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健全黒字経営目指します!
コッチの玉
しおりを挟む第97話 コッチの玉
さてこれから隠し部屋を作るのだが…、ギミックはどうしたらいいもんか。いつもならモンスター相手の追いかけっこ用でダミー入口前に落とし穴からの隠し階段なんて小賢s…ではなく遊び心あるギミックでシェルター(隠し部屋)にって感じなんだが…、今回それは間違いが起こると人死にが出てしまう可能性で却下だ。それにここに落とし穴作ったら2階にドーンしてしまうビックリ構造になってしまう。主に2階にいる人がビックリの。
「隠し部屋っぽいギミック…、よく謎解きにあるような感じの…、隠し通路…、」
「ははは、なんか隠し通路なんて城みたいだな。キアニグの部屋にもデカい本棚の後ろに隠し通路があったぞ。」
…ちょ、皇子、何お城の秘密バラしてんの。って、本棚! 隠し通路!
「レオさん、『本棚』詳しく!」
「え? ああ、こっちの古い城にはよくあるヤツで本棚がデカい引戸になってる。もう当たり前によくありすぎて全然隠しじゃないがな。ははは。」
「えええ、よくあるヤツなんだ…。」
不採用。しょんぼり。
あ、でもダミーにはありか。
「他にはそう言う隠し扉みたいなのってある?」
「…うーむ、だいたい似たようなのしか無いと思う。引戸か回転する戸くらいじゃないのか? 今はだいたい魔道具が主流で、あまり隠しにする必要がないからなぁ。」
セキュリティは魔道具が主流か…。そう言えば貴族だけ弾く魔道具とかあるって言ってたんもんなぁ。ちょっとそう言うの欲しい。お高いだろうけど…。
「そっかー。んー、ここの構造悩むなあ。」
「隠し扉は当たり前すぎて最近試すヤツも少ねえから、昔ながらの引戸でもアリかもしれんぞ?」
当たり前すぎて、か。
「なるほど。あ! もしかして隠し扉の近くにダミーの魔道具っぽい飾り付けたら騙せたりするかな?」
「ほお、そいつは面白えかも。大抵のヤツらは魔法錠から解除しようとするから隠し扉は後回しって言うか、そもそもそれが隠し扉って気づかねえかもしれんな。」
木を隠すなら森ぃ、きたコレ!
壁は家具で埋めて一番端に如何にもなダミー魔法錠(って多分セキュリティの魔道具だよな?)とダミー本棚の隠し扉をワンセット。本命は真ん中の家具、タンス。これはトロッコと合成するとキャスター付きのタンスになる。
箱庭内では手で持って簡単に物を移動できるのに、何故か無駄にキャスター付き家具が実装されていた。そんなキャスター付き家具の箱庭内の使い所は…、花火を括り付けて火を点けると凄い勢いで走り出すくらい 笑。全く意味がわからない 笑。
「ふふふ、隠し部屋のネタ決まり~! あ、レオさん、魔法錠ってどんな感じ? 特に形に決まりが無いなら水晶玉を飾りに置くけど。」
「魔法錠は玄関に嵌めてあったヤツが一般的だな。まあ大体はドアの近くに丸い石が嵌ってたんなら、そいつは魔法錠で決まりだ。」
ふむ、埋まってる方がいいのか。これはちょっと難問だな…。
俺の箱庭知識の中で壁に埋まってる系丁度いいオブジェクトがない。丸ボタンスイッチは多分プラスチック素材で石感ないし、石ならばライト石だが形が星っぽくて全く丸くない。
どうしよっかな…。
とりあえずストックから水晶玉を取り出してみる。まさに占い師のオプション的な水晶玉だ。持つとちょっと重い。
「それ魔石か?」
「ううん、ただの水晶の玉。」
ほい、と両手でレオさんに投げるように渡す。
「おい、投げんなよ。」
笑いながらレオさんは危な気も無くパシッとキャッチする。どれ、ひとつ鑑定とでも言うように、水晶玉の表面をするりと撫で、光に透かしてすぐ眉間に深い渓谷が…。
「これは…、全く傷や歪みもないし、石自体混じりっ気が一切ない。大きさもかなりだ。加工魔石じゃない天然水晶としたら一級、いや国宝級だぞ?」
「は?? 国宝級??」
待って、ちょっと待って。
国宝級って、国の宝と書いての国宝ですか?!
「ああ、こんな見事な水晶の玉なんて皇帝に献上するクラスだ。と言うよりも、こんな透明でデカさがある天然石なんて土の守り人のドワーフだって掘ってこれねえし、こんなすげえ加工もムリだ。」
「マジで?」
「マジだ。」
なんてこったい! ただの水晶玉がスーパーレアアイテムになってしまった!
「これさ、魔法錠のダミーとしてその辺に置いてこうと思ったんだけど…。無し?」
「…無し、だな。むしろコレがここのお宝にしか見えんから、俺だったら他に魔法錠がないか探すぞ。」
ダミーがダミーにならない罠…。
「マジか。詰んだ。」
「詰んだのかよ。うーむ、これより小さい石はないのか?」
レオさんに水晶玉をそっと返品された。仕方ないのでストックに戻しておく。
…小さい石ねえ。あるとしたら小石(武器として投げる用)か石炭、鉄や金銀銅の原石、あとダイヤか? でもコイツら全部丸く無いんだよな。
とりあえずゲーム画面だと魔石っぽいようなダイヤを出してみる。…おおう、リアルダイヤ、ぺったり平たいけどガチのカットされたダイヤじゃん。但し、大きさが手のひらサイズ。地球のお店にあったら素手では絶対触れないレベル。ヤバい。
「えっと、これは? ダイヤなんだけど。」
「ダイヤ? どれ、ちょっと見せてくれ。」
手を出してきたレオさんにそっとダイヤを手渡す。
硬いからちょっとくらい落としても大丈夫だけど、お値段を考えたら…手渡しもちょっと寒気がするな!
しかしレオさんは先程みたいに動じた様子もなく、その辺の石を触るようにさらりと表面を撫で、光に透かした。
「うん、これならいいかもしれん。先程より混じりものがあるし、大きさもいい。キラキラし過ぎてはいるが似たような加工魔石がある。」
「は?? マジ??」
「ああ。丸くはないが壁に取り付けたらそれらしく見えそうだ。」
「えええ、マジかぁ…。地球だとそのダイヤってめっちゃ高級な石でさ。さっきの水晶なんか目じゃ無くて、それくらいデカいと億…、えっと確か100万で10億だから…、10万トニー。それくらいはするんだけど…。はあ、異世界の石の価値は難しいね。」
「は?? コレが10万トニーだと??」
視線が手の中のダイヤと俺の顔を交互に行き来する。
いや、まあコレ箱庭産だから億しないかもだけど…。
「向こうでのダイヤはさっきの水晶よりずっとお高いんだよ。天然モノは希少で宝飾品として人気があるからだと思うんだけど。ほら、キラキラした宝石って大抵のお金持ちは好きでしょ?」
王様や貴族にキラッキラのダイヤ、ゴージャスでファビュラスには必要不可欠じゃん? このダイヤ普段使いですが何か? って平民威圧用にさ。
「確かに貴族は宝飾品に宝石を買い求めるが…、魔石ならまだしも飾りもない宝石に10万トニーはおかしいだろう。」
あ、なるほどそう言う事ね。
魔法の力もないし、アクセでもないただの石に億はちょっと…か。ふむふむ、剣と魔法の世界ならではの価値感かも。あとダイヤってコッチでは在り来たりの価値が低い宝石かもな。…ん? でも水晶玉は国宝言ってなかった? 水晶は希少なのか?
「え、でもさっきの水晶玉はアクセじゃないただの玉じゃん? もしかして水晶は希少な鉱石なの?」
「水晶自体は希少じゃねえよ。ただ、さっきのは透明でデカい。コッチの水晶は近くの魔力を吸いながら成長するんだ。魔力を吸うからその属性の色に染まってるのが普通なんだよ。だから無色透明はまず無いってのを昔、教師から聞いた。あとその完全な球体、正直神の領域だろ。」
おわ、そんな石なのか? コッチの水晶。
…これは表に出せない。素材として活用だなあ。
「そ、そうなんだ。じゃあこのダイヤがダミーだね。申し訳ないんだけど、魔法錠っぽくダイヤを壁にくっつける箱とかあるかな? 俺のストックだといい感じのなくて…。」
路線変更だが、スイッチっぽくするヤツ急募です…。なんかいい感じのお願いしますぜ、レオさん。
「壁につけるのか…。ちょっと浮かばねえな。ああ、もし数日かかってもいいなら、魔法錠を作ってる職人に頼むか? ガワだけならすぐ作れるはずだ。」
「え? そう言うのもアリなの?」
「ああ、飾りと錠は工房が別ってのはよくあるんだ。飾りの見た目で錠の仕組みがバレねえようにな。」
「なるほど~! セキュリティ面に配慮ね! それじゃ、外側はプロにお願いしようかな。かかった料金は払うので後で領収書付きで請求して。」
勿論経費でね!
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