実の弟が、運命の番だった。

初夜。

夜になった。

僕は寝室で彼を待つ。
ああ。緊張する。
なんせ、僕にとっては初めてなんだから。
やっぱり彼は手馴れているだろうか。
そしたらいいな。その方が安心する。

ガチャッ

ビクッ

そろりと後ろを振り返ると、
フォスカ宰相が立っていた。

「あ、アングレイ…さん…」

「フォスカでいいよ。今日から君もアングレイだろう？なあ、ルカ・アングレイ？」

「そ…ですね。」

はは。と、から笑いがでる。
僕は本当にこの人のものになったんだ。と、現実をまざまざと感じさせられる。もう、ウィルに、兄としてしか会うことは出来ないのだと。

「ルカ、準備はできてるかい？」

それはバッチリだ。
さっき、アビーではない人がきて、
人には言えないようなあれこれをされた。

「あ、はい。」

うん。覚悟は出来てる。大丈夫だ。
平気なはず。

「ルカ、口開けて？」

訳もわからず
フォスカさんにいわれて小さく口を開ける。すると、そこに忍び込むように彼の舌が入り込んで来る。キスをしながら、夜着の裾から手を差し込んで来て…肌に触れた。

「ん…。」

怖い。やっぱりダメだ。ウィル以外に抱かれたくない。と身体が叫んでいる。

お願い、これ以上触らないで。
気持ち悪い。どうにかなってしまいそうだ。お願い。

「ルカ？」

「やめて…お願い…」

「やめるわけないだろ？
やっと手に入れたんだから。」

そう言いながら、彼は醜く笑った。

いつの間にか、僕の頬は濡れていた。
僕、泣いてる？

嫌だ。逃げなくちゃ。

心の中ではそう思っているのに、
アルファに、オメガの僕は、逆らえない。

助けて。

気づかない内に、僕の中には彼が入っていた。
苦しい。助けて。辛い。

そう言いたいのに、声が上手くでない。

そうしている内に、彼が僕の中で爆ぜた。僕は、何も感じなかった。
あぁ。終わってしまった。
妊娠してしまったら、どうしよう。
ウィル以外の人の子供なんて産みたくない。

「ルカ。発情期になったら、ここ、噛んであげるからね？」

彼はそう言いながら、うなじを舐め、キスマークを付けた。

番にされる前に、逃げなくちゃ。










お願い。
誰か、助けて。