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犬も喰わない!~バカップルの痴話喧嘩編~
別れ話のABC/パターンD-①
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※攻め(智太)受けどちらも、異性との関係があるので注意。
攻め(智太)視点です。
====
やってしまった。
隣には寝息を立ててる女の子。
こうなる事が解ってたから極力避けてたのに。解ってたからお酒も控えたのに。
明け方5時、まだ酔いが回ってる。
どうせなら記憶が無くなるくらい飲んでしまえば良かったと思った。だけど記憶なくすほど飲む事は最近さすがにあんまり無い。
いや、記憶があること自体、抵抗を試みようとはしてたって事か。
頭の重さを感じながら、それでもスマホを見ずには居られなかった。
着信4件、ラインが5通。
さあどうする?
「……、」
もちろん隠し通す事も考えてはみる。だけど相手がサトルでは隠し通せる自信はない。
言うべきか、言わないべきか、いや、やっぱり隠し通すなんて俺にはきっと出来ない。
ラインの画面を開くのを躊躇した。既読の文字が付いてしまうからだ。このまま朝まで寝てたことにするか?
だとしてなんて言うつもり?『気づいたら寝てた』『ラインに気づかなかった』『充電が切れてた』脳内でサトルとの会話をシミュレーションしてみるけど全部バッドエンド。
怒った顔と泣き顔を想像して面食らった。逆に素直に謝るシミュレーションをしてみる。
『あっそ』と冷たく言い放つパターン、『それで?』ときょとんと聞かれるパターン、『いいよ』と受け入れてくれるパターン。意外とどれも良いかもしれない。
都合のいい解釈をして、とにかく謝るしかないと思い込む。
そもそもやっぱり隠し通せる気がしない。騙せたとして、後でバレる方が絶対大惨事だ。
ため息をついてその場を後にした。女の子にはさいわい気がつかれなかった。ちょっと申し訳ないけど、目が覚めてしまった以上このまま一緒には居られない。
ラインの画面を開いてみた。
サトルからは『今終わった~』とか『焼肉!』とか『終わったの?』とか。そのあと着信、さらに1時間後にまた着信、それから『どうした?』、そしてまた着信、30分あけて着信、その10分後に『おやすみ』のメッセージが来て連絡が途切れている。
その流れを見てたらどんどん心臓が痛くなってくる。だけど謝らない訳にはいかないだろう。
恐る恐る電話をしてみた。サトルは出なかった。
恐らくまだ寝てる。『飲んでたら寝てた!ごめん!』と送った。嘘はついてない。会ったら全部話そう。
10時過ぎ、サトルから着信があった。だけど丁度仕事中でタイミングが悪くて出られない。
休憩時間。
ラインを開くと『お疲れ~い』とだけメッセージが来ていた。時間があくほど言いづらくなるのを知ってる。
電話をかけてみるけど向こうも忙しいのか反応がない。今日はどうも合わないらしい。結局連絡がついたのは夜だった。顔を見なきゃ言わないまま過ごしてしまう気がしてどうにか会う約束を取り付けた。
サトルは『明日も会うのに?』と言っていたけど、明日へ持ち越したらますます言いづらくなる。家へ行くと『はーい』と明るい声で解錠された。
部屋のドアが開いて、酔ってるらしいサトルが出てくる。「飲んだの?」「うん、さっきちょっと~」迎え入れられてリビングのいつもの場所へ座る。既に瓶が何個かあいてて、どう見ても『ちょっと』の量ではない。
「なになに、すげー飲んでるじゃん」
「うん~、さっきまで人いた」
「え、そうなの?」
「うん。智太来るって言うから帰らせたー!」
「マジかー」
正直嫌な予感しかしない。妙な空気感に気づいてしまった。
「はい」とコップに出されたのはスピリッツまんまのアレで。促されるまま飲んだ。
「智太がそんな飲んでんの初めて見た~」
「いやいや初めてじゃないでしょ」
「寝るほど飲むとかね」
ハッキリアッサリした口ぶりにもう頭が上がらない。
たぶん既にバレてるか、少なくとも気づかれてるのかもしれない。飲み干したグラスに更に追加でたっぷり注がれる。明日の仕事の事が脳裏をよぎるけど、無言の圧を感じてグラスを持つ。
怒られるとか泣かれるとか思ってたけど現実はそんなシンプルなものではない事に気がつく。相手はサトル。数枚もしくは十数枚上手なのかもしれない。
仕方がないので全部飲み干す。また注がれる前に、飲み干すと同時に「サトル」と声をかけた。
サトルもグッと原液を飲んで、「言わなくていい」と言った。その一言で察して血の気が引いてく。
どこまでバレてんの?全部?
伺うように見てみるけど解るはずもない。目を逸らしてたかと思ったらパッと見られて目が合う。
サトルから寄ってきてキスをされた。たぶん女の子相手にするみたいな強気なキス。暫くされるがままにディープキスを受けた。そのまま押し倒される。
「バレないようにするか一生言わないかだよね」
謝ってしまおうと思ってたけど、その言葉を聞いてグッと息を飲み込む。サトルの中にあるらしいルールを今までも何度か聞いたことがあったし知っていた。
サトルが床に転がってた何かを拾う。
俺の目の前へ摘んで見せたソレは、使用済みの証拠品だった
攻め(智太)視点です。
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やってしまった。
隣には寝息を立ててる女の子。
こうなる事が解ってたから極力避けてたのに。解ってたからお酒も控えたのに。
明け方5時、まだ酔いが回ってる。
どうせなら記憶が無くなるくらい飲んでしまえば良かったと思った。だけど記憶なくすほど飲む事は最近さすがにあんまり無い。
いや、記憶があること自体、抵抗を試みようとはしてたって事か。
頭の重さを感じながら、それでもスマホを見ずには居られなかった。
着信4件、ラインが5通。
さあどうする?
「……、」
もちろん隠し通す事も考えてはみる。だけど相手がサトルでは隠し通せる自信はない。
言うべきか、言わないべきか、いや、やっぱり隠し通すなんて俺にはきっと出来ない。
ラインの画面を開くのを躊躇した。既読の文字が付いてしまうからだ。このまま朝まで寝てたことにするか?
だとしてなんて言うつもり?『気づいたら寝てた』『ラインに気づかなかった』『充電が切れてた』脳内でサトルとの会話をシミュレーションしてみるけど全部バッドエンド。
怒った顔と泣き顔を想像して面食らった。逆に素直に謝るシミュレーションをしてみる。
『あっそ』と冷たく言い放つパターン、『それで?』ときょとんと聞かれるパターン、『いいよ』と受け入れてくれるパターン。意外とどれも良いかもしれない。
都合のいい解釈をして、とにかく謝るしかないと思い込む。
そもそもやっぱり隠し通せる気がしない。騙せたとして、後でバレる方が絶対大惨事だ。
ため息をついてその場を後にした。女の子にはさいわい気がつかれなかった。ちょっと申し訳ないけど、目が覚めてしまった以上このまま一緒には居られない。
ラインの画面を開いてみた。
サトルからは『今終わった~』とか『焼肉!』とか『終わったの?』とか。そのあと着信、さらに1時間後にまた着信、それから『どうした?』、そしてまた着信、30分あけて着信、その10分後に『おやすみ』のメッセージが来て連絡が途切れている。
その流れを見てたらどんどん心臓が痛くなってくる。だけど謝らない訳にはいかないだろう。
恐る恐る電話をしてみた。サトルは出なかった。
恐らくまだ寝てる。『飲んでたら寝てた!ごめん!』と送った。嘘はついてない。会ったら全部話そう。
10時過ぎ、サトルから着信があった。だけど丁度仕事中でタイミングが悪くて出られない。
休憩時間。
ラインを開くと『お疲れ~い』とだけメッセージが来ていた。時間があくほど言いづらくなるのを知ってる。
電話をかけてみるけど向こうも忙しいのか反応がない。今日はどうも合わないらしい。結局連絡がついたのは夜だった。顔を見なきゃ言わないまま過ごしてしまう気がしてどうにか会う約束を取り付けた。
サトルは『明日も会うのに?』と言っていたけど、明日へ持ち越したらますます言いづらくなる。家へ行くと『はーい』と明るい声で解錠された。
部屋のドアが開いて、酔ってるらしいサトルが出てくる。「飲んだの?」「うん、さっきちょっと~」迎え入れられてリビングのいつもの場所へ座る。既に瓶が何個かあいてて、どう見ても『ちょっと』の量ではない。
「なになに、すげー飲んでるじゃん」
「うん~、さっきまで人いた」
「え、そうなの?」
「うん。智太来るって言うから帰らせたー!」
「マジかー」
正直嫌な予感しかしない。妙な空気感に気づいてしまった。
「はい」とコップに出されたのはスピリッツまんまのアレで。促されるまま飲んだ。
「智太がそんな飲んでんの初めて見た~」
「いやいや初めてじゃないでしょ」
「寝るほど飲むとかね」
ハッキリアッサリした口ぶりにもう頭が上がらない。
たぶん既にバレてるか、少なくとも気づかれてるのかもしれない。飲み干したグラスに更に追加でたっぷり注がれる。明日の仕事の事が脳裏をよぎるけど、無言の圧を感じてグラスを持つ。
怒られるとか泣かれるとか思ってたけど現実はそんなシンプルなものではない事に気がつく。相手はサトル。数枚もしくは十数枚上手なのかもしれない。
仕方がないので全部飲み干す。また注がれる前に、飲み干すと同時に「サトル」と声をかけた。
サトルもグッと原液を飲んで、「言わなくていい」と言った。その一言で察して血の気が引いてく。
どこまでバレてんの?全部?
伺うように見てみるけど解るはずもない。目を逸らしてたかと思ったらパッと見られて目が合う。
サトルから寄ってきてキスをされた。たぶん女の子相手にするみたいな強気なキス。暫くされるがままにディープキスを受けた。そのまま押し倒される。
「バレないようにするか一生言わないかだよね」
謝ってしまおうと思ってたけど、その言葉を聞いてグッと息を飲み込む。サトルの中にあるらしいルールを今までも何度か聞いたことがあったし知っていた。
サトルが床に転がってた何かを拾う。
俺の目の前へ摘んで見せたソレは、使用済みの証拠品だった
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