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リルside。

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コンコンッ

「なんだー?」
部屋の中からレイルの間抜けそうな声が聞こえる。

「私よ。」

「おー、リルか。ちょっと待ってろよ。」

レイルの声が聞こえた直後に、
ガタンッ!!
という何かを落としたような盛大な音が部屋の中から聞こえた。

何やってるのかしら。
安い宿なんだから外に音が全部聞こえてしまうのに。
これだから一緒にいると恥ずかしいのよ。
1つ1つの音が全てうるさいんだから。

数秒後、ガチャッと音がして扉が開いた。

「遅いわ。」

少し怒ったふうに言うと、

「ごめんごめん。」
と笑いながら頭を下げる。

「で?なんだ?どうせ用事があったからきたんだろ?」

「そーだけど…。」

「おいおい、何拗ねてんだよ。え?まじでなんで怒ってんの?」

だからってそんな用事が無かったらきちゃいけないみたいな言い方しなくても良いのに。

まったく…デリカシーのかけらもない上に、乙女心を1ミリたりとも理解してないんだから。この男は。

「まあいいわ。早く入れてちょうだい。」

「どーぞ。お嬢様?」

レイルがおちゃらけた様子で扉を開ける。これでエスコートしてるつもりなのかしら?

「ふんっ………………ってこれ、なによ。」

レイルが開けた扉の先には、まだたった1日しか滞在していないはずなのに、まるで一年はこの場所に暮らしていたかのような散らかり具合の部屋があった。



汚ない。



「いやぁー、色々と探してたらこんなことになっちまってな。あははー。
丁度良かったよーリルが来てくれて。
俺じゃどうにもならないから、リルに手伝ってもらおうと思ってたんだー」

私をただの家政婦くらいにしか思っていない様子のレイルに腹がたつ。
でもそんなことは後回しだ。

「んもう!わかったわよ!手伝えばいいんでしょ!?でも私のお願い聞いてからよ。」

「わかったよー。リル。ところでどんなお願い?できないやつとか、難しいのは勘弁な?」

まるで反省する気がない様子に、さらにイライラする。

「そんなんじゃないわ。相談を聞いてもらうのと、不眠症の薬を貰いに来ただけよ。」

「そんなお願いだったらお安い御用だよー。で、相談ってなに?どうせノアのことだろ?」

「ええ。」
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