上 下
7 / 11

7

しおりを挟む


翌日から何事もなかったかのようにいつも通りの学校が始まった。

ジューー

「んん、なんかいい匂いする…」

寝ぼけたままキッチンへ向かうと、珍しく僕よりも先に起きた悠汰が朝ごはんを作っていた。

明日は雪、いや槍でも降るかな。

「ゆーた、おはよ。悠汰が朝ごはん作るなんてどうしたの?」

「まぁ気分がよくてな、雪、オレンジジュース飲むだろ?ほれ」

悠汰が不気味にも冷蔵庫から僕の大好きなオレンジジュースを取り出して、コップに注いでまでくれた。

え!!!?
きっもちわる!!!!

「ゆ、悠汰……?
ぼ、僕の好きな食べ物は?」

「オムライスとハンバーグ!オムライスはふわふわオムレツので、ハンバーグはデミグラスソースのやつだろ?」

「僕の嫌いな食べ物は?」

「ピーマンとしめじとしいたけと長ネギと練り製品と祭りで食べる生焼けのたこ焼き!だろ?」

なんてことだ。僕の情報を知りすぎている…。はっきり言おう。正直言って、今日の悠汰はさいっこーに気持ちがわるい。

まぁ朝ごはんは食べるけど。

席に着くと黒い僕とお揃いのエプロンをした悠汰が僕の前にシャケ、ご飯、お味噌汁、たくあんを出してきた。
お箸にはきちんと箸置き、そしてなによりランチョンマットが引いてある。
良妻賢母すぎんか???

いつも僕は大体ピザトーストで朝ごはんを終わらせるけど、悠汰が夜ご飯ばっかり担当してるせいで忘れてた。
こいつA型だった…。
まぁA型とは思えないほどA型要素ないけどな。

「悠汰、ありがと」

「いえいえ~、昨日のお礼だよ。イグアナ飼っていいって言ったし。」

それか。それがこの良妻賢母の理由か。

「もう俺昨日の夜、寝る前にイグアナの飼育用の小屋買っちゃったもんね~!めっちゃ高かったぁぁ、」

「いくらぐらいだったんだ?」

「んー、覚えてないや☆高すぎて☆」

悠汰は貧乏だが、なぜかイケメンでもないのにモデル業をやっているせいでかなり貯金はある。
あまり手をつけないようにしているのか、かなりの額らしい。

その貯金から出したのか…
そんなにイグアナが飼いたかったとは…

「明日には届くってよ。」

「何が?」

「小屋が。速達便で頼んでもらったから!」

「は?悠汰明日撮影って言ってたじゃん。誰が受け取るのさ。」

「俺以外にもこの家の住人いるじゃん」

「まさか、僕???
まじかよ~、どーせ重いんだろ??」

「まじ重いと思う。全面ガラス張りのめっちゃでかい水槽みたいなもんだから。
お前壊すなよ。高いんだから。
で、明後日イグちゃん連れてくるね~♡」

明後日イグアナくるのか~、ほんとにやだ。
イグアナってトカゲの仲間だろ?
見たことないけどやだな~、

「悠汰、イグアナってくさい?」

「んーん、草食動物は大抵フンとかの排泄物が臭い代わりにあんま体臭は臭わないんだよ。うさぎとかヤギがいい例な。」

たしかにうさぎもヤギも尿は臭いけど体はあんま臭わないな。へぇ、悠汰でもためになること言う時あるんだ。

「あっ。」

そんなことをだらだらご飯を食べながら話しながら、ふと時計を見ると、普段悠汰が「そろそろ行くかぁ~」と腰を上げる時間だった。
つまり始業の5分前。

そして制服も着てない上に寝癖も整えていない男二人がここに。

どうしようどうしよう。

「ゆ、悠汰!!!どうする!?」

「休もー、俺まだ寝れる気がするし。やっぱ1日くらいサボる日があったって、お前なんか先生に気に入られるほどの優等生なんだからバチなんてあたんねぇよ。」

「えぇ、悠汰は先生に怒られてばっかじゃん、どうすんのさ、」

「俺ぇ?俺はどうもしねぇよ。だってお前のおかげで俺今まで無欠席だから!」

「せめて無遅刻も足せると良かったんだけどね…」

まぁそこは致し方なしか。

結局悠汰の説得に負けて、僕は悠汰が熱を出して僕も風邪がうつったらしいので休むという旨を担任の先生に電話で伝えた。

ん?なぜ悠汰は伝えないのかって?悠汰の言葉が先生に信じてもらえるかはわからないからね。


悠汰、僕が優等生でよかったね。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生したら弟がブラコン重傷者でした!!!

Lynne
BL
俺の名前は佐々木塁、元高校生だ。俺は、ある日学校に行く途中、トラックに轢かれて死んでしまった...。 pixivの方でも、作品投稿始めました! 名前やアイコンは変わりません 主にアルファポリスで投稿するため、更新はアルファポリスのほうが早いと思います!

主人公は俺狙い?!

suzu
BL
生まれた時から前世の記憶が朧げにある公爵令息、アイオライト=オブシディアン。 容姿は美麗、頭脳も完璧、気遣いもできる、ただ人への態度が冷たい冷血なイメージだったため彼は「細雪な貴公子」そう呼ばれた。氷のように硬いイメージはないが水のように優しいイメージもない。 だが、アイオライトはそんなイメージとは反対に単純で鈍かったり焦ってきつい言葉を言ってしまう。 朧げであるがために時間が経つと記憶はほとんど無くなっていた。 15歳になると学園に通うのがこの世界の義務。 学園で「インカローズ」を見た時、主人公(?!)と直感で感じた。 彼は、白銀の髪に淡いピンク色の瞳を持つ愛らしい容姿をしており、BLゲームとかの主人公みたいだと、そう考える他なかった。 そして自分も攻略対象や悪役なのではないかと考えた。地位も高いし、色々凄いところがあるし、見た目も黒髪と青紫の瞳を持っていて整っているし、 面倒事、それもBL(多分)とか無理!! そう考え近づかないようにしていた。 そんなアイオライトだったがインカローズや絶対攻略対象だろっ、という人と嫌でも鉢合わせしてしまう。 ハプニングだらけの学園生活! BL作品中の可愛い主人公×ハチャメチャ悪役令息 ※文章うるさいです ※背後注意

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…。 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 説明は初めの方に詰め込んでます。 えろは作者の気分…多分おいおい入ってきます。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?) ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます! 5/25 お久しぶりです。 書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。

王道学園にブラコンが乗り込んでいくぅ!

玉兎
BL
弟と同じ学校になるべく王道学園に編入した男の子のお話。

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い

八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。  11/21 登場人物まとめを追加しました。 【第7回BL小説大賞エントリー中】 山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。 この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。 東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。 風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。 しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。 ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。 おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!? そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。 何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから! ※11/12に10話加筆しています。

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

処理中です...