弟は僕の名前を知らないらしい。

いちの瀬

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「ただいまぁ~」

玄関の開く音とともに間抜けなむっかつく声が聞こえる

「おい悠汰ぁぁ!!!」

「うわぁっ!なんだよおまえっ!」

「こーれー!!!これ!」

でっかいガラスのケースを指差すと、あぁ、そこに置かれちゃったのね。と軽ーく一言。

は!?

は!!??

「悠汰これどーすんの!?」

「んー、二人で動かすの多分むずいから、明後日にはイグアナ来ちゃうしとりあえず落ち着くまではここな。
いいじゃん後ろにイグアナいると南国にいるみたいで。」

「南国!?トカゲだぞトカゲ!でっかいトカゲかカナヘビが後ろにいるんだぞ!?悠汰?僕が爬虫類苦手だって知ってるよな??」

「まぁまぁそう興奮しなさんな」
「興奮してない!!!」

「雪の爬虫類嫌いは知ってるけど、別にカナヘビもトカゲも尻尾が取れるのを見るまではさわれてただろ?お前が嫌いなのはカエルと蛇と尻尾の取れる生き物なんだよ。だから雪、喜べ!よっぽどのことがない限りイグアナはカエルにも蛇にもならないし、尻尾も取れない!!!たぶん」

「最後のたぶんはなんだよ!取れたらどーすんだよ…」

「まぁまぁまぁまぁ、取り敢えず俺帰り道にイグアナ用の草とか木とかその他諸々買ってきたから片付けようぜ」

「わかった…
じゃなくて!取り敢えず、明日までな!」

「はいはい、案外お前が1番イグアナのこと甘やかしたりしてな。お前小動物大好きだもんな。うさぎとか猫とかハリネズミとかイグアナとか」

「イグアナ1番最後にさりげなく入れてるけど好きじゃないから。」
「ばれたか。」

「取り敢えず悠汰の荷物片して夕食食おう。作ってあるし。」

「あ、餃子じゃん!やったー、俺今日すげぇ餃子の気分だったんだよねー、」

「ご機嫌取らなくていいから。」

「てゆか餃子なんてあったっけ?」

「お前、お前が一番買ってるんだよ。ぼくたちが餃子好きすぎてそれぞれ買ってくるあまり、溜まりに溜まっていた冷凍餃子13パックを、今日、ついに、とうとう、10パックに減らしましたー!!!!」

「おぉぉぉ!!!!すげぇ!3パックも!!!」

パチパチパチ

「ん!?13パックもあったの!??いや10パックって全然減ってないじゃん、餃子パーリーでも開いちゃう?やっちゃう?やっちゃう???」

「何祝いに?」

「それはもちろんイグ祝いっしょ。」

いやそれ僕全く祝う気ないよ。

「そんな変な顔してるといつか千と千尋のカオナシみたいな顔になるぞ。いいのか?いいのか???」

「………やだ。」

「いやなんで一瞬考えたよ?まあ雪カオナシ大好きだもんな?」

「うん大好き。少なくともイグアナと比べたら多分那由多くらい大好き。」

「それはすごいな、カオナシの歯並びくらいぎっちぎちに隣り合わせだな。」

「悠汰、那由多の意味わかってる?」

「わかってるよ?たぶんな?」

はいきたまたきた悠汰のお得意なたぶん。

まぁ置いといて。

今日は二人で餃子パーリーナイトだぁぁぁ!

結局餃子は3パックのまま追加されることはなかったとさ。




冷凍庫の餃子の数:残り10パック


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