32 / 72
引越し。
しおりを挟む
とにかく俺は一刻も早くここを出た方がいい。
ルイスの為にも、この子のためにも。
荷造りをしよう。
あと、ルイスに手紙を書いて、なんてかこう。
書くことがあり過ぎるな。
そう思ったのに、いざ便箋を前にしてペンを持ってみると、何を書けばいいのかわからない。
急に居なくなってごめん。
俺なんかがルイスのこと好きになってごめん。
何も知らなくてごめん。
くだらないことで意地張ってごめん。
色々考えたけど、全部ごめん。の一言しか出てこない。
結局、便箋に書かれたのは
ごめんな。
のひとことだけだった。
ルイスと過ごせた日々は楽しかったよ。
すると、外から声が聞こえる。
「すみません。あの、ルイス様の従者のものです。手紙を忘れてきてしまって。」
戻ってきたのか。
「あー、ちょっと待っててくれませんか。ルイスに渡したいものがあって。」
「分かりました。」
従者の方は、快く受け取ってくれた。
「あの、ルイスには、家に着いてから読んでくれ。と言ってくれませんか。俺の頼みだ。と言えば分かってくれると思うので。」
「はい。では、」
これで最後だ。ルイスの名前を聞くのも。
今日出発かな。
取り敢えずありったけの金と服とかを持っていこう。
この国を出るわけだから、どうしよう。隣のリルとレイルに手伝ってもらおう。
隣んちのリルとレイルは、俺と同い年の双子だ。リルが姉で、レイルが弟。
俺に良くしてくれる。
コンコン
訪ねると中から
「はぁ~い。」
と、リルの可愛らしい声が聞こえる。
「あら、ノア!?どうしたのよ。」
ひと通り事情を話すと、手伝ってくれる事になった。
「ルイスに秘密があることは知ってたけど。まさかねぇ。」
「うん。ノア、今日出発するんだろ?
ならさ、取り敢えず2つ隣のシャルへト国まで送ってくよ。どうせそこに行くつもりだったんだろう?」
「あー、うん。ありがと」
「俺たちさ、母さんがこの前死んじまってさ、ノアは知らないだろ?具合悪かったから。」
「知らなかった。ごめん。」
「いやいや、ノアが謝ることじゃないのよ。何も悪くないでしょう?」
「そうそう。それでさ、父さんももう居ないし、引っ越そうと思ってたんだ。だからさ、俺たちと一緒にこないか?」
「え、いいのか?」
「いいも何も、ノアなら大歓迎よ!私達、ノアのこと大好きだもの!」
「うん、ありがとう。」
「だからさ、もう家は決まってるんだ。今日にでも出発しよう。な?いいだろ?」
2人が心配そうな顔で覗き込んでくる。
「うん。もう荷物は用意できてるから。本当にありがとう。」
子供の父親は、レイルが代わりになってくれるという。
こうして俺は、ルイスから離れる事になった。
ルイスの為にも、この子のためにも。
荷造りをしよう。
あと、ルイスに手紙を書いて、なんてかこう。
書くことがあり過ぎるな。
そう思ったのに、いざ便箋を前にしてペンを持ってみると、何を書けばいいのかわからない。
急に居なくなってごめん。
俺なんかがルイスのこと好きになってごめん。
何も知らなくてごめん。
くだらないことで意地張ってごめん。
色々考えたけど、全部ごめん。の一言しか出てこない。
結局、便箋に書かれたのは
ごめんな。
のひとことだけだった。
ルイスと過ごせた日々は楽しかったよ。
すると、外から声が聞こえる。
「すみません。あの、ルイス様の従者のものです。手紙を忘れてきてしまって。」
戻ってきたのか。
「あー、ちょっと待っててくれませんか。ルイスに渡したいものがあって。」
「分かりました。」
従者の方は、快く受け取ってくれた。
「あの、ルイスには、家に着いてから読んでくれ。と言ってくれませんか。俺の頼みだ。と言えば分かってくれると思うので。」
「はい。では、」
これで最後だ。ルイスの名前を聞くのも。
今日出発かな。
取り敢えずありったけの金と服とかを持っていこう。
この国を出るわけだから、どうしよう。隣のリルとレイルに手伝ってもらおう。
隣んちのリルとレイルは、俺と同い年の双子だ。リルが姉で、レイルが弟。
俺に良くしてくれる。
コンコン
訪ねると中から
「はぁ~い。」
と、リルの可愛らしい声が聞こえる。
「あら、ノア!?どうしたのよ。」
ひと通り事情を話すと、手伝ってくれる事になった。
「ルイスに秘密があることは知ってたけど。まさかねぇ。」
「うん。ノア、今日出発するんだろ?
ならさ、取り敢えず2つ隣のシャルへト国まで送ってくよ。どうせそこに行くつもりだったんだろう?」
「あー、うん。ありがと」
「俺たちさ、母さんがこの前死んじまってさ、ノアは知らないだろ?具合悪かったから。」
「知らなかった。ごめん。」
「いやいや、ノアが謝ることじゃないのよ。何も悪くないでしょう?」
「そうそう。それでさ、父さんももう居ないし、引っ越そうと思ってたんだ。だからさ、俺たちと一緒にこないか?」
「え、いいのか?」
「いいも何も、ノアなら大歓迎よ!私達、ノアのこと大好きだもの!」
「うん、ありがとう。」
「だからさ、もう家は決まってるんだ。今日にでも出発しよう。な?いいだろ?」
2人が心配そうな顔で覗き込んでくる。
「うん。もう荷物は用意できてるから。本当にありがとう。」
子供の父親は、レイルが代わりになってくれるという。
こうして俺は、ルイスから離れる事になった。
18
お気に入りに追加
1,659
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている
香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。
異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。
途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。
「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
平凡顔のΩですが、何かご用でしょうか。
無糸
BL
Ωなのに顔は平凡、しかも表情の変化が乏しい俺。
そんな俺に番などできるわけ無いとそうそう諦めていたのだが、なんと超絶美系でお優しい旦那様と結婚できる事になった。
でも愛しては貰えて無いようなので、俺はこの気持ちを心に閉じ込めて置こうと思います。
___________________
異世界オメガバース、受け視点では異世界感ほとんど出ません(多分)
些細なお気持ちでも嬉しいので、感想沢山お待ちしてます。
現在体調不良により休止中 2021/9月20日
最新話更新 2022/12月27日
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる