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犬も喰わない!~バカップルの痴話喧嘩編~
別れ話のABC/パターンE-①
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智太視点
くるくるくるくる、何度も同じことを繰り返して、くるくるくるくる、何度も同じ場所へ辿り着く。
どっちが先に耐えられなくなるかの真剣勝負。折れてるフリしてやりすごしてみるけど、結局負けてるのはいつも俺。
「別れよう」
負ける、と言う表現が正しいかは解らない。
俺にとっては我慢、と言う部類なのかもしれない。
そう伝えると、サトルはまた「なんで」と聞く。
ずっと同じ場所を巡ってるようで、実は少しずつ進んでる。
俺もいつまでも同じじゃいられなくて進んでる。それが良いことなのか悪いことなのかは解らない。
「正直もう付き合いきれない」
随分ハッキリ言ってしまっただろうか。俺はこんなにハッキリ言える人間だったろうか。
いや、昔はもっと適当で緩くて、別れ話だって出来るなら一生しないまま過ごしたかった。
だけど、そうも言ってられないくらい自分が傷ついてて、もうやっていける自信がない。
「付き合いきれないって、何に」
「サトルはさ、うまく気持ちとか切り替えられるかもしれないけど、俺はそーゆうの出来ない。」
「いつのこと?」
「いつとかそーゆーのじゃなくて。仕事とプライベート分けなきゃいけないのは解るけど俺はそーゆーの出来ない。サトルほど器用じゃないから」
「……、大丈夫だよ、智太が出来なくても、俺がその分やるから」
「やらなくていいしやって欲しくない。そーゆーのが無理だから、別れよう」
そこまで言うとサトルはようやく解ったのか黙った。
サトルの言ってることは勿論解るし解ってる。理解しなきゃいけないってのも。だけど残念ながらそう簡単じゃなくて。そもそも恋とか愛とかそーゆう感情ってハッキリ言って制御不能だ。
一緒に居て楽しいのが勝つならそりゃあ頑張れるけど、悲しいのが勝っちゃったらもう頑張れない。
いっそ目を瞑って見えないフリして、心閉ざしちゃった方が俺にとっては救いになる。
サトルは暫く考えて、「どうしたいの?」と聞く。
「……だから別れよう。無理だよ。」
「べつに、俺がうまくやるし」
「うまくやんなくていい」
「智太がミスっても大丈夫なように頑張るから」
「そうじゃないって」
「そうじゃないって何?なにがダメなの?うまくやってければいいじゃん、このまま」
「サトルは、俺のこと何だと思ってんの?」
「なにって、……、恋人だよ」
「恋人ってもっと解りやすいもんなんじゃないの?」
「なにが」
「だから言葉とかさ。サトルはいつも言葉が足んないよ。」
「足りないって?」
「だから好きとかそーゆーの。サトルからはあんまり伝わってこない。」
「言ってるじゃん」
「サトルは言ってるって思ってるのかもしれないけど足りないよ。俺バカだからちゃんと言ってくれなきゃ解んないし。」
「……、俺、好きだよ……、智太のこと」
「遅いんだよいつも。俺はもう疲れちゃったし傷ついたの。もうこれ以上付き合えない。もう悲しい気持ちになりたくないの。解る?サトル」
同じ場所を巡ってるようでいて、少しずつ進んでる。
諭すように伝えると、不思議と自分自身、心の整理がついていくようだった。
巡り巡って、結局2人はくっつく運命なのかな、なんて思ってた時期もあった。
だけど巡り巡って、少しずつズレていって、もう戻れない所まで来てしまったのかもしれない。
2人の何がダメだったのかは解らない。
やっぱり俺が年下過ぎたのかもしれない。
我慢してたつもりだったけど、耐えられない所まで来てしまった。
悲しい思いをしたくない、ってのは本音だった。
サトルは黙ったままで何か考えてるのかもしれない。こんな時だってサトルは何も言わないから結局やっぱり伝わってこない。
好き、なんて簡単な言葉のはずなのに、サトルにとっては難しいのかな。
「ごめん。俺が子供なのかもしんないけど、もう耐えられそうにない。別れよう」
例え別れたとしても、これからもきっとずっと同じグループで。
正直言って、別れたところでうまくやれる自信も無いんだけど。
だけどそれでも、別れてしまえば『俺と付き合ってんのになんで』って思わなくて済む。
手に入っちゃうとどんどん欲張りになるモノなんだ。
くるくるくるくる、何度も同じことを繰り返して、くるくるくるくる、何度も同じ場所へ辿り着く。
どっちが先に耐えられなくなるかの真剣勝負。折れてるフリしてやりすごしてみるけど、結局負けてるのはいつも俺。
「別れよう」
負ける、と言う表現が正しいかは解らない。
俺にとっては我慢、と言う部類なのかもしれない。
そう伝えると、サトルはまた「なんで」と聞く。
ずっと同じ場所を巡ってるようで、実は少しずつ進んでる。
俺もいつまでも同じじゃいられなくて進んでる。それが良いことなのか悪いことなのかは解らない。
「正直もう付き合いきれない」
随分ハッキリ言ってしまっただろうか。俺はこんなにハッキリ言える人間だったろうか。
いや、昔はもっと適当で緩くて、別れ話だって出来るなら一生しないまま過ごしたかった。
だけど、そうも言ってられないくらい自分が傷ついてて、もうやっていける自信がない。
「付き合いきれないって、何に」
「サトルはさ、うまく気持ちとか切り替えられるかもしれないけど、俺はそーゆうの出来ない。」
「いつのこと?」
「いつとかそーゆーのじゃなくて。仕事とプライベート分けなきゃいけないのは解るけど俺はそーゆーの出来ない。サトルほど器用じゃないから」
「……、大丈夫だよ、智太が出来なくても、俺がその分やるから」
「やらなくていいしやって欲しくない。そーゆーのが無理だから、別れよう」
そこまで言うとサトルはようやく解ったのか黙った。
サトルの言ってることは勿論解るし解ってる。理解しなきゃいけないってのも。だけど残念ながらそう簡単じゃなくて。そもそも恋とか愛とかそーゆう感情ってハッキリ言って制御不能だ。
一緒に居て楽しいのが勝つならそりゃあ頑張れるけど、悲しいのが勝っちゃったらもう頑張れない。
いっそ目を瞑って見えないフリして、心閉ざしちゃった方が俺にとっては救いになる。
サトルは暫く考えて、「どうしたいの?」と聞く。
「……だから別れよう。無理だよ。」
「べつに、俺がうまくやるし」
「うまくやんなくていい」
「智太がミスっても大丈夫なように頑張るから」
「そうじゃないって」
「そうじゃないって何?なにがダメなの?うまくやってければいいじゃん、このまま」
「サトルは、俺のこと何だと思ってんの?」
「なにって、……、恋人だよ」
「恋人ってもっと解りやすいもんなんじゃないの?」
「なにが」
「だから言葉とかさ。サトルはいつも言葉が足んないよ。」
「足りないって?」
「だから好きとかそーゆーの。サトルからはあんまり伝わってこない。」
「言ってるじゃん」
「サトルは言ってるって思ってるのかもしれないけど足りないよ。俺バカだからちゃんと言ってくれなきゃ解んないし。」
「……、俺、好きだよ……、智太のこと」
「遅いんだよいつも。俺はもう疲れちゃったし傷ついたの。もうこれ以上付き合えない。もう悲しい気持ちになりたくないの。解る?サトル」
同じ場所を巡ってるようでいて、少しずつ進んでる。
諭すように伝えると、不思議と自分自身、心の整理がついていくようだった。
巡り巡って、結局2人はくっつく運命なのかな、なんて思ってた時期もあった。
だけど巡り巡って、少しずつズレていって、もう戻れない所まで来てしまったのかもしれない。
2人の何がダメだったのかは解らない。
やっぱり俺が年下過ぎたのかもしれない。
我慢してたつもりだったけど、耐えられない所まで来てしまった。
悲しい思いをしたくない、ってのは本音だった。
サトルは黙ったままで何か考えてるのかもしれない。こんな時だってサトルは何も言わないから結局やっぱり伝わってこない。
好き、なんて簡単な言葉のはずなのに、サトルにとっては難しいのかな。
「ごめん。俺が子供なのかもしんないけど、もう耐えられそうにない。別れよう」
例え別れたとしても、これからもきっとずっと同じグループで。
正直言って、別れたところでうまくやれる自信も無いんだけど。
だけどそれでも、別れてしまえば『俺と付き合ってんのになんで』って思わなくて済む。
手に入っちゃうとどんどん欲張りになるモノなんだ。
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