実の弟が、運命の番だった。

隠した想い。

ルカside

さっきからウィルがおかしい。

僕の部屋のソファに何故か
居座ってるくせに、
あれから、一言も発しない。

近寄るなオーラが凄い。

何のためにいるんだ？


そのウィルが急に言葉を発した。

「兄上は、あの男のために
着飾っているのか？」

何だ？急に。

宰相閣下の為という事に
なっているが、正直
着飾っているのはウィルの為だ。

それがバレたのか？と
一瞬不安になる。

今すぐそうだよって言わないと
ウィルに怪しまれる。

「何で？当たり前じゃないか。
未来の旦那様以外に
誰の為に着飾ると言うんだ。」

よし！完璧だ。
笑顔、引きつってなかったかな？

最後まで嘘をつき続ければ、
ウィルにとって、
僕は少しでもいい兄で
いれるだろうか？

せめて、この想いだけは
気づかれないようにしなくては。

10年前のあの約束は、
多分ウィルにとってはたいしたもの
じゃなかったんだろう。

子供の頃の約束なんて、
してないものと一緒だ。

ウィルはそう思ってるに違いない。