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俺の知らぬ間に
しおりを挟むあの後何度も襲ってくる痛みに顔をしかめながら、途中であまりの痛さに気絶した。
んだと思う。
多分。
起きた時には何故か腹の膨らみはすっきりしていて、腰もケツも、どこも痛くなかった。
あんなに痛かったのが不思議なくらいだ。
手のひらに感じる温もりを辿ると、俺の手を握っているルイスがいた。
眠ってるらしい。
睫毛、長えなぁ。
よく見るとほんとに美形だよな。
なんかファイナ○ファンタジーみたいだなぁ、なんて呑気なことを考えながら、ルイスの睫毛を指先でなぞった。
「…ぅん…?」
「あ、ルイス起きた?」
長い睫毛がパシパシと動いて、その奥の瞳が俺を捉えた瞬間、涙がこぼれ落ちた。
「ノア…、よかった…」
ん?え…?、
「ちょ、なに泣いてんだよルイス!ど、どうした?なんか、あった?」
「ノ、ノアが気を失って、それで、男の体には辛いかもしれないって、負担が女の人よりかかるからって、医者とかメイドとかがすごい、走り回ってて、俺、俺…、ど、どうしたらいいか分かんなくて…
ノアが死んじゃうかもって、次こそ目覚めないかもって…」
「俺生きてるだろ?ルイスを置いてくわけないだろ。それにまだ子供の顔すら見てないんだから、そんなすぐに死なないよ」
何を言っても、ルイスの背中や手をどんなにさすって宥めても、それから30分ほどルイスは泣きっぱなしだった。
よほど不安だったらしい。
そして、俺の痛み止めが切れたのとルイスの赤い目から涙が落ちなくなってきたのは、ほぼ同時だったわけで、ルイスの目から涙が落ちない代わりに逆に俺が泣いた。
痛すぎて。
「いたぁぁぁ、うぁ、動くだけで痛い、無理無理無理、これ、陣痛ってやつより酷いんじゃね?」
気を失った俺は医者に腹をかっぴらかれて子供を腹から直接取り出された。らしい。
だからか傷が痛い。
起き上がれない。腹筋が使えない。
このままじゃ一人でトイレも行けない…。と嘆いていると、ひとりのメイドから「おしめ付けているので漏らしても大丈夫です。」と言われた。
はぁぁぁぁあ???
漏らすかボケっ!
おっと、痛みと羞恥でいらんことを口走ってしまったみたいだ。
こういうのは治癒魔法とかで治せないのか。とルイスに聞くと、大きな傷はそのまま癒着するからか傷が残りやすいらしい。
だから自然治癒がおすすめなんだそうだ。
まぁルイス以外にこの体見せるつもりないし、別に傷くらい残ったっていいけどね?
お嫁に行けないもなにも、もうとっくにルイスのお嫁さんだし俺。
でもルイスは俺の体に傷なんて残したくないんだってさ。エゴかよこのスパダリヘタレめがっ!
まあそれは置いといて、メイドに子供に会いたいと言ったら何故か却下された。
俺の世界とこの世界は違って、子供は生まれて1週間ほど、生命力を身につける為?に周りの魔力を全部取り込むらしい。
だから弱った体の俺は、最低1週間は経たないと子供に会えないらしい。
あーあ、こんなことなら気を失うのやめとけばよかった。
そしたら生まれた瞬間顔見れたかもしれないのに。なんて、バカなことを考えることしかすることがないってどうすんだ。
ルイスによると、平民てか普通だと生まれてすぐ子供に会えるらしいが、なにしろルイスが王族だから、ルイスが王族だから(大事なことだから2回言った)その血が受け継がれて子供も魔力量が多いらしく、こんなことになってるらしい。
魔力量=生命力みたいなもんで、ルイスに「ノアは魔力量すごい少ないよな。よくここまで生きてこれたよ」と、褒められてるのか貶されてるのかよくわからないことを言われた。
まぁ俺性格と相反して体めちゃくそ弱いもんな。納得。
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