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番外編
番外編2
しおりを挟む僕は大っきくなったら、いつも仲良しな瞬と結婚する。
この前、いいよって瞬も言ってくれたし!
今日も瞬はかわいい。
「嶺くん!」
「なぁに?瞬」
「僕ね、嶺くんと結婚するって約束してたけど、やっぱりやめる」
「え!?なんで?瞬、僕のこと嫌いになったの?」
たちまち嶺のおおきな目に涙がたまっていく。
瞬は僕のことが嫌いになったんだろうか。
なんで急に結婚やめるなんて言うんだろう。
「違うんだ。僕、今凉くんに好きって言われてて、嶺くんは女の子も男の子も嶺くんのこと好きって言うけど、凉くんはあんまり友達いないでしょ?だから僕、凉くんと結婚しよっかなぁ、って」
「そんな…っ!なら僕と瞬と凉くんの3人で遊べばいいでしょ?瞬と凉くんが結婚するりゆうにはならないでしょ?」
「だけど…。」
「瞬は僕と結婚すればいいの!瞬は僕のこと好きじゃないの!?」
「好きだけど、」
「瞬のばかっ!もう知らない!瞬なんて凉くんと結婚しちゃえっ!もう瞬となんて絶交する!瞬なんてっ、だいっきらいっ!」
「嶺くん!」
走ってお家に帰ったけど、瞬は追いかけてこなかった。
勝手に保育園から出てきちゃったし、先生に怒られないかな。
お家は開いてなくて、結局パパが帰ってくるまで僕は玄関の前で体育座りして待ってることに決めた。
コンコン
「れい?」
お家の扉の内側からパパの声が聞こえるけど、なんだか違うような気がして何も答えずに耳を塞ぐ。
あれは、パパじゃないもん。
パパは、お家の中からコンコンてしないもん。
だんだん暗くなってくる空を見て、前ばーばが公園の帰り道にお話ししてたおばけのことを思い出した。
「お空が暗くなってもお家に帰れない子供はね、こわぁ~いおお~きな口のおばけに食べられちゃうのよ?だから嶺ちゃんも早くお家に帰らなきゃね。」
「こわーい、おおきなくちのおばけ…」
怖くなってさっきよりも強く耳を塞いで目をぎゅっと瞑った。
たぶん、こうすればおばけはこないはず…
目をつぶって他のことを考えようとすると、さっきの瞬の言葉が頭をよぎって涙が止まらなくなる。
「うぅ……ぐずっ、…ぅ…しゅんの…ばかぁ…、ぼくのこと、すきっていったくせに…」
ダンダンダンッ
下の階から階段を駆け上がってくる大きな音が聞こえる。
怖くて身を縮めていると、聴き馴染んだ声が聞こえた。
「れいっ!」
「…!パパぁっ!」
「れい、良かったぁ、はぁ、はぁ、ほんとに、よかった…。嶺、怪我とかしてない?」
「うん…パパ……ぅ…ぐずっ…こわ、こわかったぁぁ…っ!」
「あーほら、よしよし、怖かったねぇ、頑張ったね。よかった、嶺が無事でよかった」
パパは僕を抱っこすると、僕が体育座りしていた隣の扉を開けた。
「え…?」
「先生に、れいは無事でしたって連絡、しないと。あれ?嶺、そういえばなんでお隣さんのとこに座ってたの?まぁ誰も住んでないから迷惑はかからないけど、」
「パ、パパ、あのね、」
「うん、どうしたの?」
「れいが、あそこにいた時にね、お隣さんにコンコンって、されたの。パパの声が聞こえたんだけどね、なんかパパじゃなかったの。だから、何も言わなかったよ。れいえらい?」
「……れい、えらいね!
明日、瞬くんにもごめんなさいしようね。
あと先生にも。瞬くん嶺のこと大好きって言ってたって。」
「うん…。」
この後、志乃が夜眠れなくなったのは言うまでもない。
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