実の弟が、運命の番だった。

会いたい…でも会いたくない。

僕の国では、結婚する前に本人と、
家族1人ずつ、合計4人での食事会を
行うという伝統がある。

多分、今では廃れてきた
伝統なのだろうが
相手の宰相閣下が
歴史を重んじる人であることと、
僕が王族ということもあって、
食事会が開かれることとなった。

僕の両親、つまり王様と皇后様は、
僕が16歳の時に、不運な事故で
命を落とした。

だから、僕の家族は、唯一弟だけ
ということになる。

つまり、図らずとも最愛の弟に
会うことが出来るのだ。

食事会は明日。

僕は、宰相閣下の為ではなく、
ウィルの為に、着飾るのだ。

もう10年も会っていなくて、
食事会はまだなのに、今から胸が
張り裂けそうに痛い。

想像だけでこうなってしまうのに、
本人を前にして、にこやかに
微笑みを浮かべられるのだろうか。

あぁ、会いたくない。

心臓が痛い…