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メンバーは、見た!
その③・・・兄2堀川は、見た?
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最近智太は後輩グループの子と仲が良い。
その日も予定は『後輩と釣り』で、朝早く出掛けるから家に泊まらせるんだと聞いていた。
友人と遊ぶ約束をしてた俺はドタキャンされて突然ヒマになったところ。
時刻はまだ夜8時。
智太んちに後輩って、もう居るのかな?
いくら朝早く家を出るとしても、さすがにまだ寝てはないだろう。
帰りがてら寄るのにちょうど良いからと、勝手に智太の家へ遊びに行く事にした。
ちょっと驚かせようとサプライズ的な気持ちもあった。
缶コーヒーをいくつかとガムやポテチを差し入れ用に買って智太の家へ。
駐車場には智太の車があったから、もう家にいるらしいぞと意気揚々とインターフォンを鳴らす。
出なかったら出なかったででまぁいいか、って軽い気持ち。
『いつもんとこ入れたー?』って智太の声に「俺だよ~ん!来ちゃった❤」って言うと『えっ堀川?!なんでだよ!』って焦る声が聞こえる。
「いや~実は友達と遊ぶ約束してたのにフラれちゃってさ~。帰りがてら差し入れ持ってきた!」って言うと『いやバカせめて連絡しろって!』と返された。
いつもよりもマジなトーンで切羽詰まった声のような気がする。
あららこれはなんかマズイ感じ?となんとなく把握して、「あれ、ごめん今日なんかまずかった?」とこちらも慌てて返すと
『っいま彼女くっから、ごめんまた』と言われた。
「えっ!?、あ~~そっか。ごめん!後輩だと思ってたから」
彼女なら彼女って言ってくれればよかったのに、と不思議に思いながら「じゃあまたー」。
インターフォンを切って振り返ると、ハットを被ったサトルがエントランスに入って来た。
顔を上げて目が合うと「あれ?堀川じゃん」と笑う。
「サトルじゃん!もしかして智太に用事?」
「うん。借してた漫画取り返しに」
「あ・そうなの?智太に連絡した?」
「連絡?するでしょフツーは。つーか何ポテチ持ってんじゃん!これ智太に?」
「あーーそうそう、差し入れと思って買ってきたんだけどいま断られて」
「え?あ!じゃあ俺渡しとこうか?!」
冗談っぽくサトルが笑いながらコンビニ袋に手をかける。
まぁ中身は大したものじゃないから、そのままサトルにあげてもいいんだけど。
コンビニ袋を奪われつつ現状を説明する。
「智太と遊ぼうと思ってさ、珍しくアポなしで来ちゃったんだけど、彼女くるからって俺いま断られたとこ。だからサトルも断られるかも」
先に伝えた方が良いと思って言ったら、サトルは目を丸くさせてキョトンとした顔になった。そして「っあ、そうなの?!」とグルリと目を一周させて俯く。
「……サトル?」サトルが下を向いたまま顔を上げないから、覗き込もうとしたらゴソゴソとスマホを取り出した。
「っわり、電話きた!堀川また」数回肩を強めに叩かれて、バイバイ、と手を振られてから、しっしっ、と退ける手の振りに変わる。
仕方なく手を振り返して駐車場へと戻った。
来客用のスペース、俺の車の隣にはサトルの車が駐車されてる。
車に乗り込んで『なんだかなー』なんとなく腑に落ちない気持ちのままエンジンを掛ける。
どうせサトルも智太に断られるだろう。
誰と電話してるか知らないけど、インターフォンを鳴らせばきっとすぐ車へ戻ってくるはず。
そもそも俺は暇だし、サトルもヒマならメシでも行こうかなーと考えた。
5分待ってみたけどサトルは現れない。
あれれ?まだ電話してんの?と思いながら様子を伺いに行こうか一瞬考えて、『メシでも一緒に行かない?』とサトルにラインを送った。
『仕事あるからムリ!ごめんまたな?』とすぐに返ってきた。
なぁんだ忙しいのか。
つまんねーなーと思いつつ車を発進させる。
駐車場を右折して出て、小道から大通りへ。
家に帰る道順を辿りながら、なぜか急に思いついて「っあ?!」車内で1人、大きな声を出してしまった。
そしてまた悶々と考える。
いやぁまさかそんな。
まさかまさか。
でもそうなのか????
あやしい疑問が浮上する。
智太の行動がイマイチ読めない。
最近の智太は後輩と仲良いし、俺も友達とよく遊んでるし、単純に智太と一緒にいる時間は減った。
前だったら手に取るように智太の行動が解ったけど、最近の智太は何だか掴めない。
新しい彼女が出来たとして、短期間で智太の性格が変わるなんて事は無いだろう。
だけど最近の智太はイマイチ行動が読めない。
もしも智太の行動をこの短期間で変えられるとすればサトルだ。
智太は一時期サトルを尊敬してたし、兄のように慕っていた。
フワリと予測が浮上する。
『彼女』って、もしかして??
智太は『今彼女来るから』と言った。だけどすぐに現れたのはサトルだ。
『漫画取り返しに』とサトルは言って、今頃きっと智太の家にあがってるんだろう。
一見、無関係に思える2人の言動。
智太はああ見えてウッカリ屋さんで、サトルは機転が利くタイプ。
動揺したら言わない方が良い事も言っちゃったりするのが智太だ。
うーん、これはどうやら…………、
「智太の彼女って、サトル?!…………な~んて」
車の中で1人喋って、当たり前だけど『し~ん』となった。
これはもうちょっと見てみないとわかんないなぁ。
俺っち探偵、確定するにはまだちょっと早いから、もうちょっと2人の動向を見守ろうかと思う。
end.
その日も予定は『後輩と釣り』で、朝早く出掛けるから家に泊まらせるんだと聞いていた。
友人と遊ぶ約束をしてた俺はドタキャンされて突然ヒマになったところ。
時刻はまだ夜8時。
智太んちに後輩って、もう居るのかな?
いくら朝早く家を出るとしても、さすがにまだ寝てはないだろう。
帰りがてら寄るのにちょうど良いからと、勝手に智太の家へ遊びに行く事にした。
ちょっと驚かせようとサプライズ的な気持ちもあった。
缶コーヒーをいくつかとガムやポテチを差し入れ用に買って智太の家へ。
駐車場には智太の車があったから、もう家にいるらしいぞと意気揚々とインターフォンを鳴らす。
出なかったら出なかったででまぁいいか、って軽い気持ち。
『いつもんとこ入れたー?』って智太の声に「俺だよ~ん!来ちゃった❤」って言うと『えっ堀川?!なんでだよ!』って焦る声が聞こえる。
「いや~実は友達と遊ぶ約束してたのにフラれちゃってさ~。帰りがてら差し入れ持ってきた!」って言うと『いやバカせめて連絡しろって!』と返された。
いつもよりもマジなトーンで切羽詰まった声のような気がする。
あららこれはなんかマズイ感じ?となんとなく把握して、「あれ、ごめん今日なんかまずかった?」とこちらも慌てて返すと
『っいま彼女くっから、ごめんまた』と言われた。
「えっ!?、あ~~そっか。ごめん!後輩だと思ってたから」
彼女なら彼女って言ってくれればよかったのに、と不思議に思いながら「じゃあまたー」。
インターフォンを切って振り返ると、ハットを被ったサトルがエントランスに入って来た。
顔を上げて目が合うと「あれ?堀川じゃん」と笑う。
「サトルじゃん!もしかして智太に用事?」
「うん。借してた漫画取り返しに」
「あ・そうなの?智太に連絡した?」
「連絡?するでしょフツーは。つーか何ポテチ持ってんじゃん!これ智太に?」
「あーーそうそう、差し入れと思って買ってきたんだけどいま断られて」
「え?あ!じゃあ俺渡しとこうか?!」
冗談っぽくサトルが笑いながらコンビニ袋に手をかける。
まぁ中身は大したものじゃないから、そのままサトルにあげてもいいんだけど。
コンビニ袋を奪われつつ現状を説明する。
「智太と遊ぼうと思ってさ、珍しくアポなしで来ちゃったんだけど、彼女くるからって俺いま断られたとこ。だからサトルも断られるかも」
先に伝えた方が良いと思って言ったら、サトルは目を丸くさせてキョトンとした顔になった。そして「っあ、そうなの?!」とグルリと目を一周させて俯く。
「……サトル?」サトルが下を向いたまま顔を上げないから、覗き込もうとしたらゴソゴソとスマホを取り出した。
「っわり、電話きた!堀川また」数回肩を強めに叩かれて、バイバイ、と手を振られてから、しっしっ、と退ける手の振りに変わる。
仕方なく手を振り返して駐車場へと戻った。
来客用のスペース、俺の車の隣にはサトルの車が駐車されてる。
車に乗り込んで『なんだかなー』なんとなく腑に落ちない気持ちのままエンジンを掛ける。
どうせサトルも智太に断られるだろう。
誰と電話してるか知らないけど、インターフォンを鳴らせばきっとすぐ車へ戻ってくるはず。
そもそも俺は暇だし、サトルもヒマならメシでも行こうかなーと考えた。
5分待ってみたけどサトルは現れない。
あれれ?まだ電話してんの?と思いながら様子を伺いに行こうか一瞬考えて、『メシでも一緒に行かない?』とサトルにラインを送った。
『仕事あるからムリ!ごめんまたな?』とすぐに返ってきた。
なぁんだ忙しいのか。
つまんねーなーと思いつつ車を発進させる。
駐車場を右折して出て、小道から大通りへ。
家に帰る道順を辿りながら、なぜか急に思いついて「っあ?!」車内で1人、大きな声を出してしまった。
そしてまた悶々と考える。
いやぁまさかそんな。
まさかまさか。
でもそうなのか????
あやしい疑問が浮上する。
智太の行動がイマイチ読めない。
最近の智太は後輩と仲良いし、俺も友達とよく遊んでるし、単純に智太と一緒にいる時間は減った。
前だったら手に取るように智太の行動が解ったけど、最近の智太は何だか掴めない。
新しい彼女が出来たとして、短期間で智太の性格が変わるなんて事は無いだろう。
だけど最近の智太はイマイチ行動が読めない。
もしも智太の行動をこの短期間で変えられるとすればサトルだ。
智太は一時期サトルを尊敬してたし、兄のように慕っていた。
フワリと予測が浮上する。
『彼女』って、もしかして??
智太は『今彼女来るから』と言った。だけどすぐに現れたのはサトルだ。
『漫画取り返しに』とサトルは言って、今頃きっと智太の家にあがってるんだろう。
一見、無関係に思える2人の言動。
智太はああ見えてウッカリ屋さんで、サトルは機転が利くタイプ。
動揺したら言わない方が良い事も言っちゃったりするのが智太だ。
うーん、これはどうやら…………、
「智太の彼女って、サトル?!…………な~んて」
車の中で1人喋って、当たり前だけど『し~ん』となった。
これはもうちょっと見てみないとわかんないなぁ。
俺っち探偵、確定するにはまだちょっと早いから、もうちょっと2人の動向を見守ろうかと思う。
end.
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