上 下
55 / 72

神さま再び

しおりを挟む


少し眩しさを感じて目を開くと、ルイスがいた。

あれ?ルイス?やっと会えた…。

ぼーっとしながら手を伸ばすと俺の手はルイスの手をするっと突き抜けた。


え?


「やぁやぁこんにちは!慧くんひさしぶりだねぇ!僕だよ僕!神さまだよ!実は僕霊体だから人間には触れないんだよねぇ、まぁ今は君も霊体だから本当は触れるんだけど、なんとなく再現してみちゃった!あはは~」


一気に相手のハイテンションと、ルイスの見たこともないハイテンションさに驚いたのと付いていけなくて頭が混乱する。


え?え?、かみさま?俺戻れたの?
え、正直戻れると思ってなかったし。


え?なんでルイス?



「え?なんで、綾じゃないの?」


「あ!そうですよねぇ!驚きですよねぇ!実は前は言ってなかったんですけど、僕の姿ってあなた方が1番強く思っている人の姿になるんですよ!まぁ今のあなたが1番想っているのはルイスくんなんでしょうね、そういうことです」



急にかしこまったように真面目な顔で言うから、今俺の心の中にいるのはルイスなんだ…って、思ってしまった。


俺の心にいるのが綾じゃないことに罪悪感さえも感じなかった。


その時点で俺は多分綾のとなりにいる資格はなかった。とか言って言い訳してるし。

ばかだなぁ、俺も



「で、俺はルイスんとこ戻れるの…か?」



「もちろんですよぉ!!!今回の戻っちゃった騒ぎは本当にすみませんね…僕の詰めが甘かったみたいであなたを生かしたままこっちの世界に連れてきてしまって…。本来なら意識だけこっちの世界に連れてくることは無理なんですけどねぇ、まぁアクシデントの連続でして…。僕も絶対大丈夫だろうってあなたの世界の様子も見ないでいましたから…。」


「あ、そういえばアクシデントって結局なんなんだ?前に来た時も言ってたけど。」


「う~~ん、これ企業秘密なんで言っていいのやら悪いのやらなんですけど、まぁ今回慧くんには散々な思いをさせてしまった上に自殺までさせてしまったので、内緒ですよ?」


「教えてくれんの?まじか。」


「えっとですねぇ、遡ること慧くんが呼び出された直前なんですけどね」




「あるところにひとりの慧くんくらいの若者がいました!そして僕はその若者が自殺したとともに浮ついて今にも消えそうなその若者の魂をこの世界に送り込もうとしたんです!

ですが、この世界とは違う世界の神さまがその子に惚れちゃいましてね、そんでその若者も一目惚れしちゃいましてね、神さまが「こいつは俺の運命の番だ!」って言って連れてっちゃったんですよ。だから魂の枠がひと枠空いちゃいまして、そこにちょーーーどよく消えそうに浮いていた魂が君だった。というわけです。まぁよく考えればあれは消えそうだったんじゃなくて自分の体に戻ろうとしていたんですよね…僕としたことが不覚でした…。そして予定してなかった君が死んでしまうことになってしまった…本当に申し訳ないです…」



神さま?はさめざめと涙を流しながら俺に謝った。

まぁ結果良ければ全てよしだし、1番悪いのはそのほかの世界の神さまだしさ、ね、泣くなよ。



取り敢えず俺はルイスのところに戻れるみたいでよかった。



「そういえば、俺何日か綾んとこにいたけど、ルイスんとこは何日くらい経ってんの?」



「ん~、そうですねぇ、この調子だと多分2週間ってとこでしょうか。世界を渡るにもかなり時間がかかりまして、その上年差ってもんがあるんで、今回はかなり最短で行きましたけど、いや、でも僕が往復で連れてきたから1ヶ月かな、そのくらいです!ほら、綾くんのとこに戻った時もかなり時間が経っていたでしょう?まぁそういうことです。



君の場合、何度も世界を横断してますから、かなり魂が傷ついていて…もうちょっとここで療養してもらいますけど、だから帰るのはもう少し後です。君の魂には眠ってもらって今眠らせますので、次起きた時にはルイスくんに会えますよ。きっと。」



「ありがと、神さま。」



「いえいえ、本来お礼を言わなくてはいけないのはこちらですから。」





こうして俺は無事にルイスの元へ帰れるらしかった。



早くルイスに会いたいなぁ、

ルイス、俺のこと待っててくれるかな…喧嘩したけど、やっぱ俺からごめんって言おう…



いろいろ考えてたけど、

も、無理…かも…











もう……ね…む………



しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている

香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。 異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。 途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。 「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!

俺にとってはあなたが運命でした

ハル
BL
第2次性が浸透し、αを引き付ける発情期があるΩへの差別が医療の発達により緩和され始めた社会 βの少し人付き合いが苦手で友人がいないだけの平凡な大学生、浅野瑞穂 彼は一人暮らしをしていたが、コンビニ生活を母に知られ実家に戻される。 その隣に引っ越してきたαΩ夫夫、嵯峨彰彦と菜桜、αの子供、理人と香菜と出会い、彼らと交流を深める。 それと同時に、彼ら家族が頼りにする彰彦の幼馴染で同僚である遠月晴哉とも親睦を深め、やがて2人は惹かれ合う。

オメガの復讐

riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。 しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。 とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆

夢見がちオメガ姫の理想のアルファ王子

葉薊【ハアザミ】
BL
四方木 聖(よもぎ ひじり)はちょっぴり夢見がちな乙女男子。 幼少の頃は父母のような理想の家庭を築くのが夢だったが、自分が理想のオメガから程遠いと知って断念する。 一方で、かつてはオメガだと信じて疑わなかった幼馴染の嘉瀬 冬治(かせ とうじ)は聖理想のアルファへと成長を遂げていた。 やがて冬治への恋心を自覚する聖だが、理想のオメガからは程遠い自分ではふさわしくないという思い込みに苛まれる。 ※ちょっぴりサブカプあり。全てアルファ×オメガです。

迷子の僕の異世界生活

クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。 通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。 その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。 冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。 神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。 2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜

白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。 しかし、1つだけ欠点がある。 彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。 俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。 彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。 どうしたら誤解は解けるんだ…? シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。 書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

処理中です...