔法で姉を守っていた。
おしい。
惜しいってなんだ!まるで俺が2人を殺したがっているみたいじゃないか。
頭を抱えながら大司教に近づき、なんとか彼の気をそらそうと手に力を込めてはあたりのものを破壊するが全くの無意味だった。
「仕方ない。血を捧げるのは最後でいいんだ。先に呪文を唱えておこう。」
そういいながらふらりと立ち上がった大司教は即座に白魔法を自らにかけ、そして耳障りな呪文を唱え始めた。
封印は白魔法。
白はよくない。
こわす
俺は飛び上がって大司教に襲い掛かる。しかし彼が呪文を止めることはなくそのままひらりとかわす。
「お兄さんの動きがとても単調になっているわ。けれど理性で少しだけ抑えているせいで単調さをカバーできるだけの威力が出せてない。」
単調?単調。
破壊に複雑さが必要か?
ただこわすだけ。
こわして、ころす
そうじゃない!俺の目的は大司教の儀式を止める事だ。殺しまでする必要はない!!
ころすのがこわい?
怖いに決まってる。
でも殺さないよう抑えて大司教本人を攻撃しても強力な彼の気を引くことができない。
こわす、つよいの、こわす
耳にうんざりするほどこわすという言葉が響いてくる。……つよいの?
そうだ。
これなら全力で攻撃してもいいし、気を引けるはず。
俺は視点を大蛇に合わせて、
そしてそのまま完全に理性を手放した。
ズドン!
ぐちゃり!
スパン!!
叩いて、抉って、切り落とす。
こわすのはたのしい。
めのまえの生き物はすごく黒い力に溢れていて、つよい。
俺と同じちから。目が覚めたらもっと面白い?
つよいのをこわすのはたのしい。
けど、痛いのは嫌だからこのままでいいや。
「貴様!大蛇になんてことを!!!!」
頭を抱える人間。
うるさい。けど、今はこっちの方が楽しいから気にしない。
「しまった、呪文が途切れてしまった。またはじめからだ。いや、それどころじゃない。貴様ァやめろ、やめてくれ、大蛇に傷をつけるんじゃない!」
人間が頭を掻きむしっている。
人間が俺の獲物に近づいてくる。
これはいけない
取られてはいけない
俺は一度大蛇への攻撃を止め、人間の方を向く。
「よ、よかった。聞いてくれたんだな。」
なにをいっているのか、
人間の言葉はわからない。
「お兄さんダメ!!!!」
新しい人間の声がする?
手を止める。
これもこわす?
「ひっ、は、はやくお兄さんを助けてお姉さまぁ。」
「大丈夫よタルファ、もう終わったわ。」
またまた新しい人間が湧いてきた。これもこわす?
でも、目が、みどりで、綺麗な……
「ジョンくん、ありがとう。」
そしてこの空間全体が大きな光に包まれ、吹き飛ばされそうな程とてつもない風が吹き荒れる。あまりの風圧に蛇の上からゴロリと転がり落ちる。
頭を打った衝撃で体を動かせなくなった俺を見たタルファが、すかさず指に指輪をはめる。
グルォォォォォン!!
キャウン!キャウウン!!ワンワン!!!
何かの咆哮、そして沢山の鳴き声が聞こえる。
その咆哮に聞き覚えがある。この低い声は、
「テオ?」
「我は保護者だと言ったのに、ここに来てからお前を苦しませてばかりだな。よく頑張った、あとは任せよ。」
そんなことないよ。といいたかったのに声が出ない。
「ゆっくり休んで。」
しゃかしゃかした女の子の声と共に体が白いオーラに包まれ、意識が闇に落ちていく。
その直後、もふもふとした小さい毛玉の感触と、
ぴ、ぴ、ぴ
という弱々しい鳴き声が聞こえていた。
「は、はい。」
念の為、外した指輪をタルファちゃんに投げる。
黒魔法を選んだのは他の力の副作用が正直怖かったからだ。
青は水没、緑は体内で暴風が起きているような感覚がした。
この感じだと恐らく赤は体が燃え盛って、白は魔法をかけられた感覚が強まると考えると意識まで浄化されすぎて廃人になりそうだ。
雷は凄まじい衝撃で心臓が止まったり?……想像したくない。
その中で黒魔法はいまいち想像できなかった。破壊と聞いて嫌な予感はするが、予想できるものより踏み出しやすい。
無知も時に力になるもんなんだなぁ。
想定外なことに、指輪を外して数秒経っても何も起こらなかった。
大司教は首を傾げる俺を鼻で笑い、呪文を唱えている最中のプリオルの方へと近づく。
大司教、プリオル、タルファ、人間。
にんげんはうるさい
うるさいからこわそう
「!?」
俺はいま何を考えた?
とうぜんのことをかんがえた
邪魔なものをこわすだけ
邪魔?そういえばプリオルの邪魔は壊すんだった
ドンッッ
という音を認識した時、俺は床に拳を叩きつけていた。
黒色の凄まじい衝撃波が広がり、大司教はバランスを崩して倒れている。
プリオルはタルファが気を利かせたのか属性はわからないが、魔法で姉を守っていた。
おしい。
惜しいってなんだ!まるで俺が2人を殺したがっているみたいじゃないか。
頭を抱えながら大司教に近づき、なんとか彼の気をそらそうと手に力を込めてはあたりのものを破壊するが全くの無意味だった。
「仕方ない。血を捧げるのは最後でいいんだ。先に呪文を唱えておこう。」
そういいながらふらりと立ち上がった大司教は即座に白魔法を自らにかけ、そして耳障りな呪文を唱え始めた。
封印は白魔法。
白はよくない。
こわす
俺は飛び上がって大司教に襲い掛かる。しかし彼が呪文を止めることはなくそのままひらりとかわす。
「お兄さんの動きがとても単調になっているわ。けれど理性で少しだけ抑えているせいで単調さをカバーできるだけの威力が出せてない。」
単調?単調。
破壊に複雑さが必要か?
ただこわすだけ。
こわして、ころす
そうじゃない!俺の目的は大司教の儀式を止める事だ。殺しまでする必要はない!!
ころすのがこわい?
怖いに決まってる。
でも殺さないよう抑えて大司教本人を攻撃しても強力な彼の気を引くことができない。
こわす、つよいの、こわす
耳にうんざりするほどこわすという言葉が響いてくる。……つよいの?
そうだ。
これなら全力で攻撃してもいいし、気を引けるはず。
俺は視点を大蛇に合わせて、
そしてそのまま完全に理性を手放した。
ズドン!
ぐちゃり!
スパン!!
叩いて、抉って、切り落とす。
こわすのはたのしい。
めのまえの生き物はすごく黒い力に溢れていて、つよい。
俺と同じちから。目が覚めたらもっと面白い?
つよいのをこわすのはたのしい。
けど、痛いのは嫌だからこのままでいいや。
「貴様!大蛇になんてことを!!!!」
頭を抱える人間。
うるさい。けど、今はこっちの方が楽しいから気にしない。
「しまった、呪文が途切れてしまった。またはじめからだ。いや、それどころじゃない。貴様ァやめろ、やめてくれ、大蛇に傷をつけるんじゃない!」
人間が頭を掻きむしっている。
人間が俺の獲物に近づいてくる。
これはいけない
取られてはいけない
俺は一度大蛇への攻撃を止め、人間の方を向く。
「よ、よかった。聞いてくれたんだな。」
なにをいっているのか、
人間の言葉はわからない。
「お兄さんダメ!!!!」
新しい人間の声がする?
手を止める。
これもこわす?
「ひっ、は、はやくお兄さんを助けてお姉さまぁ。」
「大丈夫よタルファ、もう終わったわ。」
またまた新しい人間が湧いてきた。これもこわす?
でも、目が、みどりで、綺麗な……
「ジョンくん、ありがとう。」
そしてこの空間全体が大きな光に包まれ、吹き飛ばされそうな程とてつもない風が吹き荒れる。あまりの風圧に蛇の上からゴロリと転がり落ちる。
頭を打った衝撃で体を動かせなくなった俺を見たタルファが、すかさず指に指輪をはめる。
グルォォォォォン!!
キャウン!キャウウン!!ワンワン!!!
何かの咆哮、そして沢山の鳴き声が聞こえる。
その咆哮に聞き覚えがある。この低い声は、
「テオ?」
「我は保護者だと言ったのに、ここに来てからお前を苦しませてばかりだな。よく頑張った、あとは任せよ。」
そんなことないよ。といいたかったのに声が出ない。
「ゆっくり休んで。」
しゃかしゃかした女の子の声と共に体が白いオーラに包まれ、意識が闇に落ちていく。
その直後、もふもふとした小さい毛玉の感触と、
ぴ、ぴ、ぴ
という弱々しい鳴き声が聞こえていた。
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