実の弟が、運命の番だった。

いちの瀬

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手紙。

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今僕は、脱走の準備をしている。夕食とか、パンは後で食べるからと部屋に持ち帰って非常食にしたりとか。服と宝石をたくさんねだって後でこっそり金にしたりとか。まぁ、なんとも言えないが、多分バレてはいないだろう。と、思う。多分。メイドとかなんか訝しげに思ってるかもだけど…多分。

一応その脱走計画にはアビーも協力してくれていて、服や宝石を金に変えるのはアビーの仕事だ。

うう。早くここを出たい。

初夜の日からまだ発情期はきてない。だから幸いフォスカが僕を抱くことはなかった。でも、発情期は僕だっていつ来るか分からない。だから一刻も早くここから逃げないといけない。逃げる前に一度だけウィルに会いに行こう。最後にウィルに謝りたいから。会えなくても手紙くらいは書こう。そのくらいならウィルも受け取ってくれるかな?

とにかくフォスカの部屋に向かった。

「フォスカ?いる?話があるんだけど。」

「なんだルカか。どうした?何か困ったことがあるならアビーに言えばいいだろう。わざわざここまで来るな。」

フォスカは結婚してから僕への対応が目に見えて冷たくなった。それもそうだろう。僕と結婚したのは、僕を愛していたからではなく、僕と結婚する事の利益。つまり王族の中に入れるという事を重視したのだろう。しかも、ただの王族ではなく、僕は王の兄だ。生まれる子供は限りなく王に近い。

つまりそういう事だ。

「あの、陛下に会いたくて。ダメかな?」

多分駄目だよね。

「別にいいぞ。手紙くらいは書いてやる。」

「うん。そうだよね。分かってた。
ん?え!?いいの!?」

「ただし、私は一切関わらないからな。もしお断りされても、私の知ったことではない。自分でなんとかしろ。」

フォスカの口から思いもよらない言葉が出てきて、嬉しくなった。
やった!これでウィルに会える。別れの言葉を告げられる。
そう思った矢先だった。

ーーーーーー

数日後

「ルカ様、陛下から手紙が届いております。」

「え!何!?なんて書いてあるの?」

「いや、でも。」
なかなか言わないアビーに
じれた僕は、アビーから手紙を取り上げた。

ーーーーーーーー

拝啓
ルカ・アングレイ
                         様

この度はお誘いをいただきまして、
ありがとうございました。
しかし、私も忙しく、時間を取れない身なので…

ーーーーーーーーーー

ここで読むのをやめた。
答えはわかってる。ノーだ。

断ったのは仕方ない。王とは忙しいものだ。でも。この手紙を書いたのはウィルではない。小さい頃、何度も文通していた僕には分かる。

多分秘書のエドに書かせたものだろう。会えないならいい。手紙を書こう。もしかしたら読まれずに捨てられるかもしれない。それでもいい。ウィルに、少しでも兄の事をあの約束を、覚えてて欲しいんだ。もしその思い出が面倒くさい鬱陶しい兄だとしても、ウィルの心の隅に、僕が残りますように。

そう祈りながらウィルに手紙を書いた。

「アビー、この手紙をウィルに出しといてくれないか。手紙を出したら、その次の朝、此処を出るぞ。」

「はい。分かりました。」

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