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見慣れた背中

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「   じゃぁ~
       ありがとぉーございましたぁ!
       おっちゃぁ~ん!
       また来るからさぁ、
       愚痴たっっっっくさん
       聞いてねぇー!
       じゃぁまっったねー!」
       


おっちゃん、愛してるぅー!



そう言いながらおっちゃんに
投げキッスをして
手を振りながら去る。

フンフフンフフーン♪

あの人の事は忘れて機嫌良く
鼻歌を歌いながら歩いていると、
前方に見慣れた背中と、
並んで歩いてる、
俺なんかより何倍も綾にお似合いな
女の背中が見える

何年も見ていたから、顔なんて確認しなくてもすぐ分かってしまう。

その事実が、目の前の現実が、俺と彼の過ごしてきた時間がいかに長かったかをものがたっていて、そう思えば思うほどに切なくなる。哀しくなる。虚しくなる。

ねぇ綾、俺はどうすればよかった?
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