実の弟が、運命の番だった。

番外編

アビーside

フォスカ・アングルイと結婚式。の間のお話です。

私はルカ・グレイン様の侍女のアビゲイルです。

ちなみに実家は有名な王族お抱えの占い師というものをやっていまして…
幼い頃からさんっざん、お前はB型だからまともに王宮で働くことなんて出来ないね。
と毎日のように嫌みったらしく母上やおばば様から言われていましたがどういうことでしょう！！！

天国にいるおばば様ぁぁぁ～！！！
アビゲイルは今日も元気に王宮勤めしておりますぅぅぅ！
占い外れましたねぇ！！
あなたそれでも一流の占い師やってたんですかぁぁ？？？

叫んでやりたい気分ですわ。
あー、嫌なこと思い出して気分最悪。

そんなこんなでルカ様にお仕えすることになりましたけれど、アビゲイルは今とっても、とーっても幸せです！！

ルカ様はお優しいし、天使のようにお美しいし、こんな私にも優しくしてくださるし、、、
それなのに、ウィル陛下は酷すぎますわっ！

あんなにお美しいルカ様の目が、あんなに赤くなっていて、、、私はあれほど悲しそうなルカ様の笑顔を見たことがありません…。
心が痛くなります。

それから私はウィル陛下のことが大っ嫌いになりましたの！！　
もともといけすかなかったんですけどね！
約束を破ったこととか約束を破ったこととか約束を破ったこととか！！！

そのせいで、しばらくルカ様は誰かを信じるのが怖くなってしまいました。
いわゆる人間不信ってやつです。
いつかまた、ウィル陛下のように裏切られるんじゃないか、って。

私はウィル陛下に心からルカ様が笑えるように幸せにしてあげてほしかったのに。
なのにウィル陛下は、あんなにウィル陛下のことを想い続けていたルカ様を捨てて、ローレル様と婚約なさった。

私、正直フォスカという宰相、あまり好きじゃありませんの。
表面は優しそうに振る舞っていますけれど、あの瞳の奥はなに考えてるか分からなくて不気味ですわ。
その上、あの方、食事会の時、ルカ様が見ていない間、ずっと無表情でしたのよ？

まぁずっとニコニコ笑っているのもそれはそれで随分気味が悪いですけれど。
それについてはウィル陛下はずっと怒ったような顔でいるから私的にはウィル陛下も却下なんですけどね。

そんなこんなで私、フォスカがとにかくとーにかく大っ嫌いですのよ。
明日はフォスカの家へお引っ越しですけど、正直気が乗りませんわ。
まぁルカ様が行くのでついて行きますけれどね。あいつと二人っきりなんてさせませんわ！

あぁ、嫌な予感しかしないわ。
あの男の家だなんて…
敵陣へ乗り込むのと一緒じゃない！！
武器を…何か武器を調達しなくては…
私やか弱いルカ様でも使えるようなもの…なにがいいかしら？

よし、隙を見て下町に買いに行くしかないわね。






こうして引っ越し前夜のアビーの脳内は、ほぼほぼ武器の調達で占められることになった。