異世界転職先がダンジョンな訳だが?

そーまこーた

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健全黒字経営目指します!

酔っ払いの猛攻ターン

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第78話 酔っ払いの猛攻ターン



「仕方ねえなあ。コウちゃん、オレのひと口あげるぜぇ。但し、師匠じゃなくてエイトって呼んでくれよぉ。ついでにエイト君、ちょーだい♡っておねだりして?」

 師匠がおねだりチャレンジ再戦を持ち掛けてきた。今度は条件指定あり。
 お、師匠、名前呼びなんてそんな簡単なのでいいのかい? つーか師匠意外に甘えんぼさんか?

「は? お前、酔っ払ってんのか?」

 レオさんがしかめっ面で師匠を見つめた。

「うっせ。オメエだってレオって愛称で呼ばせてんじゃねえか。」

 確かにな!ま、レオさんのお名前、日本人的には長いから短縮形レオさんで助かるんだけどね。

「もー、アホな喧嘩しなーい! 仲良くって俺言ったよね?  …うーん、そんな喧嘩するなら公平にだな…、」


「エイト君、レオ君、ちょーだい♡ 俺も飲みたいの♡」


 おねだりキャバ嬢と言うより、酔っ払いスケベオッさん風に両脇の筋肉腿をナデナデモミモミしてやったぜ!…いや、予想以上に硬いな、このモモ肉。

「………。」
「………。」

 …キミ達さ、おねだりを強要しておいて無言になるのやめよ? オジサン、その真顔に結構クリティカルくらってるからね?

 しばしの無言タイムの後、真顔のままレオさんが新しいカップにワンフィンガーの半分だけ、酒を注いでくれた。
 おふう、舐める程度…。
 あのおねだりはギリ許すラインだったか…。なかなか判定厳しいな…。どこの世界も宴会芸は匙加減が難しいぜ。
 まあ、ご褒美が出たからヨシ!

「やったぁ、ラッキー。ストリップしないでお酒ゲット! 」

「「なっ?! ストリップ?!」」

 バッと2人がコチラに振り向く。

「え? やっぱそっちの方が良かった? 俺の宴会芸のオハコなんだよね。アレやると確実にウケるからさ、おねだりチャレンジ再戦の奥の手にって思ってた。あははは。」

 さあ、お高い酒飲みますよー。って2人共、カップ空のまんまだけど? 飲まないの?

「…コウ、そんな事しないと酒も満足に飲ませて貰えなかったのか? 仲間の野郎共に胸を揉ませる非道な行為だけじゃ、…許されなかったのか。クソっ。」

 ん? 何が非道な行為だって?
 酒場でめっちゃ酒飲んでたけど、アレ以上の飲みっぷりを求められてる?

「おいレオナルド、どう言う事だ? コウちゃんは何処かで酷い目にあわされてたのか?」

「…すまん、これは契約に被ってて言えねえんだ。だが、お前の予想からは多分そんな外れてねえ。」

 俺の頭の上で深刻な雰囲気の謎会話が発生している。えっ、俺の爆笑必至宴会芸の話どこいったの。つーか、なんの予想だ????

「ちょっと2人共、何そんな怖い顔してんの? せっかくのお高い酒飲まないの? …えー、やっぱ脱いじゃう? 俺のセクシーストリップショウ上演しちゃう?」

 軽いウケ狙いでちょっとカーディガンを片肩からセクシーに落としてみる。

「…コウ! いいんだ、もうそんな事しなくてもいいんだ!」

「ふえっ?!」

 ガバッとレオさんにカーディガンを落とした手を掴まれる。顔を見上げるとレオさんはとても苦しそうな顔していて、師匠は眉を顰め不機嫌な顔で腿を拳で叩いていた。
 
 …え? 何この空気…? スベった感ぶち抜いて顰蹙ひんしゅく状態じゃないか…?

「…ご、ごめん。俺ちょっと調子のっちゃったなぁ…。いやあ、酔っ払いのオジサンがいきなり脱いだらさすがに気分悪くなるよね。」

「「悪くならねえ!!」」

 キミらさっきから息ぴったりですやん…。

「…コウちゃん、もしかしたら意味わかんねえかも知んないけど、そう言うのは普通の人はやらなくていい事なんだぜ。……なあ、そんな何でもない顔すんなよ。辛い時は辛いって言ってくれよ…。」

 師匠に肩を横から抱かれ、髪にグリっと顔を埋められる。ちなみにレオさんは腰を抱き、逆側に顔を埋めている。
 いまソファーに流れる空気は完全にお通夜である…。

 な ん だ こ れ … ?

 全然意味わからんのだが? もしかして、俺、実はかなり酔っ払って脳がやられてる?
 試しに手に持ったカップの中身をぐいっとあおってみた。

「んんんんんあーーーッッッ! キッツゥーーーッッッ!!」

 それはたったひと口分しかなかったが、液体の通り道だった喉と胃をカァッと一気に焼いた。

 お通夜な2人が俺の叫びでビクッとする。

「み、水、くだしゃい…。めっちゃボーボーしゅる…。」

 口を閉じると熱が篭ってしまう気がして、大きく口を開けすーはーと新鮮な空気で深呼吸する。が、全然熱は引かない。ふええ、アルコール何パーセントだよ、アレぇ…!
 レオさんが慌てて水を注いで俺に渡し、師匠はどうしていいかわからなかったらしく、俺の口付近を手で扇いでいる。

 渡された水をゴクゴク飲む。それはもう喉奥を洗うようにゴクゴクした。

「大丈夫か? 水もう一杯いくか?」

「はぁぅ、大丈夫じゃないけど、お水はダイジョーブぅ…。これ、テキーラ? 」

 テキーラなんて飲んだ事ないけど多分テキーラ並みだと思うの…。昔舐めたウィスキーのストレートよりカーッとなったからな…。

「すまん、てぃきーらと言う酒はわからない。コイツは竜の息って酒だ。強い酒で飲み口がカッとなるのが、まるで竜の息って具合でな…。水で割れば良かったんだが…。間に合わなくてすまん。」

 レオさんがもう一杯水をカップに注いでくれた。

「そうなんら…。竜の息のイミわかるかも…。」

 まだ熱が引かないって言うか、引くどころか喉や胃からじわりと全身に熱が広がってきた…。
 はー、ヤバいな。なんか暑い。あと両隣りの筋肉壁、暑苦しい。
 よし、と気合いをいれ立ち上がる。

「ちょっ、コウちゃん? 気持ち悪いの? 便所いく?」
「コウ?…ど、ど、どうした?!」

 ふらぁとレオさんの膝を手すりにしながら斜めにある1人掛けソファーに移動した。コイツらの足が無駄に長くて歩く隙間がないんだよ…。
 うん、筋肉壁がなくなり少しは風通りが良くなった。だがまだ暑い。

「暑い。脱ぐ。」

 まず足が熱いのがいただけない。靴とソックスをスポンと脱ぐ。

「は? ちょっ、コウちゃん? え、そこベッドじゃないよ? おいっレオナルド、ぼんやり見てんじゃねえよ! お前何とかしろよ!!」

 師匠が慌てて俺のとこまでやってきて、投げ捨てた靴とソックスを拾っている。

「いや、エイトール大丈夫だ! コウの国は室内では裸足で暮らすのが普通らしいから、多分いま地元に帰った気分なんだ。…許してやってくれ。」

 レオさんが慌てる師匠を宥める。
 あー、忘れてた。そう言えば裸足は恥ずかしいお国でしたわー。

「エイトしゃん、お行儀悪くてごめんね。許してくれニャン♡」

 にゃんにゃん、なーんてな! ヤッベ、ちょっと楽しくなってきた!

「…にゃん。」
「にゃん…。」

 お、キミらもニャンしちゃう系? でもキミらワン系だよな!
 まあそんな事より…、暑いし脱ぐか!

「えー、大変お待たせ致しましたぁ。只今より、コウ嬢による魅惑のストリップショウ開演でしゅー。んふ、ちょっとだけよぉん♡」

 ソファーに片足でのり投げキッス。
 テーブルから女優帽を取り上げて装備品を増やす。あ、ソックス脱がなきゃ良かった!

しーん。

 ん? 静かすぎない? もっと盛り上がっていこうぜ!

「はいっ! はくしゅー!」

 ふっ、ここで折れたら余計恥ずかしいので、セルフ拍手でテンション上げてまいりますぞ。パチパチパチパチー!

「ちょっ、コウ、そんな事しないでいいからっ! 酒なら出す!」

「コウちゃん! マジ、オレらそう言うのしなくても…、」

 師匠が止めようと手を出してきた。

「はいはい、踊り子しゃんに触れないでくださーい!」

 ペシっと手を叩き落とす。
 はい、師匠、俺に触れていいのはお捻りさんだけですからねー。
 うーむ、やはり司会がいないとお客さんを止める手が足りないな。これは次回までにレオさんを司会に育てるしかないぜ。

 気を取り直し、昭和なあのセクシーミュージックを口ずさむ。

「ふ~ん♪ ふふんふん♪」

 女優帽を深く被り直して、ちょっとだけ顔が見えるようにリズムに合わせてクイッとあげる。

「コウ!!」

 バッとレオさんが立ち上がる。
 おっとこちらにもお手を触れそうなダメダメなお客さま。

 えいっと女優帽をレオさんに放る。

「レオしゃんお座り! エイトしゃんもお座り!」

 何故か2人はバッと床に正座した。
 うん、素直でよろしい。こちら手はダメでもかぶりつき席はオッケーですよ。

 再びふんふん♪ と口ずさみながら、カーディガンをゆっくり片側からゆっくり落とす。

「ちょっとだけよ~ん♪」

 カーディガンをぱさりと師匠の頭にかけて、一瞬だけチラリとシャツをめくり、ハラをチラ見させるがすぐ隠す。

「…は、ちょ…」
「…(ゴクリ)」

 んっふっふ、この一瞬のチラリズムが良いのだ。…しかし、盛り上がらんなキミ達~。宴会芸なんだからもっと盛り上がっていこ?

 仕方ないので竜の息をカップに注いでペロリとセクシーな感じに舐める真似をし、2人に持たせる。

「こちら、コウ嬢からの特別サービスでしゅ♡」

 2人は真顔で飲み干した。
 …えっ、あれめっちゃ強い酒だよな? 大丈夫か?

「…だいじょーぶ?」

 2人はブンブンと縦に首を振る。
 …いや、そんな首振ったら回るよ?

 ま、コイツら酒強いからいいっか!

 イマイチ盛り上がりには欠けるが、続きといきますぞ~!
 リズムに合わせて上からシャツのボタンを外し始める。半分まで外し、一旦チラリと乳首ギリぐらいまではだけすぐ隠す。

「「…っっ!」」

 一瞬立ち上がりかけたので、2人の腿を足でペシっペシっと叩く。

「お客しゃ~ん、おさわりはダメよ~。」

 はだけたシャツのボタンをひとつかけ直す。

「「あああっ!」」

 2人共、悲しい声をあげる。
 キミらノリノリになってきたな 笑。

「お兄しゃん達もスキねぇ~♡」

 今度は下からボタンを外す。真ん中だけ残して腰を振るとハラがチラチラする。

 2人は何故か空のコップをあおった。酔っ払いかな?

 後ろを向いて今度はベルトに手をかける。
 いやー、ベルトは外す時あんまりセクシーに見えないんだよねえ。なんかカチャカチャしてるとトイレに入るみたいに見える気がする。

 シュルリとベルトをデニムから抜く。デニムのボタンも外しとく。

 2人の前に行き、1人づつ目の前まで近づきデニムのジッパーをあげたりおろしたりする。かぶりつきならではのサービスです!

 はわああとなる2人の顔、ヤバい面白い。
 
 いつもならこの辺で司会からお捻りタイムでストリップショウ終了となるが、今日は2人の顔が面白いからもう少し攻めてみよう 笑。

 うーん、次は…下を脱ごうかな? 上はもうシャツしかないし。

 テーブルに浅く腰掛けデニムをリズムにのせゆっくり下げていく。膝まで下ろしたらそこから片足づつするりと抜き、最後は片足に引っかかったデニムを足でぽいっとしてセクシーポーズだ。

「そんなえっちな目で見たらイヤ~ん♡」

 我ながらなかなか良い構成だ! これは次の宴会で盛り上がるな!…いや、会社の宴会もうないけど。
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