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健全黒字経営目指します!
体は正直だ
しおりを挟む第88話 体は正直だ
…なんだかこっちの教会、ちょっとヤバめかな…。
「…教えてくれてありがとう。…あー、レオさん、お願い事していい?」
「ああ、いいぜ。」
「俺のタブレット持ってきて欲しいんだ。アレに薬が入ってるから。後、俺の服も下さい…。」
服、そろそろ着ます…。
「…服。着ると寝辛いんじゃないか?」
「…パンツくらいは履きたいです。さすがに全裸だとレオさんも困るでしょ…。」
おウチ裸族には申し訳ないが、俺は半裸が限界です。ナイス筋肉にオッさんの貧相な裸を見せつける程メンタル強くないんで…。
「…いや俺は困らないと言うか、勿体な…いや、なんでもねえ。わかった。あと必要なモンはあるか?」
「うーん、多分ないかな。…あ、トイレの場所。まだ行かないけど、酒飲んだ次の日はトイレ近いんだよね…。」
お恥ずかしい話だが、しこたま飲んだ次の日って全てが出るタイプなんだよな…。上から出ないのが救い。ちなみに謎の汗が止まらない 笑。
「便所はそこの扉の先だ。水場もある。…多分、足腰立たねえと思うから、俺が今連れて行くぞ?」
…いやいや、レオさんどんだけ心配症よ。
「そんな足腰立たないとか。大丈夫だって。ほら、…うぐっ、イダダぁ………ふえ?」
ベッドから降りようと寝転んだまま床に足を下ろし…、
そのままぺしゃりと床に落ちた。
は? え? なんで??
腰や尻の筋肉がギリギリと痛くてヤバい。あと、よくわからんが立ち上がる起点の股関節周りに全く力が入んないだが??
まさか、これは…、
「コウ! 大丈夫か?!」
レオさんが慌てて俺の元に来て、さっと抱き上げベッドに寝かす。
「…イッ、デデテテテぇ…。ご、ごめん、レオさん。なんか、俺ギックリ腰かなんかみたい。ギックリ腰やった事ないからハッキリとは言えないんだけど…。」
レオさんの口元が一瞬ヒクリと引き攣った。
すまない、オッさんになると色々ダメみたいだ…。だが若者よ、キミもその内わかる日が来るぞ…。
「…あー、その、なんだ…、念の為もう便所行っとくか? さすがに無理だと思う、それは。」
…うう、確かに。シモ的緊急事態に陥った時、間に合わず道中で大惨事に繋がる恐れありだ…。やっちまったらメンタル死んでしまいます…。
…あ、ちょっと腹痛いかもしんない。
「…レオさん、トイレまで介助お願いしマス。」
「わかった。ああ、そうだ。一応俺のシャツ着といてくれ。裸よりはいいだろ。」
俺をベッドのヘッドボード、気遣い紳士の手により対ギックリ腰枕盛り盛りフカフカ仕様へもたれさせ、シャツを親切に着せてくれた。完全に介護です、ありがとうございます。
着せてくれたシャツは昨日レオさんが着てた頭から被るチュニックタイプだが、…おふ、やっぱレオさんデカいわ。
俺が着ると首元ガバガバって言うか緩すぎてずり落ち片肩出てるし、丈もレオさんならケツ半ばくらいだっただけど俺にはちょっと長めのミニスカートだ…。
まあ全裸より大分マシな格好か、仕方ない。
「………いい。」
「ん? どうかした?」
レオさんが口元を押さえて、ぼんやりコチラを見つめている。もしかしてレオさんも調子悪いのかな? 介護、申し訳ない…。
「…いや、何でもねえ。じゃあ、俺の首に手回して、ああ、そうだ。そのまましっかり掴まって。」
テレビで見る介護士さんみたいな感じに抱き起こされ、………足を降ろす事なくそのまま横抱きでトイレに運ばれてしまった。ガチ介護ですやん…。
さすがに便器(貴族トイレは石造りに木の便座だった!)に座った後は、ノー介護で外で待ってもらいました。そこはおひとり様で大丈夫なんで…。
用も無事足し、ベッドに戻してもらってひと息つく。
あふー、頭痛いし足腰痛い…。レオさんいなかったら、マジで色々が無理だったわ…。
「レオさん、色々ありがとね。」
「いや、いいんだ。昨日は少しやり過ぎたからな。たぶれっと取ってくるから、コウは少し休んでな。」
「申し訳ないぃ…。よろしくお願いしますぅ…。」
レオさんはふんわり笑ってポンポンと頭を撫で、スッと唇にキスしてベッドから離れていった。
「?!」
…な、なんなんだ? 師匠といいレオさんといい、なんでキスしてんだ??
何故、キス、え、なんでだ…、ん?あれ?
ふと、レオさんの『告白』を思い出した…。
リオガ行きに浮かれてすぽーんと忘れてたけど、俺、レオさんに…、
ーーー『…コウがどう思ってようが、コウは俺の大事なヤツ。一目惚れだ。そんだけ。』ーーー
「うあ、あ、あ、ちょ、うあああ~!」
ボンッと顔から火が出た。
ヤバい、なんでソレいま思い出したよ、俺ぇ…。
…ど、ど、ど、どうしよう?!
ガチャリ
「コウ、たぶれっと持ってきたぞ。…どうした? 顔が赤いが、熱出てきたのか?」
レオさんがタブレットとスマフォを持ってベッドに戻ってきた。
「あっ、いや! 大丈夫! ちょっと動いたら腰痛くて、」
あ~、オデコに手はちょっとぉ! …顔は近づけるとちょっとぉ!
…すごく、困りますぅ…。
さっとタブレットとスマフォを確保して、顔を半分タブレットで隠しながら誤魔化し笑いを浮かべる。
「あは、うん、大丈夫、すぐ薬飲むからキニシナイデ。」
「…そうか? あんまり無理は…、」
コンコンコンッ
「…え?」
ノックの音??
「…ちょっと待っててくれ。」
レオさんが扉へ行き少しだけ開けると、知らない男性の声がした。
「お館様、お客様はお一人様でよろしゅうございますか? 」
「ああ、そうだ。消化に良い物を。俺はなんでもいい。」
「かしこまりました。しばしお待ちくださいませ。お茶は隣りの間にご準備致しておりますので、そちらはお館様にお任せいたします。」
パタン
「…今、メシの準備してるから、それまで茶でも飲もう。」
え? 今の人、どなた?
レオさん、ひとり暮らしじゃないの??
「…あの、今の人は?」
「ああ、ウチの使用人のアルフだ。昔、ウチで家令をしてたんだが、トシで引退してな。今は通いでこの家の管理をしてる。」
全然男のひとり暮らしじゃねえよ、レオさん…。
「ソウナンダー…。他にもお手伝いさんとかいるの?」
「アルフのツレでヘレナがいる。ヘレナは元メイドだったから掃除なんかを頼んでるな。誰もいねえ屋敷だがやたら埃は出んだよなぁ。」
あ、それはわかるわ。残業続きで寝に帰るだけなのに、部屋の隅やら棚にやたら埃が溜まる不思議。どこから湧いてんだろうな、埃…。
「ご夫婦で管理してるんだ。まあ、使用人さん必要なくらいレオさんちデカいもんな。」
「無駄にな。それより、薬飲まないのか? 水、持ってくるか?」
「あ、うん。助かる。飲みかけの水のペットボトル、隣りの部屋にあると思う。」
昨日のヤツまだ残ってたハズ。
「…すまん、アレは飲んじまった。…エイトールが。」
レオさんが気まずそうに目を逸らす。
師匠~、他人の飲みかけ飲まないでよ~!
「お、飲んじゃったのか。いいよ、気にしないで。ストレージにも何本か入ってるし。一応空のペットボトルは回収するから、俺のバックパックに入れといて。」
「ああ、わかった。じゃあついでに茶持ってくるな。」
レオさんが床に屈み、空のペットボトルを拾って部屋を出て行った。…えええ、床にポイ捨てとか師匠サイテーだな!
薬を取り出そうとタブレットを開けると、夜中にメッセの通知が何件か入っていた。…ど、どうした? 夜中になんかあったのか?
メッセを開くと…、
『総括チーム: 夜分すいません。
本日コウさんのアルコール分解の数値があまり良くないようです。
急性アルコール中毒の可能性もありますので、どうぞ飲酒は控え目に…。』
『総括チーム: バイタルに異常があるみたいですが、体調は大丈夫でしょうか?
もし不調があるならエイドアプリを使用してみて下さい。』
『総括チーム: 強い薬物反応が出ています。
念の為連絡下さい。』
『総括チーム: コウさん、連絡下さい。」
おっふー! 飲み過ぎ心配されてるー!
しかも薬物反応って、どんだけだよ…。
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